ウ「地味だけど基本がしっかりしてるわ。それにセンスもある。きっと強くなれるわよ、あなた。私はウラ。榊心。心と書いてウラって読むの。あなた、名前は?」
ユ「勇次です。中田勇次。榊さ「ウラでいいわよ」……ウラさん」
ウ「ありがとう勇次。ウフフッ、ようやく巡り合えた、私のブラックデュラン」
ユ「ブ、ブラックデュランですか?」
ウ「そう。戦隊モノとしては一人だけという地味さだけど、一人で戦い抜ける真の力を持ったヒーローよ。勇次、私にはあなたにもその真の力が備わってると確信したわ」

キ「タマちゃんタマちゃん。さっきから榊さんが言ってるブラックデュランってなーにー?」
タ「あたしも詳しくは知りません。バトルヒーローシリーズの中で一人しかヒーローがいないという変り種としか……」
サヤ「バトルヒーローで一人しかいないってものすっっっごく地味ねー。こりゃーユージくんにピッタリだわ!!」
タ「ユージ君は地味なんかじゃありません。サヤ先輩、それ以上言ったらアトミックファイアーブレードですから」
サヤ「ひいいいいいっ!! キリノー、タマちゃんにノドに穴開けられるよー!」
キ「あー、はいはい。あとでちゃんと謝っておこーねー。そういえばミヤミヤ、さっきから静かだけどどったの?」
ミ「いえ、あのユージ君にあそこまでご執心だなんて変わっ「宮崎さん……?」なかなか見る目があるわねー。ダンくんもそう思うでしょ?」
ダ「そうだな~。ユージのいいところを会ってすぐに見抜くなんて大した人だぞ~」
サト「あ! 仲良く談笑してる二人に動きがありました……ウソ……でしょ」

室江高校剣道部部員全員が驚いていた。いきなりウラがユージに情熱的に抱きついてキスをしたのだから
唇を離した後もウラはユージを熱の篭った視線で見つめていた。我を取り戻したユージがようやく口を開いた

ユ「ウ、ウラさん……? あの、今のは一体何の……つもりですか?」
ウ「うろたえちゃってかわいいのね、勇次は。はしたない女だと思った?」
ユ「いえ、そ、そんなことはないです……。で、さっきのキスは一体……」
ウ「あれは約束の証よ。私は女子の部で、勇次は男子の部で玉竜旗で優勝するっていうね」
ユ「お、おおおお俺がですか! 無理ですよ! 俺なんてまだまだで「そんなことないわよ」え……」
ウ「あなたは実戦、しかも相手が高レベルなほど実力がついていくタイプだと私は思うの。だから自信を持って。そして信じて欲しい、あなたを一番に信じてる私を」
タ(ユージ君を一番に信頼してる? 違う! ユージ君を誰よりも信頼してるのはあたし! そしてユージ君の側に一生いるのもあたしなんだから!)
ウ「そろそろ試合が始まるわね。じゃあね勇次。あなたの試合「させません!」……何者?」
ユ「タ、タマちゃん? いやそれよりもさせませんってもしかしてさっきの……みんなで覗き見してたんですね」

ウラの熱烈アタックに業を煮やした珠姫がユージと心の前に姿を表した。その表情はかなりむくれていた。
珠姫の少し後方にはキリノ達がいた。キリノ、サヤ、サトリは申し訳無さそうな、都とダンはいつも通りの顔でこちらを見ていた。
そうこうしてる間にも珠姫と心の間には恋の火花がバチバチと音を上げて散っていた。

ウ「私と勇次の間に割って入るなんて失礼な子供ね」
タ「子供じゃありません! あたしは室江高校剣道部一年、そしてユージ君の一番の理解者の川添珠姫です!」
ウ「そう、川添さんね。……成程、いい目つきね。それに体から漲る鋭い覇気。あなた強いわね、とてつもなく。子供と言ってしまってごめんなさい。失礼だったわね」
タ「い、いえ……。で、でもでも、優勝もユージ君の横も絶対に譲りませんから!」
ウ「それはこちらも同じよ。玉竜旗の優勝も大事だけど、勇次のことはそれ以上に大切なの。私が長年捜し求めていた理想の人なんだから」
タ「あたしも榊さんと同じです。だから負けません! 決着は決勝戦で着けましょう!」
ウ「望む所よ。楽しみにしてるわ、川添さん。勇次、頑張ってね♪」
タ「ファイトだよ! ユージ君。あたしのユージ君ならその気になったら玉竜旗の優勝も夢じゃないから! 応援してるからね♪」

心と珠姫はユージにエールを送るとその場から去ってしまった。
最初は放心状態だったユージだが、心と珠姫という二人の勝利の女神のおかげと、日頃から珠姫の相手をしていたユージ自身の自力がついていたことも起因して見事に優勝
そして玉竜旗女子の部の決勝戦、川添珠姫VS榊心の試合は後世に語り継がれるほどの好試合となったとだけ言っておこう
最終更新:2008年06月16日 21:58