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あらすじ
霖之助に勧められたブルマが気に入るあまり、服をたくし上げて霖之助に見せる美鈴。
紅魔館に戻った後も悶え続ける美鈴を不審に思うレミリアと咲夜。
霖之助から事情を聞いたレミリアは美鈴に香霖堂へ行くよう命じることにした。
レミリアの襲撃から2日後、香霖堂の軒前に、深呼吸を繰り返す赤い髪の女性がいた。
名前は紅美鈴。紅魔館の門番である。
本日は休暇のはずだが、主のレミリア=スカーレットに命じられて香霖堂を訪れたのだった。
「うう、流石に店の前まで来ると緊張する……。
霖之助さんは……やっぱりもう起きてるのかなあ」
以前やらかしたことを思い出すといまだに顔が赤くなる。
「と、とりあえず起きているのかどうか確認しよう……」
そうつぶやくと、店の戸に耳を当てる美鈴。
霖之助の動く音を聞こうというのだろうが、店番をしているときの霖之助はほとんど本をめくる以外のことはしない。
それに気がつかないほど緊張しているということなのだろうが、そんな美鈴のもくろみは
「……何をしているんだい?」
「ひぅ……!」
散歩から帰ってきた霖之助の一言によってもろくも崩れ去るのだった。
「ああ、前にレミリアが言っていた件か。
門番の仕事に身が入らなくなってしまったんだって?」
「うう……おっしゃるとおりです」
小さくなる美鈴。
(これは相当気にしているな)
咳払いを一つ。
「あー、その、なんだ。すまなかったね。僕がうかつなものを勧めたばっかりに」
美鈴の方はまさか霖之助に謝られるとは思ってなかったらしく、バッと顔を上げて反論する。
「そんな、霖之助さんは何も悪くないです!
……そりゃあ最初はちょっとびっくりしましたけど。
その、悪いのは調子に乗ってあんなことをした私であって……なんていうか……」
思い出すと恥ずかしいのだろう、声が尻すぼみになっていく。
結局なんと言っていいのかわからない霖之助が自分に歯噛みしていると、美鈴の方から再び話しかけてきた。
「あの……一応弁解しておくとですね……
別に普段からああいうことをしているっていうわけじゃなくて……
嬉しさのあまりにっていうか、その……」
そこまで聞いてなんとなく目の前の少女が気にしていることを察する。
なので、また声が小さくなってつぶやいている美鈴に一言言っておくことにした。
「そういうことか……
大丈夫だよ。君がはしたない女だなんて微塵も思ってないし、
人も妖怪も、後で思い返すと後悔するような行動を思わず取ってしまう事がまれにある。
僕はあのことで君をどうのこうのと思うことはないから、安心したまえ」
その言葉を聞いて安堵の息を漏らす美鈴。
「よ、よかったぁぁ~~。
変な子だと思われてたらどうしようかと思いましたよ~」
その姿に霖之助もついつい口元が緩む。
そうして2人で笑いあうことになった。
「あ、それと、お嬢様から聞いたんですけど」
再び美鈴が口火を切る。
まだ何かあったかな?と思いつつ先を促す霖之助に対し、
なにやら思うとことがあるらしく、美鈴は膝の上で指を弄りながら、上目遣いにポツポツと話し始めた。
「えっと……実はお嬢様が、『あの店主は美鈴が魅力的だって言ってたわよ』って言ってたんです。
聞いたときはまさかと思ったんですけど、ま、前にも言ってくれましたよね?
