勇次と珠姫はコスモサーティーンショーを見るために遊園地に来ていた。
「どこかに案内板無いかな?」
勇次はキョロキョロしていると
「こっち」
と珠姫は勇次の手首を掴み走り出した。
「タマちゃん!?そんなに急がなくても大丈夫じゃないかな?」
と走りながら問いかけるが珠姫には聞こえていないらしく、むなしく独り言に終わったので、はは…と苦笑いをするしかなかった。

ショーの場所に着き、珠姫は勇次の手首から手を離すと、力を入れすぎたせいか勇次の手首は赤くなっていた。
「あ、ごめんね。痛かったよね。」
珠姫は申し訳なさそうに訪ねる。
「大丈夫、平気だよ。それにしてもタマちゃん、本当に好きなんだね。」
勇次はいつも通りの笑顔をつくりながら話す
「え……何が?」
珠姫の頬は知らず知らずのうちに赤くなっていた。
「ブレードブレイバーだよ。こんなによく動くタマちゃん、剣道以外ではめったに見れないもん。」
微妙に失礼な事を言う勇次。
「あ、うん……。」

(なんで一瞬ユージ君の事だと思ったんだろう…?なんで顔が熱いのかな?)
珠姫は頭の上に?を浮かべながら考えていた。

そうこうして、ショーは始まった。続く



ショーが終わり、勇次と珠姫は帰りの電車に乗っていた。
「あの、ユージ君……」
「なに?タマちゃん」
「ありがとう、今日は楽しかった。」
「良かったね、タマちゃん」
周りから見れば珠姫は淡々と話しているように感じるかも知れないが、
幼なじみである勇次は、ちゃんと気づき、喜んでくれたことを嬉しく思った。

「また………。」
そして珠姫はポツリと言った。珠姫自身も自分が言ったことに驚いたらしく、はっとなり、そして少し下を向いた。

勇次はというと
「うん、またこういうショーがあると良いね」
(よっぽど生でショーを見たのが楽しかったんだなぁ)
相変わらずのフラグクラッシャーだった。

二人は別れてから勇次は竹刀を持ち帰るため、一人で学校に寄った。剣道場に入ると
他の部員は皆揃っていた。そして勇次を見るやいなや、サヤが
「どうだった?なんか楽しい事あった?」
と尋ねてきた。それに対して勇次は
「タマちゃんは楽しんでましたし僕も楽しかったです」
「んー、それだけ?いつもと違う、青春的展開は?」
キリノはω←の口を作りながら尋ねた。
「何のことですか?」
そう勇次が答えると
「やっぱりね」
「ユージ君はユージ君だからね」
「気にするな。お前のそういうとこ、俺はキライじゃないぞ」
など散々言われ、さすがの勇次も困惑の表情を浮かべた。

一方珠姫はというと、

珠姫にもわからないが、布団に入って寝ようとしていたとき、勇次の言葉が頭を巡っていた。

もう一度勇次が言っていた言葉を思い出す。
「うん、またこういうショーがあると良いね。」
ん?と何か違和感というかズレを感じた珠姫だが、今日1日に大きな充足感を感じていたので、

「まぁ、いいか」

と一人つぶやき、眠りに落ちた。

おわり
最終更新:2009年01月30日 23:34