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「お、エビフライいただき!」
フォークに刺さったお弁当のエビフライを
コジローがヒョイと取り上げて口に放り込んだ。
「あー、先生。何するんですかぁ!もおー」
ふいをつかれたキリノは思わず、コジローに抗議する。
「はははは……すまん。すまん」
「もー、言ってくれればエビフライくらいあげるのに」

じゃれあう2人の姿をあきれるように見ていた長髪の女の子が、
不思議そうにクビをかしげた。
「うーん。なんだろう。この光景、昔見たような……」
「奇遇だね。あたしもなんだ」
ショートカットの少女が、その疑問に追従するように答えた。
「なんか……大昔にみたような」


時は元禄。
町外れの丘の上では、町娘たちが風呂敷を広げて昼餉を楽しんでいた。
「ふう、武士はくわねど高楊枝というが……腹が減った」
腹をすかせて、道を歩いているのは、下級武士の石田である。
「このままでは、行き倒れてしまうか。ん、あれは」
そこで目に入ったのは、町娘たち。
石田のよく知るそうざい屋の娘の姿もそこにあった。

「すまぬ、その天ぷらをいただいた!」
「あ! もー、お侍さんったら、言ってくれたらいくらでもあげますのに」
箸でつまんでいた海老の天ぷらを奪われた一人の町娘が
顔を赤らめながらつぶやく。
「いやあ、すまんな。キリノ」


時は再び、現代。

「うーん、どっかでこの光景見たことあるのよねえ」
長髪の女の子がクビをかしげる。
「まあ、いっつもこんなことやってるからねえ」
ショートカットの女の子があきれながら言葉を返した。


時は西暦3009年。
スペースシップ・ムロエの船長であるイッシーダは空腹に耐えつつ
コクピットを覗き込む。
そこでは、オペレーターのキリ・ノたちが宇宙食のエビフライキューブを食べていた。
「それ、いただき!」
「あ、もー何するんですか船長。言ってくれたら船長の分も用意しますよ~?」

その光景を見ていたアンドロイドAとアンドロイドBが
座標計算をしながらヒソヒソとつぶやく。
「ねえ、なんか懐かしい感じがしない?」
「私たちの記憶に該当するメモリーはないのに、不思議です」


時は戻って、平安。
下級貴族の石田は──。