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戦うボーイ・ミーツ・クイーン」(2008/05/04 (日) 03:42:52) の最新版変更点

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月明かりがうっすらと差し込む森の静寂を打ち破るように、辺りに水の流れる音が木霊する。  その中をまだ少年といっていい外見の男が立ち尽くしていた。  彼の名は相良宗介。  バトルロワイアルという狂乱の宴に巻き込まれた者達のうちの一人である。 (何故、こんな事になってしまったんだ……)  未だに状況を把握しきれていない彼は、顔に疑問の表情を浮かべていた。  まあ、それは無理もない。  気付かぬうちに他の数十名の人間とともに広大で無機質な空間に閉じ込められ、その上、殺し合いという名のゲームへの参加を強要されたのだから。  それにしても、あのワルドやシュドナイと名乗った男達は一体何者なのか。  そして、数十人もの人間に殺し合いをさせようとする奴らの目論見とは何なのか。  集められた者達の中に奴らと会話を交わしていた者が何人かいたが、会話の内容から奴らの知り合い、しかも、個人的な因縁があるように見えた。  それなら、このゲーム自体がその者達に対する復讐の為の手段だとも仮定できる。  だが、それは無いだろう。  もしそうなら宗介のような、奴らと認識の無い人間まで呼ぶ必要は無いからだ。  個人的な復讐なら、因縁のある相手を直接手にかければよい。 (どちらにしろ、これがある以上、奴らの手の中か)  首輪に手をやる。  金属が放つ冷たい感触にはまだ慣れない。 (だが、諦める訳にはいかない。俺にはまだ、やらなければならない事があるからな)  こんなところでむざむざ死ぬつもりは無い。  宗介は月明かりが届く手近な場所に移動し、予め支給されたデイバックの中身を確認し始めた。  今、最優先でやるべき事は現状の把握である。  彼が普段携帯している重火器や通信機の類は全て無くなっていた。  ワルドが言っていたように没収されたのだろう。  ならば、真っ先に欲しいのは武器である。  参加者の中にはゲームに乗り、襲い掛かってくる者もいるだろう。  いざ、そんな奴に出くわした時、丸腰では少々心もとない。  デイバックから出てきたのは殺し合いの舞台であるこの地域一帯を記した地図、コンパス、メモ書きに使えそうな紙と鉛筆、二日分程の食料と水の入ったペットボトル、参加者全員の名前が記された名簿、時計、吊り下げ式のオイルランプ。  明らかにデイバックには収まりきらない量だが、今は問題にすべき事ではないので無視した。  そして―― 「こいつは……ハズレか」  宗介に支給されたランダムアイテムは二つ。  一つはどこの一般家庭にもあるような包丁。  もう一つは女物の服。  添付されていた紙には『室江高校の女子の制服』とだけ書かれていた。  彼の得意とする銃器を期待していただけに、落胆の色は隠せない。  包丁はナイフの代わりに使えるが、銃を持った相手には圧倒的に不利である。  出来れば早急に他の武器を手に入れたいところだ。  それが使い慣れた銃の類なら尚望ましい。 宗介は次に名簿を開く。  自分の知り合いが参加者にいないかを確認する為だが、そこにある二つの名前を見つけた途端、彼は頭を抱えた。  その名前とは、千鳥かなめとテレサ・テスタロッサ。  どちらも彼にとっては特別な存在であり、また凄惨な殺し合いの場には似つかわしくない者達だ。  この二人の存在を確認した瞬間、彼の目的は既に決まっていた。  それは勿論、二人と合流し、何としても守りながらこの殺し合いという名のゲームから脱出する事。  更に可能であれば、自分と同じように殺し合いに乗っていない他の参加者達も味方につけたい。  脱出に向けての手掛かりを集めるなら、より多くの人間の協力が必要になってくるからだ。  それに、場合によっては主催者側との対決も有り得るだろうから、その為の戦力を充実させる意味合いもある。  ただ、相手にその気があり、かなめやテッサに危害を加えるようであれば容赦はしないつもりだ。  最後に行き先を決める為に地図を広げる。  地図によると、ゲームの会場は市街地と山間部が川と湖を挟んで隣り合っている場所だというのが分かる。  コンパスで座標を確認したところ、ちょうど北の方角には山が見えた。  更に、先程から聞こえてくる水の流れる音も同じ方向からだ。  近くに川があるのだろう。  となると、彼が今いる場所は、A-3からA-4にかけての川沿いの森の中という事になる。   (まずは南下してA-6の駅からF-7の駅まで電車で移動。