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くそーヤンデレタマ日記面白いよ! 一回だけ便乗投下させてくださいっ!

ユージくんと『偶然』通学路で一緒になって訪れた、剣道部の朝練習。
朝の清々しい空気の中で彼と一緒に素振りをするのは何よりも勝る嬉しいひとときだ。
道場の隅まで響くような素振りを披露して、一緒に竹刀を振ったユージくんをちらりと見る。
剣道の情熱に燃えるユージくんは、心から感心したようなキラキラした瞳をあたしに向けていた。
くらくらした。どうしよう。どうしよう。ものすごくテンション上がってきちゃった。
身体が疼く。女子更衣室にユージくんを連れこんで子宝に恵まれたくなる。はぁはぁはぁはぁはぁ。
いいのかな、いいよね、神様だって許してくれるよ!! そんな思考に頭がフットーしてしまう。

けれど、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。
「うおおおおおおお!!」と雄叫びを上げた顧問が乱入してきたからだ。
あたしを押し退けるようにユージくんに歩み寄る顧問のオヤジ臭に吐き気がする。
剣道着に包まれたユージくんの爽やかな匂いを嗅ぐために精神を集中していたことが災いした。

このオヤジ、明らかに風呂に入っていない。しかも牛丼とラーメンとバターの匂いがする。
今まであたしの胸いっぱいに広がっていたユージくん臭が一瞬にして汚されてしまった。
まるでユージくんが殺されたみたいに。まるで私が犯されたみたいに。

愕然とするあたしを余所に、レイプ犯がユージくんに魔の手を伸ばす。
あたしと一緒の素振りを楽しんでいた彼を、強引に互角稽古に連れ出したのだ!
なんてこと。あたしは恥じた。自分のことで呆然としてユージくんを守れなかった自分を。
ギリッと歯を食い縛る。睨む眼光はあのレイプ犯を射殺さんばかり。
けれどもこの状況を作り出したのはあたし自身のミスだから手が出せずにいた。

目の前では、わけもわからず竹刀を構えたユージくんを、レイプ犯が襲っていた。
基本を守る気もないような我武者羅な打ち込みで、ユージくんを責め苛む。
ユージくんの腕ならそれをいなして反撃も出来るだろうに、彼はそれをしなかった。
相手の感情を発散させるために受けに回っているのだろう。
自分を乱暴に打ち据える相手にさえ、剣道への情熱があれば心を配るユージくん。
なんて素敵なんだろう。――……そしてそれに気付かないあの男は蛆虫にも劣る。

「うおおおおおおっ」 ドカーッ ドドーッ
「!」 

面を防御したユージくんに体当たりした蛆虫が、ユージくんもろとも床に倒れる。
それを見たあたしはビクリと肩を揺らした。前に出そうになった足をなんとか抑える。
ここであたしが何かしても、それはユージくんの気持ちに水を注すことになりかねないから。
だが、そんなあたしの前で、あのレイプ犯は、蛆虫は、

「立て! ユージ!!」

あたしの視界が真っ赤に染まった。自分も倒れるほどの衝突など、もはや剣道の範疇ではない。
それを自分からやっておいて、この蛆虫は何を言っているのだろう。何を。何を。何を――!!!

ユージくんも流石に呆れたのだろう。怒ってはいなかったが、付き合いきれなく思ったに違いない。
あたしに相手を代わって欲しいとお願いしてきた。救いを求めるようにお願いされるのは珍しい。
あたしは一も二もなく肯いた。ユージくんにお願いされたのが心から嬉しかった。――そして。

(――――殺そう)   その簡単な一言に、渦巻いていた様々な感情がギュッと集束した。

真っ赤になった視界の先で、顧問が竹刀を構えている。何か不明瞭な言葉であたしを挑発している。
怒りで真っ赤になったあたしには届かなかった。それでよかった。聞く必要なんて無い。
これから死ぬクソ以下の蛆虫野郎の吐く毒液混じりの言葉なんて本体もろとも潰すまで――!!
にぃ、とあたしの顔に笑みが刻まれる。相手は年上。男。あたしは高校生になった。つまりはそういうこと。
咽喉を貫き砕いて焼けるような痛みと共に悶絶させながら殺してやる。蛆虫に相応しい無様な死をくれてやる。

そう思った矢先、剣気に当てられたのか、蛆虫は腹痛を訴えて悶絶をはじめた。のたうつ姿がおぞましい。
結局処刑はできなくなったが、あたしは黒い装丁の『殺すリスト』の上位にヤツの名前を刻むのだった。