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「跳躍素振り100本、始め!」
疲れた。
か弱い女の子にこんな運動をさせるなんて、練習メニューが間違ってる。
なんて口に出したら監督に怒られるだろーなー……
「はぁ、はぁ…」
……女の子の私はいいとして、このくらいで息を切らしている男子ってホント駄目。
弱いし、情け無いし、格好悪いし。
「面つけ!」
「「「「「はい!!」」」」
「青木ィ、相手してよ」
小西さん、県北大会があってから暫く練習休んでいたけど、今日はサッパリした顔して部活に顔を出した。
ふふん、小西さんは自他ともに認める東城高校のNo1だけど、今なら私でも勝てるかも知れないね。
私には朧蜜蜂もあるし!!
ふふ、私の朧蜜蜂は十八もあるのよ
ふふふ、あの室江高校の代表決定戦で決まった朧蜜蜂だってさらに改良してあるんだから!
「いやぁぁぁあぁ!!!」
「やぁぁあぁぁぁ!!!」
小西さんが尺取り足で距離を詰めてくる。
(今だ!!)
「朧蜜蜂・旋!!」
朧蜜蜂にSの字の動きを加えた改良技!!
「メーン!!」
……アレ?
「青木、何、今の?目の前でウロウロしてさ、そんなんじゃ打ってくれって言ってるようなもんじゃない」
そんなぁ……朧蜜蜂にそんな弱点が存在したなんてぇ!
「ホラ、構えなよ。次は真面目にやんなよ」
「………」
「なんだい?」
「小西さん、やる気ですね!」
「ま、まあね。次の昇竜旗で、またやりたいんだよ。ホラ、アタシに突きを入れた子のいる……」
室江高校か。
そういえば、室江高校って男子いないのかなぁ……

「男子?あれ、でも小西さんとやった子の足にさスプレーかけてた男の人居なかったっけ?」
寺池さん、意外と記憶力いいですね……
「でもそれってマネージャーなんじゃない?」
「そーかもね、なんか地味だったし」
マネージャーと地味は関係ないんじゃ……
「私しってるよぉ。彼、多分選手だと思うけどなぁ」
「おっと、井口っちん、彼とは爆弾発言かーー!!」
「ち、違うよ、同じ中学校だったんだよ!剣道部だったし。一応、県大会ベスト8だったよ」
「マジで?強いじゃん」
万年一回戦敗退のウチの男子とは大違いだねぇ……
「名前は?名前は?」
「えっと……アレ?」
「忘れたの?ひどいわー」
「さっき地味って言ったの誰だっけ?」
「思い出した!確か田中勇次、ユージ君だよ!」
「小西さん、まだ素振りしてたんですか?もうみんな着替えちゃいましたよ?」
「ああ、悪いね。道場の鍵は私が締めておくからさ」
小西さんやる気だなぁ……さっさと返っちゃった男子とはエライ違いだ。やっぱりウチの男子にロクなのいないや。


┏━━━━┓         ――        ┏━━┓
┃手地家お┃      /:::::::::::::::::::ヽ   +  ┃ユそ┃
┃伝味にじ ┃     /i| ||i| |il |li l| |l::| +    ┃ l の ┃
┃っに行い ┃  +   /== == l|┐/  +    ┃ジこ┃
┃て畑っち ┃   +   ヽ_ ∇〃_//        ┃はろ┃
┃いをてゃ ┃ + +   /T==7 ~ゝ  +    ┗━━┛
┃た   ん ┃     /| || ////ヽ+
┃    の ┃  +  く _| || / i/    |i +
┗━━━━┛      ノ L||L:i/___| l
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昇竜旗大会会場にウチはバスを借りて到着。
前は現地集合だったみたいだけど、最近は成績良いから部費も学校から結構降りてるらしい。
監督は女性なのに妙にバスの運転が似合ってた。
なんていうか……男気?
2○才独身・彼氏無し。剣道と教師一筋って感じ。ちょっとカッコイイけど、ああはなりたくない。
彼氏……私だって欲しいなぁ……
個人戦の受付に並ぶ。前の人、金胴に白胴着だカッコイイ!
秀玉高校か……いーなー、ウチもああいうお揃いの防具付けたいなー
「青木、前進んだよ」
小西さんにせっつかれて、私は列を進んだ。そういえば室江は参加しているかなぁ?
噂をすればなんとか。名簿に名前を書いて列を外れた丁度その時、室江のあの小さくて強い子が体育館に入ってきた!
「…………」
うわー、小西さんの目が開いたよ!燃えてるよ小西さん!!ちょっと怖いよ!
あ、あの子の隣、男子だ。防具付けてる。やっぱりマネージャーじゃなくて選手だったんだ。
手を振って室江の人達と別れていった。男子の登録は別の入り口だもんね。
ふーん……あの人強いのかなぁ?



