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がばっ
「!!………」(ぐすん)


「おはよーっ、ってキリノどうしちゃったの?」
朝練の為に早めに学校にやって来たサヤが見たのは、しおらしくもコジローの服の裾をぎゅっと掴んで離さないキリノ。
「………。」
「いや、それが、俺がおまえらの試合の途中にいなくなったっきり学校からも姿を消しちまう夢を見たらしく…」
「はぁ…」
「悲しい夢だったらしく…」
「はぁ…。確かに先生には前科あるからねぇ…。でも、まぁたまにはそういう日があってもいいんじゃない?仲がいい感じで。」
「そうは言ってもなぁ。授業が始まってもこのままってのは立場的にもたまったもんじゃないんだよ。」


そして結局朝練の間、今日のキリノはコジローの服を掴んだまま離れなかった……。

「さて、みんなも教室に向かったし俺も一時間目から授業あるからそろそろ行こうかっ。」
「!!」
それを聞いてコジローの服をさらに強く握るキリノ。
「………朝一で世界史の授業なんて、みんな眠くって聞いてないんだから………自習……にしちゃえばいいんすよ………。」
「!?」(て、それでおまえも授業出ないつもりかよ。)
コジローとしても、あの真面目なキリノがこんなことまで言いだすとは思わなかったためさすがに驚いた。
そして同時に、以前自分がとった行動がどれだけキリノの情緒に不安と淋しさを与えてしまっていたかということに気付かされる。
そう考えると今日のキリノの言動ももっともな気がした。。
「はぁ……、いいか?もう俺はどこにも行かない。おまえが卒業するまで、いや………。…とにかく、おまえに黙って離れる様なことをするつもりはない。安心して授業行ってこい。」
「ホント?」
「…あぁ。」
「ホントにホント?」
「ホントにホントっ!」
キリノだけではなく自分にも言い聞かせるつもりで、頭に手を置いて軽くなでてやる。
するとキリノの顔から不安が消え、ようやく手を離してくれた。

……
「せんせっ、早くしないと授業始まっちゃうっすよ!」
道場の下駄箱の前で足踏みしながらキリノが叫ぶ。
「ちょ…(もう靴履き替えてやがる…)、早えぇんだよ、おまえは練習してないからいいかもしれんが、俺はこれから着替えにゃならんのにっ!!」
「早くしないと置いてっちゃうよー!」
「待ってくれよ~。だから今着替えてんだろっ!」

……
「悪りぃ、さぁ急ぐぞっ」
仕上げのネクタイをしめ、キリノのいる下駄箱まで走っていく…。先程言いかけた言葉を胸に反芻しながら。。
(…俺だってもう、たとえ卒業したって、おまえと離れられんっ。)


誰もいなくなった道場に始業を知らせるチャイムの音が鳴り響く…