君が非常に魅力的なことは認める……って。
私は妖怪で、力は強いし、手は拳ダコができてて、咲夜さんやお嬢様みたいにきれいな手じゃないですし、
今はわからないかもしれないんですけど、背中や二の腕なんかも結構筋肉がついてるんです。
だから、男性から見たらきっと、魅力なんて全然ないんだろうなあって思ってたんですけど……」
不安げにこちらをちらちら見ている。
これははっきり言ってやらなければならないな、と霖之助は演説モードに入った。
彼女は自分を過小評価している。物の価値を正確に理解させるのも道具屋の義務だ。
ここは一つ褒めちぎってやるとしよう。
「正直な話、君は自分自身を低く見すぎているね。
力が強いのは妖怪であるから当然で、全くマイナス要素にはならないよ。むしろ頼れる女性を好む男は多い。
それに、筋肉があるといってもあくまで女性の範疇でだ。
むしろ引き締まってみえる上にしなやかさと活力に溢れていて実にすばらしいじゃないか。
手のタコに関しては人それぞれだが、僕個人の意見を言わせてもらえば、
いわゆる白魚のような手なんかより君のような手のほうがずっと好ましい。
その手を見るだけで、君が日々どれだけよく頑張っているのかよくわかるよ。
胸を張りこそすれ、卑屈になる理由なんて微塵もないと断言していい。
そして何より君は優しくて思いやりがある。
僕の知る女性たちは性格的にたくましい代わりに繊細さをどこかに落としてきたような連中ばかりだ。
その中で君の性格はまさしく砂漠のオアシス。一緒にいて癒されることうけあいだ。
さらに……」
「も、もういいです!十分わかりました!わかりましたから!」
褒められ慣れていないのか、あわてて止めにかかる美鈴。
「そうかい?正直まだ半分も語っていないんだが」
「そ、そうですか……」
「ふむ、久しぶりに語ると喉が渇いたな。お茶を入れてくるから待っていたまえ」
そういい残して霖之助が奥に引っ込むと、美鈴は大きく息を吐いて崩れ落ちた。
霖之助のことだからまあ否定はされないだろうくらいに思っていたのだが、とんでもなかった。
まさか、あそこまで立て板に水とばかりにほめ言葉が出てくるとは。もう腰が抜けそうだ。
そしてなにより、
「どうしよう……顔がにやけて戻らなくなっちゃった……」
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あらすじ
霖之助に勧められたブルマが気に入るあまり、服をたくし上げて霖之助に見せる美鈴。
紅魔館に戻った後も悶え続ける美鈴を不審に思うレミリアと咲夜。
霖之助から事情を聞いたレミリアは美鈴に香霖堂へ行くよう命じることにした。
レミリアの襲撃から2日後、香霖堂の軒前に、深呼吸を繰り返す赤い髪の女性がいた。
名前は紅美鈴。紅魔館の門番である。
本日は休暇のはずだが、主のレミリア=スカーレットに命じられて香霖堂を訪れたのだった。
「うう、流石に店の前まで来ると緊張する……。
霖之助さんは……やっぱりもう起きてるのかなあ」
以前やらかしたことを思い出すといまだに顔が赤くなる。
「と、とりあえず起きているのかどうか確認しよう……」
そうつぶやくと、店の戸に耳を当てる美鈴。
霖之助の動く音を聞こうというのだろうが、店番をしているときの霖之助はほとんど本をめくる以外のことはしない。
それに気がつかないほど緊張しているということなのだろうが、そんな美鈴のもくろみは
「……何をしているんだい?」
「ひぅ……!」
散歩から帰ってきた霖之助の一言によってもろくも崩れ去るのだった。
「ああ、前にレミリアが言っていた件か。
門番の仕事に身が入らなくなってしまったんだって?」
「うう……おっしゃるとおりです」
小さくなる美鈴。
(これは相当気にしているな)
咳払いを一つ。
「あー、その、なんだ。すまなかったね。僕がうかつなものを勧めたばっかりに」
美鈴の方はまさか霖之助に謝られるとは思ってなかったらしく、バッと顔を上げて反論する。
「そんな、霖之助さんは何も悪くないです!
