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775 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/19(月) 08:04:10 ID:53SbslMs
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778 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/19(月) 08:55:39 ID:Lu6Rvgbp
  • 775
先生がいなくなる夢を見た翌朝のキリノですね、わかります

779 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/19(月) 09:03:13 ID:hx4wyvVe
そんな怖い夢を見てしまったら多分この日コジローが学校に行かせてもらえないな



「学校行くから、はーなーせー!」
「嫌だよ…離れないでよぅ…じゃああたしも久し振りに学校行く!」
「………はぁ?」
「おかーさんにお店お願いするもん」
「ちょっちょちょ、ちょい待て。行くってどうやって…?」

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

「外山…忍。」
「はーい!」
「(…ったく……)」

教室の中央に鎮座する、あからさまな違和感。
もちろん全員がそれに気付いてはいるが、余りの堂々っぷりに声も出ない。
キリノが忍に電話をかけ、道場で制服と私服を入れ替えたのがほんの小一時間前―――それから席についたのが数分前。
ともあれ、こんな話を快諾する忍も忍だ。まああいつの場合ただサボりたかっただけ、というのが本音だろうが。
しかしどうにか俺のHRが終わるとこぞってその違和感の塊……キリノに殺到する女子生徒。

「おねーさん、誰?」
「しのむーは?」
「えへへ…無理言って代わって貰ったの、今日一日だけだけど、よろしくねー」
「そっかー…うん、よろしく~」
「よろしくー」

――――そんなんでいいのか。大丈夫かこの学校。
大体お前もう20歳だぞ無理があるだろう常識的に考えて。
しかし…いきなり別人が、っていう事を考えなければ、少なくとも見た目上は…全く違和感が無い。
……いや、下手をすれば3年の女子連中に比べるとキリノの方がまだ幼く見えるくらいだ。
案の定、キリノはいきなり打ち解けて何やら周りと談笑を始めた。
俺は…知らねーぞ、もう。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

「いやー楽しいっすね、久し振りの学校も」
「俺の苦労もちっとは考えてくれ…」

どうにかこうにか午前の授業を終わらせ、
二人分の弁当を空けながら道場で一息入れる。
4時間目の政経の授業は地獄だった…
何を吹き込んだのだか、俺が教室に入るや否や巻き起こる黄色い歓声やら口笛やら。
その中心で、頭をぽりぽりかきながらこっちに小さく手を振るキリノ―――お、お前な。何話したんだ。
そのまま授業中も俺を見る数奇の目には耐えられず…ひたすら板書と教科書を朗読したのみ。

「………っとに、今日だけだからな」
「わかってますって~でも…」
「あんだよ?」
「学校でこんなにイチャイチャできるなんて、ちょっと新鮮…かも」
「おいおい…危ない趣味だな…」
「だって…ホントに居た時はずっとガマンしてたし…」
「いやまあそりゃそうだけど」

手を繋いだのも、卒業後――――
キスをしたのも、卒業後――――
恋人未満の壁を越えたのも――――
当時を思い出せば、我ながらよく理性が持ったな、とはつくづく思う。
こいつにも相当な無理をさせてしまった。その反動か、今ではこれほどに…なのだが。ゴホン。
だがそんなセンチに浸るこちらの気分などはお構いなしと言う調子で、キリノ。

「あ~あ、こんな事なら在学中からもっと色んな事しておけばよかったな~」
「いや、してたら俺がクビになるんだっつの」
「隠れてするくらいいじゃないっすか、現に今だって二人きりなんだし…」
「おっ、おい…」

……んちゅう。
口一杯にさっきまで食べていたメンチカツの味が広がる。
そのまま俺のほっぺについてたご飯粒を舐めとり、にへへと笑うキリノ。
照れてしまってほとんど言葉も出ないが、辛うじて。

「…ホントに、エロくなりやがって…」
「先生が奥手なだけですって…あたし何も、変わってませんよ?ガマンしなくなっただけで」
「それにしてもなんか今日はテンション高いだろ…そんなモン着てるからか」
「それもあるけど…先生…」
「なっ、なに?」

一転してキリノの形相が変わる。
あからさまに怒っている…俺、なんかしたっけ?

