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アオイシロ・アナザーストーリー

★水の精霊の柚明さん・その2



1.柚明お姉ちゃん再び



 梢子とナミは馬瓏琉に追い詰められていた。
 後ろには崖。目の前には龍戟を手にした馬瓏琉。
 夏夜から<<剣>>を託された梢子だったが、もう絶対絶命だった。

 「さあ、さっさとその<<剣>>を俺に渡しちまいなあ!!」
 「・・・ナミ、こうなったら一か八か、海に飛び込みましょう!!」

 梢子は覚悟を決めた。このまま馬瓏琉に戦いを挑むよりは、海に飛び込んだほうが生存率が高いかもしれない。
 確かにこの時期の卯良島は、海が荒れる。おまけに硬い岩がいくつも存在し、飛び込んだ際に無傷でいられる確率は極めて低い。
 だがそれでも、馬瓏琉と戦うよりは海に飛び込んだ方がリスクは少なかった。
 ナミもまた、梢子の考えを一瞬で理解し、覚悟を決めた。

 「梢子ちゃん、離さないで下さいね・・・!!」
 「行くわよナミ!!3、2、1・・・ゼロ・・・ぐっ!!」

 先程の馬瓏琉の式神との戦いで、ナミを庇った時に負傷した肩がズキリと痛む。
 梢子は一瞬、動きが鈍る。時間にしてほんの数秒。
 だが馬瓏琉ほどの達人クラスが相手だと、その数秒が命取りになる。

 「動きが遅ぇぞ!!小山内梢子!!」

 馬瓏琉の龍戟が梢子の右腕を貫く。<<剣>>を手にした梢子の右手が、梢子から離れていく。

 「ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 「な・・・海へ!?」

 そのままの勢いで梢子とナミは<<剣>>もろとも海へと落下する。
 馬瓏琉はそのまま海に飲み込まれた2人を見失ってしまった。

 「ええい、あのガキ共、小癪な真似を!!まあいい、だったら相沢保美を生贄に・・・何だ!?」

 突然梢子とナミが飲み込まれた海が光輝いた。
 あまりのまぶしさに馬瓏琉は思わず目を塞ぐ。
 しばらくして光が収まると、馬瓏琉の目の前にいたのは・・・

 「な・・・てめえは!?」

 不思議な力で宙に浮いた柚明だった。
 とても優しげな表情で柚明は馬瓏琉を見つめる。
 だが馬瓏琉は怒っていた。物凄く怒っていた。

 「羽藤柚明・・・!!あの時はよくも!!」
 「鬼の王よ、お久しぶりですね。ちゃんと前回の反省をしてくれましたか?」
 「んな事はどうでもいいんだよ!!てめえが俺の家の冷蔵庫に入れた饅頭・・・あれのせいで俺はなあ!!」
 「ああ、美味しかったですか?あれ、実は桂ちゃんが経観塚に行った時に、葛ちゃんと一緒に食べたお饅頭と同じ銘柄なんですよ?うふふ。」
 「あの饅頭、賞味期限が過ぎてたんだよクソッタレがあ!!」

 馬瓏琉は怒りの表情で龍激を柚明に突きつけた。

 「俺はあの饅頭を食べてから強烈な食当たりを起こし、下痢は止まらないわ腹は痛いわ何も食べれないわで、大変だったんだぞ!?」
 「あのお饅頭、桂ちゃんのお気に入りで、私もいつも桂ちゃんやノゾミちゃんと一緒に食べてるんだけど、あんがとってもあっさりしてて美味しかったでしょ?」
 「聞けよ人の話!!」
 「ああ、そんな事より鬼の王よ、あなたは今落し物をしましたね?」
 「そんな事って何だぁ!?つーか落し物というか飛び降りたんだよ!!」
 「貴方が落としたのは普通の梢子ちゃんとナミちゃんですか?それともこの金の梢子ちゃんとナミちゃんですか?」
 「てめえ、この期に及んでまたそんな事を言いや・・・」

 言いかけて、馬瓏琉はハッとした。

 待てよ?この流れで行くと、俺が正直に『落としたのは普通の小山内梢子と根方維己だ』って言えば、この馬鹿女は『あなたはとても正直なのですね』とか言って、<<剣>>を持った小山内梢子を俺によこす訳だよな?そうすれば俺、めでたく<<剣>>をゲットできるんじゃね?

