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*恋心【執筆者/藍奈】 ---- 「・・・・・ん・・」 鳥の声が聞こえる。 カーテンから微かな光が部屋に入り込んでいる。 そして、俺の横には愛しい人の寝顔。 そっと髪を撫で静かに額へとキスを落とす。 「う~ん・・・・よぅすけぇ~・・・」 不意に名前を呼ばれドキリとするが、寝言だと直ぐに気付く。 ホッとしながらも俺は飽きずに慶之の寝顔を見続ける。 幸せそうな顔をして眠る慶之。 まさか、こんな日が来るとは思ってもみなかった。 慶之が好きなんだと自覚してからは本当にツライ毎日だった。 仕事をしている間は平然を装わなきゃいけなかった。 誰にも知られたくなかったから。 家に帰ると慶之のことばかり考えてた。 (まぁ、仕事してるときも頭の中には慶之の事しかなかったけど・・・) 今何をしてるのか・・とか、ご飯はもう食べたのか・・とか。 小さなことから大きい事まであらゆることを考えてた。 自分の気持ちをどうするかも。 慶之への気持ちを自覚して何が一番辛かったって、健一の存在だ。 これ以上ないというほど二人は仲が良かった。 俺は二人が一緒にいるところを見るたびに胸が痛かった。 あのとき俺は二人は想い合っているとまで考えていた。 けど、それを認めたくない自分が確かにいたから、俺はすぐにその考えを捨てた。 でも健一の存在は俺の中から消す事はできなくて。 ただ・・ただ・・1人で悩んで苦しんでいた。 昨日慶之が来たとき俺は正直、健一と何かあって俺のとこに来たのかと思っていた。 だけど、今考えると慶之は我慢できなくなったのかもしれない。 慶之が俺と同じように苦しんでいたのなら、それに耐え切れなくて来たのかもしれない・・・と。 俺は微かな陽の光を浴びながら眠る慶之の髪をそっと触る。 このまま、ずっとこうしていたい。 慶之と二人で暮らしたい。 そうだ、慶之を起こしたら言ってみようかな。 二人で暮らさないか?って。 何て顔をするだろう。 何て返すんだろう。 大体、想像はつく。 きっと顔を紅くして小さく頷くんだろうな。 いや、もしかしたらまた「バカ」とか言われるのかな。 そう思ったらだんだん可笑しくなってきて込み上げてくる笑いを懸命に堪える。 ふと視界に入ってきた時計。 時刻はスタジオ入りしなければならない10時をとうに越し、もうすぐ長針と短針が1つになろうとしていた。 遅刻である。 俺はこの幸せな時間を崩さなければと思うと、慶之を起こすのを躊躇う。 だが起こさないわけにはいかない。 仕事に出ないとレオ達が煩いからな。 小さい頃に読んだ童話の白雪姫じゃないけど、慶之にそっとキスをしてから起こす。 「おはよう、慶之。起きて」 慶之は俺の声が聞こえてないのか少し動いただけで、起きる気配はない。 俺はもう一度キスをして今度は耳にもキスをして声をかける。 「慶之?起きないとまたスるよ?」 すると慶之は目を擦りながら俺に挨拶をする。 「う~~ん?おはよう、ようすけ。もう朝?」 そんな姿を愛しく思いながら時間を告げる。 「うん。というか、もうすぐお昼なんだけどね」 時計を手に取り時間を見せると、慶之はベッドから飛び起きた。 「わっ!!何、もうこんな時間!?完璧遅刻じゃない!!何で起こしてくれないの??」 その慌てようが面白くて俺は今まで堪えていた笑いに加勢されて吹き出す。 「ちょっと洋輔!笑ってる場合じゃないでしょ?洋輔も用意しないと」 「うん。そうだね」 俺はベッドから起き上がり、慶之を呼ぶ。 「慶之」 「何?いつまでもそこに座ってないで、早く用意しなよ」 俺のほうを向かずに喋る慶之にさっき決めた事を話す。 「慶之、一緒に暮らさない?」 慶之の手が止まりゆっくりとこっちを向く。 その顔はまだ言葉を理解してないみたいで、俺はもう一度言う。 今度は疑問形にしないで。 「一緒に暮らそう、慶之」 すると、言葉の意味が分かったのか慶之は俺の想像した通りの反応をしてくれた。 もちろん「バカ」なんて言葉はないけどね。 これから俺の新しい生活が始まる。 慶之と二人で。 何が待ってるかなんて知らないけど。 先のことなんて考えないで。 ただ願う。 これからも俺の横には、慶之。 君がいることを・・・・ ---- ▼作者'sコメント 何年か振りに引っ張りだしてきたもの。 こんなの書いてたんだね~(笑)

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