ううぅ、小西さんと同じタイミングで試合のせいで、みんな小西さんの応援に行っちゃったよぉ……
「やぁぁあぁ!!」
成明高校か……多分初心者だなぁ。動きがぎこちないや。試合慣れしてない感じ。
「メェーーン!!」
「コテェェーー!」
デバナを挫いて小手を獲る。面か。初心者は獲りやすそうな小手でくると思ってたんだけど
素直な子なんだろうな。それに一生懸命練習したんだろう、キレイな面だった。
「(ゴメンね……)、新・朧蜜蜂・旋!!」
赤旗が揚がる。私の二本勝ち。

井口っちんは鎌崎高校の近藤って人に負けちゃったみたい。他はみんな一回戦は抜け。
暫く試合も無いし、一応、男子の応援でもしようかなー。
「ねえ、向こうにいるの室江の小っさい子じゃない!?」
「あーホントだー」
「ってコトはウチの相手って室江の男子?」
試合会場では私から見ても一発で判るぐらい、ウチが追いつめられていた。
ホント、ウチの男子ってダメダメ。

「う……やぁぁあ!メーーン!!」
「メェェェン!!」

「うわ…」
面打ち落とし面だ……。あの人、強い!
「凄いじゃん」
「やっぱ男子の試合はこう、パワフルじゃないとね!」
「ウチの男子が弱すぎるから、ああいう難しい技も決められちゃうんだけどねぇ」
いつの間にか小西さんまで加わって、室江高の男子の話題で私達は持ちきりになっていた。
横でウチの男子がボロボロに扱き下ろされて涙目だったけど


「朧揚羽!!」
ふふふ…二回戦も順調勝ち!私の十八の技の一つ、朧揚羽も決まって絶好調!!
「やるじゃないか、青木。でもさっきのすり上げ面、ちょっと斜めから入って強引だったね」
何言ってるんですか、あの逆袈裟から入るから朧揚羽なんですよ、小西さん!
「私、今日絶好調ですよ!準々決勝で小西さんと勝負するつもりですから!!」
「そうかい、頑張ってね。アンタの次の相手強敵だよ。私も絶対準々決勝までいくつもりだけどね!」
「はい!!」
ふふふ……小西さんは知らないだろうけど、実はこの日の為に対小西さん用の般若蜜蜂っていう必殺技を考えてきたんだから!!
みんなビックリするだろなー、私が小西さんに勝ったら!下克上ってカンジ!なんちゃって!
さてと、三回戦の相手は……
「あ、室江高校だ!室江高校の川添さんかぁー……川添!?」
アレ?どこかで見たような聞いたような……
「青木先輩、次試合ですよ!」
あ、面付けなきゃ……
「始め!!」
「やぁぁああ!!!」
ひぃぃ!!やっぱりあの小さくて強い子だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「メェェェェン!!」

うぅ……朧蜜蜂を出す暇もなかったよぉ……
「あの、小手落としましたよ」
え?
「はい」
あ、室江高校の男子の……
「あ、さっきタマちゃんと試合した人だ」
「え、は、はい」
見てたんだ……
「前にキリノ先輩とも試合したコトもあったでしょ?攻撃に移るとき、すこし足捌きのタイミングが変わるから覚えてたんだ、俺」
お、朧蜜蜂のコトかな?
「あれ、なにか名前付けてたよね?」
え?ええ!?わ、私もしかして声に出してた!?!
「えっと確か……朧…朧……」
やめてーー!!恥ずかしいーーーー!!
「朧豆腐?」
「朧蜜蜂です!!」
あ……
「そうそう!朧蜜蜂!!」
死なせてー!もう死なせてーー!!!
「カッコイイね、朧蜜蜂」
「え……えぇ!!」
「あ、俺もうすぐ試合だから。じゃ…」
ポカーン……
………
……

