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321 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/04/03(金) 22:59:44 ID:ZgZzwRxK
10巻の某挿絵のネタ


「う~ん……やっぱ、ムリかなあ」
 つま先立ちにラケットの先で木の葉を揺らしながら、キリノが言う。
「届かないってー、もう諦めよ?」
「ごめんねー、私のせいで」
 シャトルを打ち上げた長髪の少女が詫びた。
「でも、っと。学校の備品失くしちゃマズいでしょ、んっ……と」
「―――なにしてんだ?」
 後ろからのその声に反応し、わ、とキリノは転びそうになった。
カカト立ちでそのまま二三歩後じさると、その背中をぽん、と抑える力が働く。
「大丈夫かよ」
「およ、コジロー先生」
 彼の到着に、途端に表情を変える友達二人。
 ニヤニヤと笑みをこぼすと。
「じゃあお邪魔だし、あたしらはこれでー」
「そうだね」
 と帰ろうとすると、待てよ、とコジローの方から待ったが掛かった。
「お前らなー、キリノ一人に押し付けて逃げようったってそうはいかんからな」
「えー……」
 気を利かせてあげたのに、と二人が不満気な顔を顕にすると。
「とにかく、あれを取ればいいんだな?」
 尋ねるコジローに、横からそうっすね、とキリノが相槌をうつ。
「んじゃ、え~っと。……めんどくせえや。キリノ、ほれ」
 キリノに背中を向けて屈み込むと、手をひらひらとさせて彼は何かを促した。
 呆気に取られる友人二人を尻目に、動じもせずにその背に乗りかかるキリノ。
「そいじゃっとー、失礼しまーす」
「おー、早くしてくれな」
「えー、あたしそんな重いっすかあ?」
「……いいから早く頼むわ」
 ぐだぐだとお喋りを交わしながら。
 肩車の姿勢から手を伸ばすと、シャトルはするりとキリノの掌中におさまった。
「取れたな」
「はいっす」
 そのままキリノを降ろし、じゃあな、と彼が立ち去った後。
 うわあ、と始終苦笑を浮かべていた二人は我に帰ると、
その顔を再びニヤニヤとさせながら両隣からキリノの肩を小突いた。
「でも良かったね、キリノ」
「うん、取れてよかったねー」
「ちがうよ」
「およ?」

「「あんた先生が庇ってくれた時、めちゃめちゃニコニコしてたじゃん」」

 えー、そうかなあ、と自分の顔にふれたキリノの頬は、うっすら赤みがさしていた。



おしまい。