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「じゃー、遠慮なくいっちゃいますよ」
 紀梨乃は爪先立ちになると、虎侍の唇に自分の唇を押し当てた。
「キリ……ん……」
「ん……えへへ」
 密着と言っていい至近距離に、紀梨乃の満面の笑みが広がる。
 その感触は柔らかく、触れているだけというのが信じられないほど肉感的だった。
 紀梨乃に負担がかからないよう、虎侍はわずかに腰を落とし、両手を背に回した。
 やがて紀梨乃の唇は虎侍の下唇を挟み込み、からかうようにはむはむと甘く噛んでくる。
 その心地よさに目を細め、口が自然と開いたその瞬間、狙い澄ましたように紀梨乃の舌が口の中に滑り込んできた。
「ん゙っ!?」
 慌てて目を合わせると、当の紀梨乃はしてやったりとばかりに目を弓にして笑んでいた。
 それについて何か思うより前に、舌を舌で舐められる感覚に全ての思考が吹き飛んだ。
「んっ…ちゅ……へんへぇ……」
 唾液をたっぷり含んだ舌を絡ませ、紀梨乃は虎侍の口の中へ直に囁きを流し込んできた。
 粘膜と粘膜の触れ合いは生々しい音を伴って情欲を揺さぶってくる。
 さらに追い討ちをかけるように、とろりと唾液が舌の上へ注がれる。
 自分のものでない唾液の温度を虎侍は不快とは感じなかった。
 何しろ紀梨乃の口で生み出されたものだ。躊躇うことなく、虎侍はそれを嚥下した。
 喉の鳴る音を聞き、紀梨乃は嬉しそうにぺろぺろと上あごを舐めてくる。
(……こいつほんと猫みたいだな)
 くるくる変わる表情を微笑ましい気分で見守り、口中を探索されるくすぐったさに口の端を歪める。
 しかし、やられっぱなしというのも年上として何か情けない。
 虎侍は思い切って、紀梨乃の舌を彼女の口腔へと押し返した。
「ひぇんひぇ?」
 意外そうに、もごもごと言葉にならない言葉を放つ紀梨乃の頭をぽんと一度叩くと、今度は虎侍の方から舌を絡めた。
「ひゃ……ん……!」
 打って変わって初々しく震えた身体をそっと抱き寄せ、小さな舌のあらゆる部分をつつき回す。
 その全てが性感帯であるように紀梨乃はぴくんぴくんと背を跳ねさせる。
 攻めているとはいえ、使っているのも自分の剥き出しの粘膜だ。
 ぬめり合う感触に、唾液の気泡の弾ける実感に、紀梨乃の中へ自分の体液を塗りたくるという行為に、身体中が熱くなる。
 試しに先ほどのお返しとして唾液を流し込んでみれば、紀梨乃はそれが蜜であるかのように美味しそうに飲んだ。
 そしてとろんとした目で見つめてくる。
 いつの間にか紀梨乃は体重のほとんどを預けてきており、膝にはまるで力が入っていない。
 しかしそこで終わらず、虎侍は紀梨乃の口内のあらゆる部分を激しく、半ば乱暴に舐め回した。
「んぅ! んっ、んんんっ!!」
 にちゃにちゃと下品で粘着質の音が内側から直に鼓膜を揺らす。
 テクニックも何もない、貪るようなキスに紀梨乃は身をよじり、しかし決して離れようとはしなかった。
 溢れた唾液が顎を伝って落ちるのが分かるが、どうにも止められない。
 紅潮し、目の端に涙を溜める紀梨乃をどうしようもなく愛おしく思いながら、尚もその口中を掻き回す。
「ひぁ……! ひぇ、ひぇんひぇ……! んっ……!」
 紀梨乃の声のトーンは次第に高くなり、必死に鼻でしている呼吸が切羽詰まったように早まる。
 恥ずかしそうに、不安そうに揺れる瞳から虎侍は一瞬たりとも目を離さず、強い想いを込めて見つめる。
 やがて紀梨乃の切なげな震えは全身に及んで、濡れきった瞳はすがるように虎侍を見つめ返した。
 もはや自分で立つことを放棄しており、虎侍が手を離せばその場に崩れ落ちてしまうだろう。
 ――大丈夫だ。
 目でそう言い聞かせ、片手で頭をそっと撫でた。
「んぁっ……――!!」
 感極まったように紀梨乃の身体が一度大きく跳ね、目がぎゅっと固く瞑られた。
 同時に、ようやく二人の唇が離れる。
 細く粘った糸が互いの舌の間に何本も引き、明かりをきらきらと反射していた。
 しわくちゃのハンカチをポケットから取り出し、顎を拭いてやると紀梨乃は大きく満足げな息を吐いた。
「ふわぁぁ……先生、凄かったっす……」
「ああ、俺も良かった。ていうかキリノ、お前キス好きすぎ」
 紀梨乃の表情は情事をやり遂げたかのように蕩けている。
 せっかく部活の後にシャワーを浴びたというのに、制服のシャツは汗でじっとりと湿ってしまっていた。
「だって先生ってばあんな激しくあたしん中掻き回して、どろどろって奥にいっぱい注いでくるんですもん」
「そーゆー言い方は誤解を招くからやめろっての」
「んふー」
 聞いているのかいないのか、紀梨乃はぐったりと幸せそうにコジローの肩に顎を乗せた。
「あ、先生も結構汗かいてる」
「嗅ぐな嗅ぐな」
「やですよ。嗅ぎます」
 あたしが出させてあげた汗なんですから、と首筋に囁き、紀梨乃はすんすんと鼻を鳴らすのだった。