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230 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/19(水) 15:14:25 ID:3R9/Bv8L
10年ちょい前くらいの皆を夕暮れ時の公園に集めてみる

入りたての剣道部の練習で疲れ果ててベンチでヘタり込むコジロー
入院してるお母さんに花を摘んであげるタマキ
砂場で芸術的な城をこさえるキリノ
うっかりそれをぶっこわすサヤ
コタローを散歩に連れて来て、ダンくんに驚くミヤミヤ
まずコタローに驚いてるユージ
そうと知らずにブランコで大回転中のダンくん
おさんぽ中に持病の癪を起こして苦しむじいちゃんにわたわたするさとりん

231 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/19(水) 16:04:35 ID:W4SsoVhO
なんか、城壊されたキリノは別にどって事ないのだが
うっかり壊してしまったサヤの方が傷付いてそう

234 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/19(水) 18:05:46 ID:9+z6eMMN
>>231
「ごめんよぉっ、すぐに直すから…あああ…」

サヤんが必死に元に戻そうとするけど
どんどん原型をとどめなくなって行くキリノのお城(既に前衛芸術)。

「いいって、いいってー、あははは」
「ごめん…ほんとにごめんね…」


案外そんなのがキリサヤ初めての出会いだったり。









266 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/20(木) 01:07:22 ID:2IFOWkw8
>>230以下を、コジロー視点で。
でももし本当に母校が鎌倉(鎌崎)ならチャリ通はムリがあるなぁ。


(ああ、こんな子供が遊ぶような公園で何してんだ俺?)
―――死ぬほど、だるい。まさか高校の剣道部の稽古がここまできついとは。
流石に着替えるまで体力はもったが、遠く離れた家まで帰り着く体力は既に無く。
仕方ないのでチャリ停めて小休止…のはずだったんだが。

「おにーさん、ちょっと手伝ってよ」

…ヘンなお子様に声を掛けられた。
どう見ても小学校低学年、下手すりゃ幼稚園児か?
金髪のその子は、後ろでなんだか泣いてる赤髪の子のお姉さん…ではなさそうだ。友達かな?
しかし知らない高校生に声を掛けるとは、物怖じしないヤツだな。
というか、誰かに見られると俺の方がやばくないだろうか、この状況。
まあ無視するのも感じ悪いし、尋ね返してみる。

「…なにをだ?」
「この子がね、あたしの作ってたお城こわしちゃって。
 あっ、ううん、あたしは怒ってないんだけど、この子が泣いちゃって…
 それでね、お城作りなおしたら泣き止んでくれるかなって」
「うっ、うっうぅ…ごめんねえ、ごめんね…」
「もぉ、いいって言ってるのに~、で、どう?おにいさん」

ん~む、俺とそれとどういう関係が?…つか、メチャクチャよく出来た子だな…
俺の小さい頃なんかもっとスゲーいい加減だったと思うんだが。まぁ、いいや。

「…まあ、それくらいなら」
「ありがとう!」

     *     *     *     *     *

その後、金髪のコは、そこいらで花を摘んでいた子や、何か変な動物の散歩に来ていた子、
その変な動物にしか見えない(!)男の子、それを見て驚いていた地味な子らにも所構わず声をかけまくり、
一大プロジェクトを始動させようとしていた。
俺もなぜか勧誘までさせられ…と言うか、たまたま近くで苦しそうにしていた爺さんを見つけたので
少し背中をさすってやると落ち着いたらしく、そのお孫さんらしき眼鏡のお嬢ちゃんも協力してくれる事になった。
かくして「砂場のお城再建プロジェクト」は始まったのだ。まずはリーダー…金髪のコの説明から。

「えっと、こんなのをつくってたんだけど…」

……そう言いながら砂場に描かれる、極難解なる幾何学模様。
その場にいる俺も含めた全員がぽかーんとなる中、
リーダーはお構い無しに説明を続けようとする…が、さすがにそこは年長者としてストップだ。

「ちょっ、ちょっと難しくないか?時間も遅いし、もうちょっと簡単なのでいいだろ」
「ん~、え~と、それでもだいじょうぶ?」
「ぐずっ… うん…!(こくこく)」

ようやく、半べそ位に落ち着いて来た赤髪の子が頷くと、金髪のコは満面の笑みで答える。

「じゃあ、みんなの好きなかたちで!」
『おー!』

267 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/20(木) 01:07:53 ID:2IFOWkw8

     *     *     *     *     *

―――――作業も始めてしまうと早いものだ。
男の子の…えっと、地味な方の子は俺の指示通りに砂堅め用の水を汲みに行き、
ピンクの髪の子は渋りながらも、ペットと同じ顔の男の子の言う事はよく聞いてくれているらしい。
眼鏡の子はちょっとうっかりさんらしく、何度か失敗しながらも一生懸命塔を拵えてくれている。
肝心の金髪と赤髪の子は…どうやら仲直り(?)しつつあるようだ。別に元々ケンカしてた訳でもなさそうなんだがな?