私の朧蜜蜂をカッコイイって……違う、違うよあの人!ウチのダサヨワヘボ男子部員とは全然違う!!
剣道強いし、センスいいし、顔は……地味だったけど悪くないし!!
名前…なんて言ったっけ?たしか井口っちんの話しだと……田中勇次?ユージ君か!
あ、いきなり下の名前って失礼かな?
「みーたーぞー」
「うわっ!?」
「青木ぃー何時の間に他の学校の男子と仲良くしてぇー」
違いますよ、寺池さん!?
「顔真っ赤」
それは朧蜜蜂を……うう、言えない
「私達、小西先輩の応援にいくけど……いいよ?青木は彼の応援にいっても?」
佐藤さん、目が笑ってないよぉ……







そのころユージは
「タマちゃん、次勝ったら鈴木さんとだよ、頑張ってね!」
「うん、ユージくんも頑張ってね」



違うのに!全然違うのに!
彼とは初対面なのに!別に付き合ってる訳じゃないのに!!
「止め!反則1回」
……って、私見に来ちゃってるしぃ!!
相手の人、小さいな(小さいってレベルじゃない気がするけど)ーって、相手も室江高だ。
へぇ、同校対決なんだ。室江の男子って強いのかな……?
「ダンくん~頑張れー」
室江の人達だ。小さい人の方を応援している。
ユージ君の応援はしないの?どうして?
試合はユージ君の方が優勢だ。だからなのかな?でも一人ぐらい……
わ、私が応援しちゃったりしたら……?で、でも私は全然関係無いし!!
でもでも、私が言っても誰も気付かないと思うし、応援するぐらいなら……
「うおぉああぁーーー!!!」
「一本!それまで」
あ……試合終わっちゃった。



「青木センパーイ!次、小西さんの試合ですよー!」
信号機トリオに女子の試合会場に連行された私。五回戦ともなると連戦という状況もあったりして、小西さんは初手から疲れが見えた。
終始劣勢の小西さんに、私達の応援も力が入る。試合は延長に突入した。
手拭いがズレたので小西さんはタイムを取って、面を着けなおしていた。
「あれ?」
なんだか会場は奇妙に静かだ。
「………!」
こ、小西さんが目を開き、第三試合場を睨んでいた。
「室江のあの子だ」
第三試合場で、川添さんが突きで相手を吹き飛ばしていた。小西さんの時と同じように……!!
凄い、やっぱりあの子の突きは凄い。私が朧蜜蜂だとしたら、あの子は朧猛牛だ。
「ふぅ…ふぅ…」
小西さん震えてる…!?思い出してるのかな?前の試合を……
「……(ニヤ)」
笑った?
結局試合は小西さんが引き面を打たれて負けてしまった。
体力負けというカンジだったので監督も敢えては怒りはしなかった。
「ふー…」
信号機トリオが勝ってきたポカリを飲んでいる小西さんに、さっきの試合のコトを訊ねてみた。
「丁度目に入ったよ、アノ子が突きで相手の子から一本とるの」
「小西さん……」
「そしたらさ、ガラにもなく緊張しちゃって。だって、あと一回、目の前の相手を倒せば次はアノ子と試合できる
 ……そう思ったらさ、奮えてきてね。肩に力が入っちゃったんだよ。うん、でもまぁ、悪くなかったね今日は。
 全力出したよ。悪かったね青木、準々決勝まで進むって約束、守れなくてさ」
「あはは、私も準々決勝いく前に負けちゃいましたし」
川添さんは次の試合も二本勝ちで進んでいった。向かうところ敵なしって、ああいうのを言うんだろうなぁ。

