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「しっかし、驚いたぜ。東が教師になったのはもちろんだけど、
まさか、副顧問になるとは思わなかったよ」
 東サトリ、コジローは彼の教え子である彼女を見ながら軽口を叩いた。
 ……さすがに、もう伊達眼鏡は辞めたらしいな、とコジローは少し東を観察する。
彼女は、大学を卒業したあと新任教師として室江高校に赴任してきた。
 そして、剣道の経験者ということもあって、2人目が生まれて産休中の吉河先生に代わり
剣道部の副顧問に任命されたのである。

「それは、私もですよ先生……っと今は私も先生だったっけ。
えっと、石田先生が未だに室江で剣道部顧問をやれてたことがオドロキです」
「ああ、そりゃさすがに剣道で結果残したからな」
「私たちが引退した後も結構強かったとは聞いてましたが……」
「タマが引退したあとも、剣道に強いってウワサがたって女子が結構入部したんだよ。
まあ、そんなに強い子は入らなかったけど結構いいとこまではいけるんだぜ、今は」

 くいっと、コジローは壁の方を向きながら東に説明する。
壁には、室江高剣道部への賞状がたくさん飾ってあった。
 東は、なんだか思わず懐かしくなって道場を見回す。

「なんだか……高校時代を思い出しちゃいますね。
あの扉を開けて、あの時の部活のみんなが入ってくるんじゃないかな、なんて」
「ハハハハ、そりゃいいな」
「先生」

 先生、キリノ部長とどこまでいったんですか、と聞こうとして東はためらった。
あれだけ、周りをやきもきさせた2人は今でも仲がいいらしい、と宮崎さんには聞いている。
でも、進展したという様子はまったく聞かなくて宮崎さんもイライラしていたのを思い出す。
怖かった。あれは怖かった。「女に恥かかせてんじゃねーぞ! あの駄目教師」って
叫んですごい怖かった~……。

「あ、あれ? 誰か来ますよ」
「お、ほんとだ。今日は部活休みなのに入部希望か?」

 コジローが入口のほうを覗き込む。その瞬間、彼の体は突然かたまった。
「すいませ~ん。剣道部ってここでいいんですか~」
 東も声をしたほうを見る。そこには、金髪で猫口のキリノがいた。

「キ……キリノ先輩?」
「ほえ? おねーちゃんのこと知ってるんですかあ~」
「お、おねえちゃん!?」
「あー、あ、ああああー、ああ、そうか!」
 コジローは、我に返って大声で叫んだ。
「ほら、キリノの妹だよ。いやー、いつもツインテールだったからわかなんかったよ。
それに、この間、キリノの家に行った時に会ったのが中学校1年のときだったもんなあ」
「もう~、もっと家に来てもいいのに~。お姉ちゃん寂しそうだよ~」
 家に行ってたんだ……。いやいや、そうじゃない。
彼女がキリノ先輩の妹だってことのほうが驚きだ、と東は思考を巡らせる。
よくよく見ると、キリノよりも眠そうな目とおっとりした感じの印象を受けるが、
美形で、猫口で、雰囲気はまるで彼女が会ったときのキリノそのものだ。

「で、今日はどうしたんだ?」
 コジローが、キリノの妹をなでなでしながら話しかける。
普通ならセクハラだろうに、彼女は頭を撫で回されて心なしか嬉しそうだ。
「うん~。剣道部に入ろうと思うんだ~」
「お、マジか? 大歓迎だぞ。去年も今年も女子部員少なくてな~」
「ええと、防具はあるんですか。あ、私は副顧問の東です。よろしくね」
「は~い、お姉ちゃんのおさがりがありま~す」
 キリノの妹がニコニコしながら答えた。



