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「ピンポンパンポーン、石田先生、石田先生、進路指導室までお越しください」
コジロー「ありゃありゃ、なんじゃらほい」

コジロー「失礼します」
吉河「あ、石田先生」
コジ「あれ、どうしましたか?」
吉河「いえ、実は今まで千葉さんと、二者懇談をしていたのですが…」
コジ「はぁ、キリノはどこ志望ですか?俺にも教えてくれなくて」


ぴらり
第一志望:コジロー先生ん家
第二志望:コジロー先生ん家
第三志望:コジロー先生ん家


コジ「えーっと、まぁ、その、なんとやら」
吉河「今は一次調査だから良いですけど、次の調査結果は進路指導会議に出さなくてはいけないので、どうしたものかと」
コジ「すんません、ご迷惑をおかけして」
吉河「石田先生は」
コジ「はぁ」
吉河「どうなさるおつもりですか?」



どんがらがっしゃんと派手な音が武道場の入り口でしたかと思うと、顧問が顔を出した。

「すまん!遅くなった!」
面を外したダンが答える。
「ああ、遅いぞ先生。ちょうど終わったところだ」
「そうか、すまんな。では集合!俺からは特に連絡はないが、あ、キリノは着替えたら進路指導室に来てくれ。」
「では、姿勢を正して。礼!」
「「「「「「「ありがとうございましたーっ!」」」」」」」


一足先に進路指導室に着いたコジローであったが、キリノが来るのが遅い。10分、20分、
30分はたとうかというときに、指導室の扉が静かに開いた。
「失礼します。」
「ようやく来たか。まぁ座れ。」
キリノはコジローの向かいに腰掛けて、すぐに口を開いた。
「話って、やっぱ進路希望調査の、あれだよね。」
「そうだ。あんまり吉河先生に心配をかけるなよな。」
「でも」
「でも?」
「先生が悪いんだよ?相変わらず吉河先生とも仲がいいし、一年生にも隠れて人気があるし。」
「後半は少なくとも俺の責任じゃないだろう。」
「それに、いつかまた急にいなくなったりしたら…グスン」


キリノは静かに泣き出した。コジローは立ち上がると、キリノのそばまで行ってしゃがむと、
キリノの背中をぽんぽんとたたきながらささやいた。
「ふう、もうそんなことはないって。」
「でも、わたしは不安なの!かたちが欲しいの!」

キリノの叫びに、コジローの手が止まる。そして軽くフッとため息をつきながら、
「そうだな、今までの俺の行動からすれば、不安にもなるか…すまなかったなキリノ。
そうだな。じゃあキリノ、これでどうだ?」

ぴらりと、一枚の紙をキリノに渡す。
「ぐすっ、え?なにこれ?婚姻届?って、えーっ!」
「こんな俺でも、卒業したら一緒になってくれるか?」
「え、そんな、嘘、夢みたい…あれ、でも、この日付。」
「そうだ、お前の二十歳の誕生日だ。」
「そんな、わたしはすぐにでも…」

コジローはまっすぐキリノを見つめると、真剣な顔で語りだした。
「キリノ、お前は頭もいいし性格もいい、進学して見聞を広めろ。」
「そうやってごまかす気だ。」
「ごまかしなんかじゃねぇよ!俺は真剣にお前のことを考えてだなぁ、それに…」
「それに?」

コジローはキリノから目をそらすと、ぼそっとつぶやいた。
「夫婦とも剣道バカじゃ、産まれてくる子供がかわいそうだからな。」
「子どもって…」
「それに、お前には指導者としてここに戻ってきて欲しい。公私ともに、俺を助けて欲しいんだ。」
「うん…先生がそこまで言うなら…」
「わかってくれたか?」
「うん。先生の気持ちがよくわかったよ。でもね。別のかたちも欲しいんだ。」
そういうとキリノは目を閉じた。


一ヶ月後
「ピンポンパンポーン、石田先生、石田先生、至急進路指導室にお越しください。」

「え、まさかなぁ、とりあえず行ってみるか。」

「あ、石田先生。」
「吉河先生、今度はどうしました?」
「あ、いえ、千葉さんの進路希望調査ですが…」

ぴらり
第一希望:18歳某大学教育学部→20歳で石田キリノに→22歳教育実習を母校で済ませる→
23歳母校に就職して剣道部副顧問→24歳夫婦力を合わせて団体全国優勝→
25歳第一子誕生女の子が良いな→27歳第二子誕生今度は男の子!…

そっと顔を上げると、吉河先生が引きつった笑顔を浮かべていた。
「羨ましい人生設計ですね。石田先生、お幸せに。でも、これ、どうしましょうか?」