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「明日は、女子高で練習試合。いやー、たまには癒されるのもいいもんだよなあ、ユージ」
「ま、まあ。そうですね」
「お、珍しく意見が合うじゃないか」
「まあ、ボクも一応男なんで。ただ、女子高じゃ僕らは出番ないですね」
「ウチの部の女子とは違う新鮮な女子高生。コアミルクみたいなかわいい子がいるかな~」
「アイドル級の人はさすがにいないんじゃ」

そんなバカな会話を繰り広げるコジローとユージ。
その後ろで約1名、いや2名の人物から殺気が放たれているのに
彼らは気づいていなかった。

「あれ、タマちゃんどうしたの、なんか怖いよ?」
キリノが、コジロー人形MK2に木刀で突きを繰り返しながらタマに話しかける。
「キリノ先輩こそ、冷静じゃないですね。どうしたんですか?」
タマが素振りをしながらキリノに応える。
その勢いで、ユージ執筆の「一球入魂」の掛け軸が屋外に吹き飛んだ。

「俺ら、もー、モテモテかもな~ユージ」
「何いってるんですか、先生。その先生にはキリノ部長がいるじゃないですか」
「いや~、別にキリノとは普通の教師と生徒だぜ?」

後ろで、音もなくコジローMK2人形が砕け散る。

「そういう、お前こそタマとはどうなんだよ」
「タマちゃんとは、別にそういう関係じゃないですよ。ねえタマちゃん」

ユージが後ろを振りかえってタマキに声をかける。
「うん」
タマキがそっけなく応えると、ふたたびユージはコジローのほうを向き直る。
「ほら。だいたい、俺の好みは年上のお姉さんなんで」
「お前好みのお姉さんがいるかもしれないぜ?」

風に吹かれて道場に戻ってきた「一球入魂」の掛け軸が
紙ごみと化して再び道場の外に飛んでいった。

「まあ、タマじゃお姉さんって感じはしないしな。いろいろ小さいし」
「先生。それはセクハラでは」


「タマちゃん、楽しみだね~。練習試合」
「はい。でもその前に、急にユージくんと練習がしたくなりました」
「うん、奇遇だね。あたしも先生と練習したくなってきたよ」

2匹の修羅がそこにいた。


「こ……こわいよー、ミヤミヤー、さとり~ん。道場に入れないよ~」
その様子を入口から見ていたサヤがオロオロとつぶやく。
「困りましたね……」
「あの2人、気づいてないぞ~」
「あ、あの。タ、タマちゃんが振っているもの竹刀なんですか? 木刀に見えるんですが」
「あの2人も、いい加減女泣かせな態度はやめるべきだろ~」
「う~ん。タマちゃんもキリノも、意外と自分に素直じゃないのよね……」
「え、先生と元部長って付き合ってないんですか?」
「誠。そーいうのは公然の秘密ってやつなのよ、きっと」
事情がまだ飲み込めていない新入部員たちが疑問を発する。
「あー……まあ、ね。いろいろ素直じゃないのよ。あの4人は」
サヤがつぶやいた。



「男、年上、経験者」
「タ、タマちゃん。ちょっと、落ち着いて!」
「あと、悪」
「グハアッ!!」

ユージがアトミックファイアーブレードを立て続けにくらって吹き飛んだ。

「お父さん、これは剣道じゃないです」
「剣道の練習だよ! タマちゃん!」
ユージが必死にタマをなだめる。
「せ、先生。何とかしてください!」
ユージが懇願するも、その視線の先では……

「メェェェェェン!」
「いっててててててて、キリノ。まだ、面つけてないから、面!」
「あれえ? コジロー先生の人形と間違えちゃいましたよ~」

コジローがキリノにボコボコにされていた。

「ユ、ユージ……こいつら、いったいどうしたんだ?」
「さ、さあ……・」

え、わかってないのかいな。
サヤが心のなかで突っ込みを入れる。
しかし、怖い。今日の2人はミヤミヤのブラックが乗り移ったかのようだ。

「女の嫉妬は怖いな~、ミヤミヤ」
「あの2人が、あんなところで駄目な話してるのが悪いのよ、ダンくん」

「……誠。あんたも気をつけたほうがいいわよ」
「え? どうして忍ちゃん?」
「……」
「ちょっと、犠牲者増えるから、そこ、やめなさい」

サヤが新入生をなだめる。
「まあ、でも小説のネタになるし、おもしろいから携帯でとっとこ」
「あ、あたしもとります~」
「お、ユージがきりもみしながら吹っ飛んだぞ~」
「コジロー先生が、竹刀の束に落下しましたよ」
「あ、見てみてミヤミヤ! あのコジロー先生の顔トドみたい」
「あんな、情けない顔のユージも珍しいな~」


「た、たすけてくれぇ!」

ニブい男子2人の悲鳴があたりに響きわたった。