バナナミルクと、はちみつレモンと、ココア……どれにしようか?
そうだ!三つのボタンを同時に押して出てきたヤツにしよう!!名案!!
「えい!!」
「あ、朧蜜蜂さん」
「へ……」
「あ、覚えてないですよね?さっき小手拾った……」
「ユ、ユ、ユ…ユージくん!?」
みられたーーー!!なんか恥ずかしいところみられたーーーー!!!
「あ、覚えてた?でも、俺、名前言ったっけ?」
しまったーーぁ!!つい下の名前を!!
違うの、そうじゃないの、たまたま井口っちんがユージ…田中くんと中学の時一緒で……
って、そんなこと聞き出してる私って、どう思われちゃうのよ!?監督みたいな男日照りじゃない!?
「あの、朧蜜蜂さん?」
「は、はひ!」
もうわかんないよー。頭グルグルするよー。
は!?グルグル!?これだ!!新しい朧蜜蜂に必要なのは回転だ!!!
「ありがとう!ユージくん!!」
ガッチリ彼の手を握る
……ってぇぇぇぇぇぇええぇぇぇ!!!!!?!?!!
うわ、うわぁ、ぅわあ……いきなり手握っちゃった。しかもまたユージくんって呼んじゃった。
変な人だよ。これじゃあ変な人だよぉーー
「あの、自動販売機、アタリが出てるよ?」
「え?」
「いいの?ジュース奢ってもらっちゃて?」
「は、はい。どうせタダだし!ヒントくれたし!」
「ヒント?」
「な、なんでもないです!」
なんで?なんで私、二人で並んで座ってるの!?
「あ、あの、試合は?」
「あはは、負けちゃった。もうちょっとでメダル貰えたんだけどなぁ」
「ご、ごめんなさい!!」
どうりで防具つけてないと思った……
「ううん、別に勝ち負けは気にしてないから。強い人と闘えて、全力出せて、楽しかったよ、今日は」
あー小西さんと同じようなこといってる。
「あの、試合みてました。室江高同士の試合。室江高って男子も強いんですね」
私が感想を述べると、ユージ君は少し複雑そうな顔をした。
「女子も強いです。あの……川添さん」
「タマちゃんは強いよねぇ」
「タマちゃん?」
「あ、川添珠姫って言うんだ。愛称はタマちゃん。タマちゃんはね……
ユージ君とは決勝戦が始まるまで、ほんのちょっとだけどお話をしました。
小西さんと川添さんが前に試合したことがあったから、二人の話が多かったかな?
「あのさ、もしかして青木さんって二年生?」
「え…はい、そうですけど」
「ああ、ゴメン!俺より先輩だ」
「え……」
ユージ君、一年生だったんだ……
井口っちん!なんで教えてくれなかったのーー!!
「べ、別に敬語とか、使わなくていいですよ!わ、私のほうが剣道弱いし」
「え……そりゃ、一応男と女だし……」
「き、気にしなくていいんです!私が年上とか!!」
「え…う、うん」
一気に捲し立てたら、意外と押し切れた。
は!?こ、これは……佐藤さんが言っていた。恋愛は押して押して押しまくれって!!あの人彼氏いないけど!!
「あ、あの!メ、メ、メ、メ、メ、メ、メアド交換しない?もっと話したいことあるし!!」
言った!言っちゃった!私、言っちゃった!!
「うん、いいよ」
あ、アレ?なんかアッサリ……
「俺も他の朧蜜蜂知りたいし」
なぁーーーー!!!そこ!?そこなのぉぅ!?
恥ずかしい!!でもちょっと嬉しい!!!
赤外線でお互いのメアドを交換。
うーん……それにしても年下かぁ……年下……
「それじゃあね、青木さん」
「あ、はい!メールしますね、田中さん!!」
「………」
アレ?ユージ君、なんか固まってる?
どうして?私何かしたっけ?
も、も、もしかして、ユージ君って呼んで欲しかったとか!?
そ、それって、それって……ど、どうしよう私!どうしよう!!!
「あ~お~き~…」
「はい!?」
呼ばれて後ろを振り返ると、寺池さんに井口っちんに佐藤さん……
「お前~こっそり年下の男とメアド交換だと~」
「う~ら~ぎ~り~も~の~」
「朧蜜蜂のくせに~」
あぇえ!?なんで朧蜜蜂知ってるのぉ!?
「アンタ、練習の時しょっちゅう叫んでるじゃん」
うそぉ!?小西さん、それホントぉ~~!?!
「一年ー!青木を連れてけーーー!!」
「「「はーい!!」」」
こうして私は信号機トリオにドナドナされていった、マル。




まさか私の朧蜜蜂をみんな知ってたなんて……
恥ずかしい!!恥ずかしすぎるッ!!
家に帰ってベットの上で悶えてる私。シーツがグシャグシャだ。
「はぁ…はぁ……」
止めた。シャワー浴びたばっかりなのに、また汗かくなんてばかばかしい。
「…………」
そうだ、ユージ君にメールしよ!
ユージ君なら朧蜜蜂のセンスを分かってくれるもんね。
えーっと、タ…タ…タ……
アレ?
おかしいな?タ行に名前がない。
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 中田勇次



……………
…………
………
……田中じゃなくて中田じゃねーか、井口っちんのドアホゥ!!