688 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/08(火) 23:17:17 ID:lK5meNnv
14話よく見たら、冒頭の試合表の
「コジロー先生 vs 吉河先生」のvsの右にハートが描かれてる
押されてるぞきりのん
689 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/08(火) 23:22:55 ID:LeHa+sfX
とりあえず16話を待つんだ
690 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/08(火) 23:26:41 ID:y7vRBZR2
キリノ自身が書いてるっぽいから始末に負えん
案外サヤ辺りはヒヤヒヤしてるんじゃないだろうか
717 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/09(水) 13:16:59 ID:HolKAPRN
>>688>>690
それいただきますた
※ ※ ※ ※
放課後。ホワイトボードに今日の出来事を綴っていく、いつもの時間。
そんな他愛の無い時間に、あたしの『事件』は待っていた。
「んっ、コジロー先生vs吉河先生には、ハート、と…」
「(………ッッ!!)」
―――流石にこの時ばかりは絶句せざるを得なかった。
もう長い付き合いになるが、この幼馴染の思考と言うのは…
根っ子の部分で、とてもではないけど測りかねる所がある。
殊に、今あたしが考えてる、「こういうような事」……に、ついては。
…ともかくも、考えるより早く口は動いた。
「ちょ、ちょっちょっ!ちょおっと、キリノ!?いーの?」
「ん?なにがー?」
……「なにが?」うーん、確かにこりゃ、何だろう?
少し考えてみると…やっぱりそれは、今やある意味部活内では
話題に挙げる事もタブーになっている…2組の男女の、片割れの事。
即ちタマちゃんとユージ君。そしてこの子とコジロー先生の関係であり…
脳裏に浮かぶ物は、キリノの頭を撫でるコジロー先生という図であり、
或いはあたしがこの間、久々に道場に顔を出した時の…
一寸の乱れもなくシンクロして動く二人の姿であると言うほかに、表現しようが無い物だった。
「……いや…アンタは、吉河先生とコジロー先生を応援するの、やぶさかじゃないんだ?」
「いやー仲良いよねぇ。今日も一緒にゲームしてたりとかさ。」
―――この質問にしても…あたしにとっては、出来得る範囲内での。
ギリギリ一杯のド真ん中直球を投げ込んだつもりだったんだけど…
ううっ、この子には、ついぞ、「そんな気持ち」は無かったとでも言うの?
いや、いや。そんな筈は!……事実、きょう一緒に居たはずのあたしが気付かなかった――
―――職員室でゲームをする先生二人、と言う図を、この子は。目敏く見付けていたんだから。
その機敏さを…「気になって」いるからだとでも脳内解釈しなければ、あたしがピエロだ。
そんな葛藤の末……あたしもしつこいな。と自分ツッコミを入れながらも、まだ食い下がってみる。
「ゲーム、ねぇ?……あんたも覚えた方がいいんじゃない?」
「あたしはいいよー。それよかホント、応援してあげたいよね!だってあのコジロー先生だよ?」
今度は少し皮肉混じりに。…が、またもスカされる。
―――しかし、今の言葉は?「あのコジロー先生だよ」?
気のせいか”コジロー先生”と言う単語にだけ、語気の弱さを感じたような――
いやホントに、あたし以外では気付かない位の、ほんのちょっとの違い。
あたしですら錯覚じゃないかと疑ってしまう位の…でも今は、その錯覚にもすがりたい気分だった。
何せこの―――お人好しで、思いやりがあって…でも、ちょっと鈍感な親友の、
もしかすると初めて見る、その”真意”のようなものに触れる事が出来るかも知れない機会なのだ。
……しかし、焦り過ぎて地雷を踏んでしまっては元も子もない。
まさに地雷原を踏み進むような気持ちで、ゆっくり、しかし大胆に、歩を進める。
「…で、ホワイトボードにハート描くのがあんたの応援なワケ?キリノさんらしくないですな~」
「ゔっ…相合傘にでもしようかなぁ…でもコジロー先生、怒らないかな?」
安い挑発だったけど…しょうがない。まさかこれ以上「そっち側」に踏み込んでしまうと、
流石のこの子でも気付いてしまうかも知れない。……それだけは絶対に避けなくては。
……しかし、おかげで多少は確信を持つ事が出来た。
――思うに。パズルなんだ、これは。「マテリアル~」こそ、つかないが。
この子は―――キリノは、恐らく自分の気持ち…少なくともその深奥には気付いていない。
だから、表面上は素直であっても…心が拒む。すなわち、「怒らないかな?」という言葉が表しているモノ。
普通に考えて…自分の相合傘なんかを見て烈火の如く怒り出すコジロー先生と言うのを想像できるだろうか?
……そんな事は、我が部でほかの誰よりも先生との付き合いの長いキリノ自身がとうに承知の事の筈だ。
―――要は。そこまでは認めたくない、書きたくない自分の気持ちを持て余して、他の理由を探しているんでしょ?
そんな疑問と確信のスレスレを辿るように……ハッパをかけてみる。
「怒らないでしょ、そんな事で…生徒の戯言、タワゴト。大丈夫だよ、書いちゃえば?」
「うー……ん、なんかサヤ今日はいぢわるだね; どうしよう…」
曖昧な返事が示す、しかし期待通りの反応は今度こそ疑問を確信に変える。…やっぱり、なんだねえ。
――――うん、あたしにしては上出来じゃない?と少し得意気になっても、みる。
とは言え、こんな事に気付けるのは、今の所部員では…あたしだけだろう。
親友の運命をその手に掴んだような恍惚感と、同時に芽生える責任感。
そんな、微妙な感情が綯い交ぜになってる時…
いよいよ抑えが効かなくなっていた「いつものあたし」が首をもたげた。
「えーいっ、じゃああたしがハート書いちゃうよ!」
「あ~、まだ迷ってたのにぃ」
そしてボードに描かれる、本当に他愛の無い、女の子らしいハートマーク。
……うん、これなら別に。…誰も、その意図を勘繰ったりはしないだろう。
何か嬉しくなって、コジロー先生の見様見真似でキリノの頭をそっと撫でてみる。
「……えっへっへ。キリノぉ~」
「もぉ、何でそんな楽しそうなの?」
……兎に角、この目の前にいる可愛らしい生き物をあたしがどうしたいのか。
そんなのが、今後のあたしとキリノと…コジロー先生の関係を形作っていくのだろう。責任重大だ。
さて、今日はここまで!……と言うか、これ以上この子の心に潜ろうとするとあたしの方が持たない。
「なんでもないよん」
「え~っ」
―――あんたが、少しは…本当の意味で素直になれたら。 …その時は、教えてあげるよ。にしし。
[終]
最終更新:2008年04月19日 11:57