……そりゃあ最初はちょっとびっくりしましたけど。
その、悪いのは調子に乗ってあんなことをした私であって……なんていうか……」
思い出すと恥ずかしいのだろう、声が尻すぼみになっていく。
結局なんと言っていいのかわからない霖之助が自分に歯噛みしていると、美鈴の方から再び話しかけてきた。
「あの……一応弁解しておくとですね……
別に普段からああいうことをしているっていうわけじゃなくて……
嬉しさのあまりにっていうか、その……」
そこまで聞いてなんとなく目の前の少女が気にしていることを察する。
なので、また声が小さくなってつぶやいている美鈴に一言言っておくことにした。
「そういうことか……
大丈夫だよ。君がはしたない女だなんて微塵も思ってないし、
人も妖怪も、後で思い返すと後悔するような行動を思わず取ってしまう事がまれにある。
僕はあのことで君をどうのこうのと思うことはないから、安心したまえ」
その言葉を聞いて安堵の息を漏らす美鈴。
「よ、よかったぁぁ~~。
変な子だと思われてたらどうしようかと思いましたよ~」
その姿に霖之助もついつい口元が緩む。
そうして2人で笑いあうことになった。
「あ、それと、お嬢様から聞いたんですけど」
再び美鈴が口火を切る。
まだ何かあったかな?と思いつつ先を促す霖之助に対し、
なにやら思うとことがあるらしく、美鈴は膝の上で指を弄りながら、上目遣いにポツポツと話し始めた。
「えっと……実はお嬢様が、『あの店主は美鈴が魅力的だって言ってたわよ』って言ってたんです。
聞いたときはまさかと思ったんですけど、ま、前にも言ってくれましたよね?
君が非常に魅力的なことは認める……って。
私は妖怪で、力は強いし、手は拳ダコができてて、咲夜さんやお嬢様みたいにきれいな手じゃないですし、
今はわからないかもしれないんですけど、背中や二の腕なんかも結構筋肉がついてるんです。
だから、男性から見たらきっと、魅力なんて全然ないんだろうなあって思ってたんですけど……」
不安げにこちらをちらちら見ている。
これははっきり言ってやらなければならないな、と霖之助は演説モードに入った。
彼女は自分を過小評価している。物の価値を正確に理解させるのも道具屋の義務だ。
ここは一つ褒めちぎってやるとしよう。
「正直な話、君は自分自身を低く見すぎているね。
力が強いのは妖怪であるから当然で、全くマイナス要素にはならないよ。むしろ頼れる女性を好む男は多い。
それに、筋肉があるといってもあくまで女性の範疇でだ。
むしろ引き締まってみえる上にしなやかさと活力に溢れていて実にすばらしいじゃないか。
手のタコに関しては人それぞれだが、僕個人の意見を言わせてもらえば、
いわゆる白魚のような手なんかより君のような手のほうがずっと好ましい。
その手を見るだけで、君が日々どれだけよく頑張っているのかよくわかるよ。
胸を張りこそすれ、卑屈になる理由なんて微塵もないと断言していい。
そして何より君は優しくて思いやりがある。
僕の知る女性たちは性格的にたくましい代わりに繊細さをどこかに落としてきたような連中ばかりだ。
その中で君の性格はまさしく砂漠のオアシス。一緒にいて癒されることうけあいだ。
さらに……」
「も、もういいです!十分わかりました!わかりましたから!」
褒められ慣れていないのか、あわてて止めにかかる美鈴。
「そうかい?正直まだ半分も語っていないんだが」
「そ、そうですか……」
「ふむ、久しぶりに語ると喉が渇いたな。お茶を入れてくるから待っていたまえ」
そういい残して霖之助が奥に引っ込むと、美鈴は大きく息を吐いて崩れ落ちた。
霖之助のことだからまあ否定はされないだろうくらいに思っていたのだが、とんでもなかった。
まさか、あそこまで立て板に水とばかりにほめ言葉が出てくるとは。もう腰が抜けそうだ。
そしてなにより、
「どうしよう……顔がにやけて戻らなくなっちゃった……」
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