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「よし!できた!」
 少女は出来立てのオレンジタルトを持ち上げて、満足げな笑みを浮かべた。
その少女に、同じクラスの男子生徒が近づいて声をかける。
「な、なあ千葉。そのオレンジタルトだけどさ。ちょっとわけてくれないかな?」
「え? ダメだよ~。これはコジロー先生にあげるんだから。
まったく、貧乏でしょうがないんだよねえ」
 そう言って少女はやれやれとため息をつきつつ、
しかし何故かその顔はご機嫌なカンジで緩みきったまま調理実習室を出て行った。
「……」
「あー、あんた知らないんだね~」
「キリノは、調理実習で作った料理を毎回コジロー先生にあげてるんだよ」
 少女の親友である長髪の少女と短髪の少女が男子生徒の肩を叩いた。
「な、なんで……? あいつ、彼氏とかいないって……」
「まあ、そりゃまだ彼氏じゃないだろうけど」
「そういうわけだから、あきらめたほうがいいかもね?」
 男子生徒はガックリとうなだれ、近くの椅子に腰を下ろした。
「あ、あのダメ教師のどこがいいんだよ……」
 俺のほうが絶対顔もいいのに、などとぶつぶつつぶやいている。

 その様子を見て、親友2人は「またか……」と嘆息を漏らした。
「まったく、あの子も罪作りだね」
「とっとと付き合っちゃえばいいのに」
「まあ、相手がニブチンだからなあ……」


 ちょうど、時間も昼休みに差し掛かった職員室。
「よし!できた!」
 コジローは、学期末のテスト問題を作成し終えて会心の笑みを浮かべていた。
そんなコジローに、同僚の女性教師が近づいて声をかける。
「あら、石田先生。テスト問題の作成ですか? ご精がでますね?」
「ああ、こりゃどうも。いやあ、できるうちにできることをやっておかないと」
 コジローは、う言って同僚の女性教師に向きなおる。
 吉河先生よりも若い新任の女教師は、そんなコジローを見ながら何故か顔を赤らめ話を切り出した。
「あの、石田先生。よろしかったらお昼ご一緒しても……」
「せーんせー!」
しかしその言葉は、職員室にすべりこんできたキリノの声でさえぎられる。
「はい、調理実習のオレンジタルト!」
「お、おおお。サンキュー、キリノ。これで昼も持つぜ!」
「ダメだよ~。それデザートなんだから。もー、エビフライもあげるから教室おいで」
「おおお、さすがキリノー。もーかわいいやつだなお前は」
 そんな会話に固まっている女性教師を置いて、2人は職員室を出て行ってしまった。
「……」
「あー、あなた知らないのね」
「千葉さんは、調理実習で作った料理を毎回石田先生にあげてるんですよ」
 同僚の吉河先生と嶋先生が、新任の女性教師の肩を叩いた。
「え、だって……? 教師と生徒じゃ……」
「いや、それは付き合っているわけじゃないと思いますけど」
「まあ、ああいうのは見守るほうがいいんですよ」
 新任の女性教師はガックリとうなだれ、近くの椅子に腰を下ろした。
「ふ、不純よ……」

 その様子を見て、教師2人は「またか……」と嘆息を漏らした。
「まったく、石田先生も罪作りですね。意外ともてるのに」
「早く、千葉さんが卒業してくれないと身が持ちませんな」
「相手もニブチンですからねえ……」