「ふう、ただいま~」
「お、おう、おかえり」
 玄関を開けて、少女が勢いよく家に飛びこむと居間には兄と先客がいた。
「あ~サヤちゃんだ~」
「おっす! おじゃましてまっス!」
「ちょっと、サヤちゃんとカラオケ行ってたんだよ」
「ええ~、いいの~。ジョニーズのタレントが女の子と2人でカラオケとか~
また、写真週刊誌にスクープされちゃうよ~」
「ち、違うって。2人じゃないよ。かずひこもいたってば」

 妹の小ばかにするような視線に、思わず狼狽しながら言い訳のように叫ぶ兄。
その様子を苦笑しながらサヤが突っ込んだ。

「かずひこ、すぐ帰っちゃったけどね。それより、スクープって何?」
「サ、サヤちゃん……」
「これこれ~」
 カバンから少女が写真週刊誌を取り出す。
『エビフライデー』というタイトルのそれは、芸能人の不倫記事や浮気の現場など
ゴシップ記事が主な内容のいわゆる週刊誌というやつであった。
「なんで持ってんだよ!」
 うろたえるたっくんを尻目に、サヤは週刊誌を受け取ってパラパラとめくってみる。
 やがて、デカデカと見開きで載っている「ジョニーズ人気アイドルTと熱愛発覚?」という
記事が目に付いた。そこには、ファミレスで食事をしているたっくんとCMやバラエティで
よく見るアイドルの姿がある。
「あ、この子知ってる。ひえひえ~うまうま~ってコアミルクのCMまだやってるよね」
「あ、それは本当に食事をしただけだから」
「ふ~ん、熱愛ってあるのに~?」
「競演してるドラマの収録後に、ファミレスで食事しただけだよ」
「別にアタシに気使わなくてもいいのに、たっくん」

 サヤがいじわるそうに、たっくんを見る。
「あーあ、アタシ男友達は多いんだけど男運ってほんとないのよねー」
「いや、だから。違うんだってサヤちゃんってば!」

 うろたえてオロオロするたっくんを、クスクスと笑いながらいもうとがからかう。
「にょーほほほほほ~。女心を弄んじゃいけませんよダンナ~」
「こ、このやろう……策士モードのときの姉ちゃんみたいな笑い方しやがって」
「あ、そういえばお姉ちゃんは?」
「あれ? キリノなら室江高に向かったけど会わなかった?」
「むー、すれ違いか~。頼みたいことあったんだけどな~」
「ん、頼みってなんだ? 俺が聞いてやるよ」
「たっくん、剣道やってないじゃない~」
「え? 剣道?」

 その単語に思わずサヤが反応する。
「その単語、懐かしいなー。もしかして、剣道部に入ったとか?」
「あったっり~。だから、お姉ちゃんに防具借りたいと思って~」
「ええ! 剣道? お前、よくそんな臭いもんやる気になったよなあ」
「たっくんは、いっつもそればっかりだね~」
「だってさ。姉ちゃん、帰ってくるといっつも独特の匂いがしたもんなあ」
「ううん、アタシも臭かったのか……ええい、こうなったら、かずひこも巻き込んでやれ!」
「いや、サヤちゃんは臭くなかったから!」
「ほほほほほ~、墓穴ほりまくってるね~」

 暴走し始めたサヤとたっくんをおいて、少女は二階へと上がる。
「じゃあ、アタシはお姉ちゃんが帰ってくるのを上で待ってるからご自由に~」
「あ、待てコラ。お前のせいだろ、この状況」
 階下から悲鳴を上げるたっくんの声が聞こえたが、無視することにした。



「ん~。やっぱり、おねえちゃん遅いな~」
 2階に上がってはみたものの、なかなか帰ってこない姉が心配になり、
少女は迎えに行こうとふたたび階段を降りた。
「すいませ~ん。お惣菜くださーい」
 玄関からお客さんの声がする。なぜか、たっくんも誰も店先にいないようだ。
居間を覗き込むと「カラオケに行ってきます、たっくん」というメモがあった。
お母さんもお父さんも出かけているということは、店には誰もいないということ。
無用心だなあ~と思いつつ、彼女はエプロンを巻きながら店先に出た。
「すいませ~ん。お待たせしちゃいました~」
「いえいえ、あら?」

