あれ?ユージくん?
タマキは放課後のクラブに行く途中、剣道場の裏のほうでユージを見つけた。
「なにやっているんだろう?早く入ればいいのに・・・ユージく」
タマキはそう思ってユージを呼ぼうとしたら、ユージの隣に女の子がいた。

え・・・・?誰・・・・?
女の子はうつむいていて、ユージは後姿なため、顔は見れない。
でも、女の子のほうは見たことのない顔だ。
タマキは不振に思って二人の声が聞こえるところまで近づく。

「あ、あの、中田君・・・あの・・・私あなたのことが好きなんです!
 私と付き合ってくれませんか!?」
タマキにとってはじめての告白現場だった。
タマキは驚いて目を見開く。こんな豪快な告白ははじめて聞いたし、そのはじめての
告白現場相手が自分の幼馴染と思うと少し複雑な気持ちになった。

あれ?何で複雑なんだろ・・・・?
タマキはクエスチョンを浮かべていたら、ユージが口を開いた。
「えっと・・・」
ユージは手を後ろに回して困ったような動作をしている。

あ・・・ユージくん・・・なんて答えるんだろ・・・OKするのかな・・・
するのかな・・・
タマキはなぜか不安になってきた。どうして不安になるのか自分でもわからず、
ただじっとユージが女の子に返事をするのを待つ。
「お、俺はまだそういうの興味ないから・・・その・・・ごめん」
ユージがそういうと女の子は勢いよく頭をさげた。

そうすると、剣道場の反対側まで走っていった。

あ・・・ちょっと、かわいそうだな・・・。
タマキはそう思って少しうつむきながら木の陰から出てきた。
「あれ、タマちゃん・・・?見てたの・・・?」
ユージが木の陰からでてきたタマキを見つけるとタマキはとっさに顔をあげた。

「え・・・あ・・その・・ご、ごめん」
タマキはあわてて誤ると、タマキが出てきた木の陰と違うところから次々と
人が出てきた。
「え・・・!?みんな・・・!?えええ!みんなみてたんですか!?」
ユージが驚きながらそういうとコジローやキリノたちが、いや~といってタマキとユージに
近づく。
「あ、ははは。なんか出るに出れなくて・・・てかみんな見てたんだなぁ~」
コジローがそういうとみんなも同じ顔で頷く。
「あ、のごめんね・・・なんか、盗み聞きしちゃって・・・」
タマキが申し訳なさそうに謝ると、ユージは首を振った。

「あ、ううん。目立つところだったし俺だってこんなところで告白現場見たら絶対聞き
たくなるし、いいよ、気にしてない。」
ユージが笑ってそう答えるとみんなは意地の悪そうな顔をする。

「いや~あんな魂の告白をユージくんはどうして振っちゃうのかなぁ~?」
「ほんとほんと。結構かわいかったよねぇ~」
「中田君はモテモテなんですね!!」
とかみんなが言っているとタマキもなんだか腹が立ってしまった。

「ほんとだよね・・・まさかユージくんが告白されているとは思わなかった。
 女の子にもてるんだね。ユージくんは」
タマキは目をつむりながら眉をひそめて不機嫌にいった。

「え・・・そんなことないって」
ユージが否定するとダンがそんなことないといった。
「そんなことないぞぉ~ユージは成績も優柔だし、剣道も強いから結構女の子にもてるんだぞ?
 それに告白だって今日が初めてじゃあないだろ?」

とダンが言うとユージは困った顔をする。
タマキはその顔を見てまた腹が立ってきた。
「へぇ~それじゃあユージくんは女の子には困らないね。いつでも彼女ができるんだ。
 すごいね、ユージくんは・・・・!」
タマキはユージを睨むようにして言葉を発する。

そんなタマキの様子をみて都が口をひらく。

「タマちゃん。もしかしてユージくんにヤキモチやいてない?」
その言葉にタマキは冷や汗をかいた。
ユージはぞんなタマキを見て目を見開いている。

「ち、ちが!そんなんじゃないです!ち、ちがいますから!」
タマキはすぐに否定するがみんなはニヤニヤしながらタマキに話しかける。
「ええ~そのムキになるのがあやし~~」
「ヤキモチ焼いてたのか~~へぇ~~タマちゃんがぁ~~」
みんながタマキを追い詰めていく。
最後のタマキを追い詰めたのがユージの一言だった。

「タマちゃんかわいいね。」
ユージはタマキのなにがかわいかったのか、そんな言葉をニコッと笑ってタマキに言うと、
タマキは顔を真っ赤にしてユージにカバンを投げつけた。

「ちがうっていってるでしょぉぉ!ユージくんのバカ!!」
「うごはっっ!」
タマキはそういって剣道場に入っていってしまった。
「な・・・なんなんだよ・・・」
ユージはタマキに攻撃された腹を抑えながら苦しい顔で剣道場に入っていった。


ユージはそれからタマキに1週間口をきいてもらえなかったらしい。
最終更新:2008年05月20日 02:50