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 その日、たまたまテレビをつけてみたら放送されていた「銀○」というアニメ。
 噂では聞いたことのある珠姫だが、内容が珠姫にとっては過激なうえに危険だったので避けていたアニメである。
 本当ならチャンネルを変えようとしていたのだが、勇次の声にそっくりな声が聞こえてきたので視聴することにした。

(このユージくんにそっくりな声を出すキャラ、ツッコミ担当なんだ。ユージくんにちょっと似てる。でもカッコよさはユージくんの圧勝だけど)

 結局最後まで「銀○」を見てしまった珠姫だが、いつの間にか癖のある感じが病みつきになってしまった様子。
 次の日、部活帰りに近くのレンタルビデオショップで「銀○」をリリースされてるDVDを全てレンタルしてしまった。
 夏休みということもあり、時間にもそれなりに余裕があったので貸し出し期間をオーバーすることなく全て見終わってしまった。
 そして珠姫は「銀○」を全巻購入する決意を固めたのだが、ふとあることを考えてしまった。

(ユージくんそっくりな声を出す新○、うちの部活でのユージくんのポジションに近かったなぁ)
(もしユージくんがメガネをかけたら知的でカッコいいけど……ユージくんがメガネ?)

 珠姫は何故か勇次がメガネをかけたら新○みたいになるのではと考えて、勇次のメガネ姿の想像を止めた。
 新○はツッコミだけでなく、シスコンでもあり、アイドルの追っかけでもあり、ツッコミに微妙に古い「どんだけ~!」を使うようなキャラである。
 もしも勇次がメガネをかけて新○みたいになった時のことを考えた珠姫は言いようの無い絶望を感じると同時に、一つの決意を固めた。
 その翌日、部活が始まる前に珠姫は勇次の手をギュっと握って真剣な表情で勇次にお願いをした。

「ユージくんはたとえ目が悪くなっても絶対にメガネをかけちゃダメだからね」
「きゅ、急にどうしたの? タマちゃん」
「メガネをかけたらユージくんはユージくんじゃなくなっちゃうの。あたしは今のユージくんが大好きだから。だからお願い、そのままでいて」
「……えっと、どうして俺がメガネをかけちゃいけないのかよく分からないけど、タマちゃんの気持ちはとても嬉しい。俺も今のタマちゃんが大好きだよ」

 どうして急に珠姫が自分にメガネをかけることを嫌がったのかは分からないが、珠姫の「大好き」の部分はしっかりと理解していた勇次。
 普段の鈍さはどこへやらといった風に勇次は珠姫の告白にYESの返事を返して、珠姫を優しく抱きしめた。
 一方の珠姫は、抱きしめられたことでようやく自分が勇次に告白したことを理解し、その後の勇次の返事に思考が追いつかなかった。

「え? えっと、その、あの……。ユ、ユージ、くん?」
「どうしたの? タマちゃん。あ、いきなり抱きしめるのは嫌だった? ゴメンね」
「う、ううん。そうじゃないの。ユージくんにメガネをかけないでって言っただけのつもりだったのに、こんなことになっちゃって驚いてるの」
「そうなの? 俺はタマちゃんが好きって言ってくれて嬉しかったよ。両想いだって分かったしね。もしかして……やっぱり嫌なの?」
「そんなことない! あたしがユージくんのことを大好きって気持ちに嘘はないから! これからも末永くよろしくお願いします」
「こちらこそ♪」

 最初は珠姫の妄想から始まったこのちょっとしたドタバタ劇は、一組のほのぼのカップルを生みだして幕を閉じた。
 なお、このやり取りは剣道部部員、顧問の虎侍の目の前で堂々と行われていて、二人のラブラブな空気に卒倒寸前だったりする。
 ちなみに珠姫は「銀○」の影響なのか、それ以来かなりくだけた性格になってしまった。