 彼女をみた女性客は、すっとぼけたような声を上げる。
 うわあ……きれいな人……。
 少女は、思わずその女性に魅入ってしまった。スラっとしたモデルのような体系に、
肩まで伸びた黒髪。背も大きくいし、丸めでくりくりした瞳がとてもステキだ。
「あ、あの~。どうしました~?」
 女性が口を開けたまま固まっていたので、少女は我に返ってたずねた。
「あ、ごめんなさい。キリノ先輩」
「え~? それは、お姉ちゃんですけど~」
「あ、妹ちゃんかあ」
「えと、あなたは~」
 妹ちゃん、ということはおねえちゃんの知り合いなのだろう。
少女が、その女性に再度話しかけようとしたとき左手の薬指にある指輪に気づいた。

「おーい、タマちゃーん。ごめんごめん、遅くなっちゃって」
「あ、ユージくん」
 こちらに歩いてきた男性が、その女性をタマちゃんと呼んだ。
 夫の人かな……と少女はユージくんの左手を見る。やはり、その指には結婚指輪があった。
「あ、あの~。ご夫婦ですか~」
「うん、そうだよ。2人とも高校時代に剣道部でね。ここのキリノ部長は僕らの先輩なんだ」
「あ~、タマちゃんとユージくんか~今、気づいた~2人とも雰囲気が違うから~」

 そう、この2人はお姉ちゃんの友人だ。
たしか、3年ほど前の結婚式にお姉ちゃんと呼ばれたんだっけ。
そのときは、タマちゃんってもっと小さかったような気もするけど……。
あのときは、タマちゃんが投げたブーケをあたしがとろうとしたら、
コジロー先生がキャッチしちゃって、周りの女性たちにボコボコにされてたっけ。
それで、「いてててて、酷い目にあったよ。別に男がとったっていいじゃねーか」とか言って
「先生、お嫁さんになりたいんすか?」ってお姉ちゃんに突っ込まれてたなあ。

「今日は、どうしたんですか~? お姉ちゃんならたぶんまだ室江高校ですよ~」
「あの2人、まだはっきりしないんだねえ」
「ユージ君。そういうこと言わない」
「???」

 なんだろう、お姉ちゃんと先生って何か深い関係なのかな?
気になったけど、突っ込むのも野暮なような気がするので、
とりあえず普通にお惣菜を売って世間話をした。
「じゃあ、今でも川添道場に練習にいってるんですか~剣道部って~」
「そうよ。大会前は厳しくしごくから覚悟してくださいね」
「うっ……お手柔らかにお願いします~」

 そんな感じで彼女たちが帰った後、ハッと少女は目的を思い出した。
 そうだ、お姉ちゃん迎えに行かなきゃ~。
 玄関で適当な靴をあわててつっかけると、少女は家を飛び出した。



 駅までの道のりを、少女は全速力でかける。だが、曲がり角を曲がろうとした瞬間、
ボフっと何かにぶつかってしまった。
「いたたた~ごめんなさい~。大丈夫ですか~」
「おい、おじょうちゃん。姐さんに何してんだコラァ!」
「風呂に沈めたろかい!」
 ぶつかったのは着物の女性らしい。その周りにいる黒服の男たちに脅されて
思わず、縮み上がる。ひええ、ヤ……ヤの人だ。ヤのつく人だ~。
「おやめ! ウチは健全がモットーの優良企業だろ。ごめんねえおじょうちゃん。
あら? あなた、キリノ先輩のとこの……」
「え、あ、ミヤミヤだあ~よかった~」
「ごめんねえ。ウチの若いのは血の気が多くてさ。金融業なんてやってるからねえ」

