「じゃーねー、タマちゃーん。また練習しようねー」
「岩堀!」

 川添道場に怒号が響き渡る。

「アンタは、練習しに来てるって自覚をもちなさいよ!」
「わかってるって、そう怒るなよ~」

 プリプリと怒りながら、竹刀を片付けにいく近本を横目で見つつユージは岩堀に疑問をぶつけた。
「あの……岩堀君」
「ん?」
「どうして、彼女をからかうんですか? なんか、彼女キミにほれてるんじゃないかなあって」

 その質問に岩堀はクスクスと笑いながら答える。

「ああ、あいつとは幼稚園の頃からの幼馴染なんだよ。
考えも何もかもお見通しでさ。倦怠期ってわけじゃないけど、普通の態度じゃあきてきたころなんだよね」
「よくわかんないや」
「おいおい、アンタだってタマちゃんとは幼馴染とかじゃないのか?」
「え? まあ、幼稚園の頃から一緒だけど」

 ユージはタマのほうを見ながら考える。

「別に、そういう関係じゃないしなあ」
「ハッ!」

 岩堀は、そんなユージを鼻で笑いつつ切り捨てるようにいった。

「あんた、本当に剣道・バ・カ・だな」
「? ほめ言葉?」
「本当にお前って……」
最終更新:2008年07月28日 18:09