そこから病院を目指すか)  病院を目的地に定めた理由は、大きな施設なら人が集まりやすいと考えたからだ。  それに殺し合いという性質上、怪我人が出る事は容易に想像できる。  それなら、他の施設よりも人が集まる可能性は高い。  あの二人が怪我を負うところをあまり想像したくはないが。  全ての行動方針が決まったところで包丁以外の支給品をデイバックにしまい、宗介は歩き出した。  * (ん? 何だ?)  歩き始めて、およそ十分。  暗いはずの森の中に、煌々と灯る一つの灯りを見つけた。  近くの木に素早く身を隠し、そこから灯りのある方向を伺う。  そこには、地面に腰をおろしたまま動かない人の姿があった。  宗介と同じゲームの参加者だろうか。  こちらに背を向けている為、顔や性別は分からないが、体型から見て大柄な人間ではない。  しかも、味方が助けに来る見込みがあるならまだしも、敵に襲われる可能性も無視できない中で、わざわざ自分の位置を知らせるという迂闊な真似をする事は、こういった状況に慣れていない証拠だろう。  だが、どんな人間であれ、このゲームから脱出するには仲間の協力が必要不可欠である。  その為にも、接触する価値は十分にある。  万が一、罠である事も考えて素早く相手の背後に忍び寄る。  そして、左腕を相手の首に回して自由を奪った上で、包丁を首筋に軽く押し当てる。  相手が驚くよりも早く、宗介はその人物に語りかけた。 「正直に答えろ。お前は殺し合いに乗っているのか?」 「いえ……乗っていません」  返ってきたのは若い女の声だった。  声が震えているのは恐怖を感じている証拠。  本当に殺し合いには乗っていないようだ。  宗介は尋問を続ける。 「では、千鳥かなめ、又はテレサ・テスタロッサという名の人物と接触した事はあるか?」 「いえ、どちらの方も存じ上げません。あなたにお会いしたのが初めてです。ずっとこの場所にいましたから」  参加者達はランダムでこの会場のどこかに飛ばされている。  それに、ゲーム開始からまだそれほど時間が経過していない今なら、まだ誰とも接触していない参加者がいてもおかしくはないだろう。  彼女のように一箇所にじっとしていたのであれば尚更だ。  宗介はそれだけを確認すると、彼女の身を自由にした。 「いきなり脅すような真似をしてすまなかった」  宗介は疑った事に対する詫びを入れる。  だが、当の彼女はそれに応える事ができない程ぐったりとしていた。  * 「もう大丈夫です。だいぶ落ち着きましたから」 「そうか」  あの後、彼女が回復するのを待ってから、宗介は彼女と情報交換を始めた。  彼女の名は、アンリエッタ・ド・トリステイン。  トリステインという国の女王であり、彼女もまた、宗介と同様にこのゲームに強制的に巻き込まれたのだという。  更に、あのワルドや彼に向かって叫んでいた少年――平賀才人も彼女の知り合いで、名 簿で確認したところ、他にもルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエー ル、タバサ、ジュリオ・チェザーレ、アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランの四人がゲー ムに参加している事が分かった。  ただ、理解し難い事もある。  それは、対テロ極秘傭兵組織に所属する以上、ある程度世界情勢に詳しいはずの宗介も知らなかった『トリステイン』という国や、魔法の存在である。  特に魔法などという空想上の産物をさも実在するかのように語る彼女は、何かヤバい宗教にでもハマっているのかと思わずにはいられない。  だが、それは今ここに持ち出すべき問題ではないので黙認する事にした。 「もう一度聞くが、君は本当に殺し合いに乗る気は無いんだな」 「勿論です。その気持ちに偽りはありません。元とはいえ、臣下だった者の悪行を止める事は主である私の役目ですから」 「何!?」  アンリエッタの話によれば、ワルドはトリステインの王家に仕える近衛隊の隊長だった。  それがある時、王家を裏切って敵国に寝返ったのだが、その後に起こった敵国との戦争で死亡したのだという。  それが今になってゲームの主催者として姿を現した訳だが、どうやって生き返ったのかは彼女の知るところではなかった。  だが、理由がどうであろうと、彼女も宗介と同じく殺し合いに乗るつもりは無い。  他の五人と合流し、出来る事ならワルド達の愚行を止めさせるのが彼女の目的だった。 「主催者側を説得か……あまり褒められた行為ではないな」 「それは承知しています。でも、私はやらなければならないのです」 「そうか。なら、俺と一緒に行動しないか?」  宗介にとって、自分に敵意を抱いていないアンリエッタは仲間を集める切欠になる重要な存在である。  