 この人は、お姉ちゃんの友人の宮崎さんだ。今は結婚して栄花なんだけど
周りからは未だにあだ名のミヤミヤで呼ばれている。
「お詫びに無担保でお金貸してあげるからさ。困ったら、ここにおいで」
 ミヤミヤは、懐から安心確実法遵守、明るいヤミ金業者!栄花金融と書かれた名刺を取り出した。
「あははははは~。なるべく遠慮しておきます~」
「じゃあ、どこに行くかわからないけど気をつけてね」
「は、はい。そちらこそお気をつけて~」

 ああ、怖かった。少女は、ミヤミヤがいなくなったあとも少し腰が抜けて動けなくなっていた。
小一時間ほどそこでボーっとしたあと、よし、動くか、と少女はふたたび歩き出す。
その瞬間「おい! こんな時間になにやってんだよ」と背後から声がした。
「あ、かずひこ君だ~」
「かずひこ君だ~じゃねえよ。高校生がこんな時間にうろついてていいのか?」
「自分も同じじゃない~」

 彼の名前は桑原かずひこ。サヤの弟だが、顔はもっさり系(彼によるとサヤだけが
家族の中でもスタイルが特別にいいらしい)。しかも、この年にして微妙に腹回りが
メタボなのを気にしている。
「で、なんでかずひこ君がここ歩いてるの~? この先、ウチしかないよ~」
「ああ、おまえんちのたっくんに用があってさ……」

 そういって、後ろに何かをサッと隠そうとする。だが、少女は猫のような反射神経で
目ざとくそれを取り上げた。よく見ると、その物体は写真のようだ。
それは、ビキニ姿で八重歯を輝かせながらポーズをとっているサヤの写真だった。

「なんぞこれ~」
「うわあ、やべえ……それは、海に家族旅行行ったときの写真だよ」
「ははあん、たっくんがコレを欲しがったんですな~」
「そうだから、返してくれよ」
「のほほほほほ~。サヤちゃんに渡してこよ~」
「あ、待て。そんなことしたら俺が姉ちゃんにしばかれるだろ、待てってバカー!」

 面白いものを見つけ、当初の目的をすっかり忘れた少女は一目散に家にかけていった。



「たっだいま~。たっくん、たっくん見てみて~、あ、お姉ちゃんお帰り~」
「ただいま。で、こんな夜遅くにどこに行ってたの?」
 少女の姉、キリノは腕組みしながら妹をにらみつけた。
「え~と~、お姉ちゃん迎えにいこうとおもって~」
「その割には、ずいぶん遅かったじゃない?」
「ちょっと、途中でいろいろあって~怖くて動けなかったの~」

 奥の部屋から、ひょっこりとサヤが顔を出す。
「怖い? なにかあったの?」
「あ、サヤちゃんオカエリ~。うんとね~わかりやすくいうと襲われそうになったのかな~」
 少女が一部始終を説明しようとしたまさにそのとき、
間が悪いことに、息を切らせながらかずひこが玄関に飛び込んできた。
「ハァハァ……やっとおいついた。もーバカー! 早く写真返せよ!」
「写真?」
「げっ! 姉ちゃん!」
 かずひこの言葉で、サヤは少女が握り締めている写真に気づく。
パッと取り上げると、そこにはビキニ姿の自分が写っていた。
「のわわわわわわぁぁぁ!? なんでコレがここにあんのよ!」
「や、やっべー。ほら、お前がおとなしく返さないから」
「おとなしく……ははあ、この子襲ったのはあんたね。いたいけな少女を襲うなんて
我が弟ながら情けない……いや、許さん! ちょっと、キリノ木刀持ってきて!」
「はいよ、竹刀だけどね」
「ちょ、姉ちゃん。誤解、誤解だって!」
 誤解が誤解を生み、サヤは暴走した。
竹刀でかずひこの頭をボコボコ殴る。バシバシ殴る。ボコスカ殴る。
 かずひこの頭には、積み上げた31アイスクリームのようなたんこぶができていた。
「さあ、白状せいよ! そもそも、この写真は何!」
「し、写真はたっくんに頼まれ……たんです……」
「あ、そうなの?」
「サ、サヤちゃん、襲われたのは~知らない人で~かずひこ君は関係ないよ~」
 あっけにとられていた少女が、思わず助け舟を出す。
ちょっと遅いけど、とかずひこは思った。でも、この抜けてるところがまた可愛いんだよな……。
そんなことを考えつつ、かずひこは微妙な笑みを浮かべながら気を失った。
「あ、その写真! かずひこ、なにやってんだよ、もう!」
 一部始終を知らないたっくんが、居間から玄関にやってきた。
「あ、たっくん。アタシの水着姿そんなに見たかったの?」
「え、あの」
「ジョニーズの仕事で、グラビアアイドルとかは見慣れてると思ったんだけどなあ」
「いや、そのサヤちゃんは特別っていうか……」