…さて、俺の方も負けてはおれん。昔取った杵柄だぜ。いいかい地味な男の子。

「こーやって、濡らした砂入れた小さいバケツの外側からな、空気を抜いてやるんだ。
 そうすりゃ砂が硬くなっていい土ができる。その上からキメの細かい砂を一杯コーティングしてやる。」
「へえー、おじさん詳しいんですね」
「おじさんじゃねえよ!」

まったく。誰の為にこんな事やってると… ってか、ほんとに誰の為だよ俺?
とか俺が考えてる内に、各々の持ち場も8割がた完成しつつあるようだ。

…そこに今まで居なかった、花を摘んでた女の子が大きな花冠を作って飾ってくれる。

「あの…おかあさんのぶん、できちゃったから、あまりだけど…」

うーん、この子も、かなりよく出来た子だな。日本の将来は明るいぜ。
ともあれ殺風景だった城も一気に華やぎ、ゴールも目前だ。

「…できたぁ!!」

リーダー…金髪のコが声をあげる。
と同時に、誰からというでもなく、拍手が巻き起こる。

「ありがとう!えへへ…もう、つらくないよね?」
「ふぇ~ん、ありがとぉ~」
「ありゃりゃ、泣きんぼさんだねえ…よしよし、いいこいいこ。
 でも、あたしも、ありがとうなの! えっと、おなまえ…」
「…サヤ!くわばらさやこだから、サヤでいいよ!」
「うん!あたしキリノ。ちばきりの!」

うーむ、感動的なシーンだ。
写真でも撮っておきたいが…と思ったら。
眼鏡の子のお爺さんが目の幅ほどの涙を流しながら孫とその仲間を撮り続けている。元気だなジジイ。

…じゃあ、まぁ、俺はもういいか。解散だな解散、とそそくさに帰ろうとすると、本日二度目のお声が掛かる。

「あっ、おにーさん待って!」
「…何だ?まだ俺になにか用か?」

達成感と共に襲ってくる累積疲労。そういや俺は疲れてたんだった…
そんな俺の不躾な対応にも関わらずその子…きりのちゃんは続ける。

「ちょっと耳貸して?」
「?? あぁ、いーけど」

屈み込み、顔を近付けると…む、なんか俺の頬に触れるものが。
”ちゅっ”とか音がしたような、ってオイッ!!
―――それは、まごうことなき…漫画とかでよく見る「ほっぺにキス」その物だった。
多少照れ気味にうつむきながら、きりのちゃんが再び口を開く。

「今日はおにーさんのおかげだからね、お礼だよ? …ありがとうっ!てへへ」
「……おっ、おう…」

…ぬあぁぁー、バカか俺は!?あんな小さい子になにをドキドキしてるんだ?
そこからの帰り道は気が気でなく、商店街の通りでは何度人を轢死しかけたことだったか…

     *     *     *     *     *

――――さて、時は現代、昼休み前。
道場で寝転がりながら、高校時代を思い出す道すがら。
そんなような事もあったな… としみじみ思い返してみる。
あれからもう10年、か。道理で親父もお袋も老けるわけだよ。

「あぁ、あん時のガキ共、今頃どうしてるんだろうな?」

流れに乗ってふと記憶を辿る。
出来事は大体覚えてるのだが…流石に名前とかまではきつい。
何か、リーダー格だったあの子はこう…喉まで出掛かっちゃいるんだが。ううむ。
月乃だか小手美だか竜胆だとかそんな変な名前だったんだよなあ、ええいくそ。

……下らん事で思い悩んでいると、もう昼練の時間だ。
ずかずかやって来るキリノとサヤのいつもの元気のいい話し声がここまで聞こえてくる。

「あのさぁサヤぁ、覚えてる?
 昔ね、あたし達が初めて会った時にさあ。
 変なおじさんいなかったっけ?覚えてない?」
「覚えてる!覚えてるよー!いたよねえ?」
「なんだかねー、ふと思い出しちゃってねえ…今、どうしてるんだろうね?」

―――――ちょ、ちょっと待て。それって……!


(その後コジローは、東宅から偶然出て来たアルバムにより、言い逃れ様の無いロリコンとしての謗りを受ける事になるのだが…それもまた別の話。)


[終]