それに、どう見ても戦闘能力が皆無な彼女を一人で行動させるのは無謀としか言いようがない。  運良く他のゲームに乗っていない参加者に遭遇する可能性も捨てきれないが、世の中そう旨くいくとは限らない。  だから、宗介は自分に同行するよう、彼女を誘ったのだ。  アンリエッタの方もその誘いに乗り、彼が当初から決めていた目的地(G-8の病院)に向けて行動を共にする事にした。 「本当にこいつを貰ってもいいのか?」 「私よりあなたがお持ちになった方がよろしいでしょう」  宗介が手にしているのは、アンリエッタに支給されたランダムアイテムの一つであるニードルガン。  名前の通り、針状の弾を発射する銃である。  護身用として作られている為、離れた相手への攻撃には向かないが、至近距離なら十分な殺傷能力を持っている。  銃の扱いに慣れていないアンリエッタが持っていても宝の持ち腐れなので、予備の弾と共に宗介に譲ったのだ。  ちなみに、彼女に支給されたランダムアイテムにはもう一つ、虎のストラップが付いた竹刀がある。 「それでは参りましょうか」 「いや、ちょっと待て」  歩き出そうとしたアンリエッタを宗介が制する。 「なんでしょう。まだ何か問題でも?」 「替えの服は無いのか? その格好ではこれからの行動に支障が出る」  今の彼女は丈が足元まで隠れる長さの純白のドレスに、その上から鮮やかな紫のマントを羽織っている。  王族にとっては相応しい出で立ちなのだろうが、決して動きやすい格好とは言い難い。 「あいにく、服はこれしかありませんわ」 「そうか……そうだ。なら、これを着てくれ」  宗介は自分のデイバックから『室江高校の女子の制服』を取り出してアンリエッタに手渡す。  彼女には見た事も無い服だったらしく、最初は戸惑っていたが、それで足手まといにならないのであればと着替える事を承諾した。  だが、問題はその先にあった。 「のわぁっ! な、何をしているんだ!」  何と、彼女は宗介が目の前にいるにもかかわらず、おもむろに服を脱ぎ始めたのだ。  いくら人気の無い森の中とはいえ、無謀過ぎる。 「何をと仰いましても、着替えとしか言いようがありませんわ」 「そうか……なら、いい。終わったら声をかけてくれ」  宗介は彼女が視界に入らないようにそっぽを向く。  普段から従者に着替えを手伝わせているアンリエッタにとって、人前で肌を晒す事にさほど抵抗は無い。  だが、宗介の方はそうもいかない。  何せ、幼い頃から戦場で生きてきた彼には女性に対する免疫が全く無い。  このような状況でも、彼にとっては人並み以上に緊急事態なのである。 「終わりました」  宗介が振り返ると、そこには着替えを終えたアンリエッタが立っていた。 「何か不具合はないか?」 「特にありませんわ」  陣代高校の女子の制服にも似たそれは、先程のドレスに比べれば格段に動きやすそうだ。 「では、行くぞ」 「ええ」  こうして、女王様と傭兵の二人による探索行は幕を開けた。 【A-4森 1日目 深夜】 【相良宗介@フルメタルパニックシリーズ】 [状態]:健康、若干の精神的動揺 [装備]:ニードルガン(3/3)@無限のリヴァイアス、包丁@School days [道具]:支給品一式、ニードルガンの予備弾×30 [思考]: 基本方針:かなめ、テッサを守りつつ、ゲームから脱出する。状況によっては対主催も考慮。基本的に殺し合いには乗らないが、襲ってくる相手には容赦しない。 1:病院に向かう為に、まずはアンリエッタとともにA-6の駅を目指す。 2:かなめ、テッサと合流。 3:ゲームからの脱出に向けて、仲間(アンリエッタの仲間を含む)と情報を集める。 [備考]: ・参戦時期はアニメ第三期(The Second Raid)の終了後です。 ・アンリエッタからルイズ、才人、タバサ、ジュリオ、アニエス、ワルドの情報を得ました。但し、魔法の存在については信じていません。 【アンリエッタ@ゼロの使い魔シリーズ】 [状態]:健康、若干の精神的疲労 [装備]:虎竹刀@Fate/stay night、室江高校女子の制服@バンブーブレード [道具]:支給品一式 [思考]: 基本方針:仲間と合流し、ゲームから脱出する。可能であればワルドを説得し、ゲームを止めさせる。殺し合いには乗らない。 1:宗介とともに行動する。 2:ルイズ、才人、タバサ、ジュリオ、アニエスと合流。(ルイズ、才人、アニエスを最優先) [備考]: ・参戦時期はアニメ第二期(双月の騎士)の終了後です。 ・宗介からかなめ、テッサの情報を得ました。 ・元から着ていた服はデイバックにしまいました。

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