 おりょ? こりゃいいムード? と少女はニヤニヤした。
だが、その瞬間モジモジしているたっくんのポケットから携帯が床に落ちる。
「あ、たっくん携帯落ちたよ。はい……ん、メール? ……沢宮エリナ」
「ああ、それは今度のドラマの打ち合わせのメールで」
「この間の合コン楽しかったね。リョーコもつれて来ればよかったかも。
 でも、松本アナに抱きしめられたからって本気にしちゃ駄目よ~」
「よ、読まないで!」
「……」
「サヤちゃん、誤解だってば。誤解! 誤解なんだ~」

「男って悲しいねえ……」
「そうだね~お姉ちゃん」
妹とキリノは、再び点火したサヤとたっくんを置いて玄関を離れた。
「そうそう、あんた剣道部はいったんでしょ? 今、コジロー先生来てるよ」
「え、どうして~。なんか特別なことでもあるの~」
「いや、そうじゃないんだけど……栄養偏ってそうだから連れてきちゃった」
「あ、じゃあ。アタシデザート作るの手伝ってあげる~」

 和やかに談笑しながら、姉妹はコジローがいる居間へと向かう。
玄関から、たっくんと気がついたらしいかずひこの悲鳴が聞こえた気がした。



「あ~本当にコジロー先生だ~」
「おう、お邪魔してるぜ」
「ごめんね、先生。騒がしくてさ」
「いやいや、しっかし相変わらずかしましいなサヤは」
 頭をポリポリかきながら、コジローは目を細めた。
「なんだか、キリノがいたときの室江剣道部を思い出しちまったよ」
「あはは、そう?」
「ねーねー、コジローせんせ~。お姉ちゃんとはどこまでいったの~」
 2人の会話に、少女はするっと割り込む。
「どこまでって……お、おいおい。いきなり何聞いてるんだよ」
「気になるんだもの~」
「ちょっと、変なこときいたらコジロー先生困るでしょ!」
 耳たぶまで真っ赤になったキリノが妹をたしなめる。
「だって~。お姉ちゃんって高校のころからずーっと先生のことかっこいいっていってたし」
「も、もういい加減にしなさい!」
「んー、そうだな。どこまでだと思う?」
 ニヤリと笑ったあと、コジローは逆に聞き返した。
「そうだね~。お姉ちゃん意外と純情だからな~」
「いい加減に……」
「しかし、どうしてそんなに俺とキリノの関係が気になるんだ?」
「え、それは~もしかしたらお兄さんになるかもしれないし~」

 笑いながら答えるが、そういえば何でそんなに気になるんだろうと少女は逡巡する。
小さいころから、姉にコジロー先生の話を聞かされてるからかな~?
結婚式でブーケをとってもらったからかなあ……。
 じーっとコジローを見る。
 う~ん、確かにちょっとかっこいいような気もするけど~。

「あ、デザート、デザート~」

 ハッと思い返し、パタパタと台所にかけていく少女。 
コジローと彼女のちょっとした物語はここから始まるのだが、それはまた別のお話。