「忍ちゃんの友達に聞いたんだけど…先生、まだ生徒にパン貰ってるって…」
「!!!……い、いやあれはそのホラさ、くれるってゆーしさ、小腹がすく事もあるわけだよ、弁当空けるにもまだ早いしなーって…」
「………3倍、作る」
「は?」
「明日からおべんとの量3倍、味も3倍おいしく、愛情も3倍かけるから!もう貰わないで…」
「うう…わーったよ……ごめんな、キリノ」

泣き出しそうになってるキリノの頭を撫でてやっていると、
後ろの引き戸が開き、誰かが入って来る。
ぎょっとして身構えていると、それは産休と育児休暇を終え復職した吉河先生だ。

「あら、石田先生、と……キリノさん?え、何で?」
「いやー、えへへ…」
「よ、吉河先生、道場に何か御用すか?」
「いえ、ちょっと…あたしもちょっと稽古で…竹刀でも振ろうかなって…お二人は?」
「い、いやーあの……」

二人して返答に窮していると。
なにやら”何者か”に抱える苛立ちを、
そのままこちらにぶつけるように吐き捨て、立ち去ろうとする吉河先生。

「制服プレイですか?羨ましいですねえ。じゃああたしお仕事がありますので」
「あ、ちょっ……」

―――――がらがらがらがら、ぴしゃっ!
いい音で引き戸が閉まる。その叩きつける勢いのよさに驚いたねこが少し跳ねた。

「……おい、吉河先生、なんか目が全く笑ってなかったんだが…」
「なんか旦那さんと倦怠期らしいですよ。ババアに町戸高クビにさせられちゃったとかで」
「け、稽古って…ストレス発散って意味かよ……ってか、そんなのまで、わかるの?」
「ちっちっち、女の子の情報網なめちゃいけませんぜセンセー」

こ、こええ。女って奴はこれだから。
しかし、我が身を振り返れば……途端に、パンを断れなかった自分の迂闊さに寒気がする。

「な、なーキリノ?」
「なんすかセンセー」
「お、俺絶対浮気なんてしないからな。絶対だぞ絶対」
「……当たり前じゃないっすか。何言ってるんすか急にもー」
「あ、はは、はは、は」

不安か、猜疑か、心配か、嫉妬かそれとも。
自分に向けられるキリノの眼差しの意味を読み取れない俺が
背中を脂汗でグショグショにしていると……予鈴が鳴った。

――――キーン、コーン、カーン、コーン。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

「いやー今日は楽しかったっすねえ」
「まあ…部員も増えたしな」

忍と服を取り替えっこし、部活も終わった完全放課、家に向けて車を走らせる。
まさかキリノが部活にまで付いて来るとは思いもしなかったが…
とはいえ結果的に今日はこいつとは授業の時間以外、片時も離れなかった事になる。
ん?そういえば何でコイツ今日はこんな朝からベタベタなんだっけ?

「……なあ、今日ってホントにおかしいだろお前、何があった?」
「あー、夢を見たんすよ」
「夢、とかって…」

そんな事で今日一日振り回されたのかと思うと…
流石に腹に据えかねる物もある。

「むぅ~、バカにしてますね?」
「バカにって言うか…あのな、俺の苦労も…」
「だって先生、居なくなっちゃうじゃないですか」
「なんねえって!帰って来たじゃん、ちゃんと!」
「でも…夢の中では、居なかったんだもん…」

信号が赤で止まると、ギアを入れ替える俺の左手にそっと添えられる右手。
その手は少し震えている。

「危ないから」
「やだ」

そのまま腕から肩へと駆け上り、
運転席の俺に顔をくっつけ頬をすりすりするキリノ。

「アブネーって」
「やだやだやだ」

そのまま永遠に信号が赤で、ずっとくっついているかに見えたキリノだが…
しかし、横の信号が変わったのを見ると残念そうに腕を離し、助手席に身体を戻す。
こういう所は流石のこいつ、なのだが。

「……わかったよ」
「え…?」
「今日は朝まで、ずっと一緒に……手繋いで寝てやるから」
「…それだけ?」
「……ああもう!10倍返しだ!10倍可愛がってやるからさ!……言わせんなよこんな事…」
「えへへ、できればその…」
「まだ何かあんのかよ?」
「あたしと一緒の夢、見てください」
「……無茶を言うなって!」


今日の夜も―――寝させてもらえそうもないな、これは。




おわる