「最近急に寒くなりやがったなぁ…」
朝練で道場を使う為、生徒達より一足先についたコジローはここ数日の急激な冷え込みに手を摺り合わせていた。
「おはよっす、せーんせっ」
「おぉ、キリノ。
…?お前なかなかあったかそうな手袋してるじゃねーか、ちと貸してくれよ。」
次にやってきたのはキリノ。
しかしその手にはいつもと違いパンダ柄の、…可愛いかどうかは微妙だが暖かそうなモフモフの手袋がついていた。
「え……えぇっ、でもでもそしたら私が寒いから…んーっ、んと、そだ、一つだけ貸してあげます。はいっ」
「おいおい、けど一つだけじゃ……」
「ほら、こうして残った方の手を繋げば二人ともあったかいっすよ。ねっ」
「む……っ」(ねっ…て)
「あーーっ、先生とキリノが朝の道場で手ぇ繋いでるぅぅぅ!!」
声に気づいて振り向くとそこにはサヤが立っていた。
「な、な~に言ってんだサヤ~?」
その瞬間パッと手を離してしまうコジローにちょっとガッカリするキリノはボヤく。
「……ちぇっ、サヤったら…もうちょっと空気読んでよね…」
「何か言ったか?キリノ」
「な、なんでもないっす…」
こうして今日も朝練が始まる。
最終更新:2008年12月20日 23:57