 あれ?そう言えば小山内梢子の腕は俺が確かに落としたはずだが・・・どういう事だ?それに<<剣>>を持っていない・・・あの根方維己の力なのか・・・まあそんな事はどうでもいい、後で<<剣>>をどこに隠したのか吐かせてやる。

 馬瓏琉はそんな不謹慎な事を考えながら、はっきりと柚明に宣言した。

 「俺が落としたのは普通の小山内梢子と根方維己だ!!」
 「まあ、馬瓏琉さんはとっても素直でいい人なのね!!ちゃんと前回の反省をしてくれたみたいね!!」

 よっしゃあ!!
 馬瓏琉は小さくガッツポーズを見せた。
 これでようやく<<剣>>が手に入る。
 長かった、ああ、長かったさ!!人間共がここまでのさばるほど長かったさ!!

 「正直のご褒美に・・・」

 そうだ、早くそこの小山内梢子をよこせぇ!!

 「馬瓏琉さんには私がいつも持ち歩いてる、桂ちゃんのブラジャーをちょっとだけ貸してあげましょう。あの、貸すだけですよ?」

 ……は?
 柚明はニコニコしながら、胸元からブラジャーを取り出して馬瓏琉に差し出した。
 え?は?あ?あれ?
 戸惑いながら馬瓏琉はそれを受け取る。
 あれ?何かおかしくね?

 「・・・って、ちょっと待てコラァ!!」
 「何か不満ですか?」
 「不満もクソもあるかぁ!!俺が欲しいのはそこの小山内梢子・・・って、何でお前が羽藤桂の下着を常備してるんだあ!?」
 「だって、これを持ってると桂ちゃんがいつも私のそばにいるような気になれるから。・・・桂ちゃんには内緒ですよ?」
 「てめえの妹の事なんか知るかぁ!!・・・つーかおい、お前何勝手に小山内梢子と根方維己をテレポートさせてんだ!?」
 「だって、早く2人を保美ちゃんの所に返してあげないと・・・。この後3Pのイベントがあるでしょ?」
 「何を訳の分からない事を言ってやがる!!」

 馬瓏琉はブラジャーを思い切り柚明に投げつける。
 柚明はそんな馬瓏琉の態度を見て不満そうな表情を見せた。

 「てめえ・・・もう堪忍袋の尾が切れたぞ・・・今度こそここでぶっ殺してやる!!」
 「何という尊大な態度・・・やっぱり前回の反省をきちんと活かしてくれなかったのね。」
 「俺が欲しかったのは小山内梢子が持ってた<<剣>>なんだよ!!あんな貧乳のブラジャーなんかどうでもいいんだよ!!つーかいらねーよ!!」
 「何ですって?・・・私も堪忍袋の尾が切れました。」
 「何だと!?」
 「桂ちゃんの事を侮辱する貴方を、私は絶対に許しません!!」
 「妹の下着を常備するような変態にそんな事・・・な、何だこの大量の蝶は!?くそっ、離れねえ!!どうなってやがる!?」

 いつの間にか馬瓏琉の周囲を無数の月光蝶が舞っていた。
 柚明の鋭い眼光が馬瓏琉を捉える。

 「何だ・・・また俺をどこかに飛ばすつもりか!?」
 「・・・だから、堪忍袋の尾が切れたって言ったでしょ?」

 無数の月光蝶が馬瓏琉に殴る、蹴るの暴行を加え続ける。

 「あだだだだだだだ(泣)!!」
 「しばらくそうやって反省していなさい!!」
 「あ、てめえ、どこに行きやがる!!この蝶をどうにかしろ!!あだだだだだだだだ(泣)!!」


2.瑠璃宮の祭壇にて



 馬瓏琉は根方宗次を生贄とし、遂に瑠璃宮の門を開いてしまった。
 そして瑠璃宮の奥深くの祭壇・・・クロウクルウが眠る場所で梢子たちが来るのを待ち構えていた。
 今度こそ、<<剣>>を梢子から奪うために。
 今度こそ、邪魔な連中をこの世から消し去るために。

 「くそが・・・あの女のせいで酷い目に遭っちまった・・・もう許さねえ!!」
 「馬瓏琉!!ようやく追い詰めたわよ!!」
 「ふん・・・ここまで来れたのはたったの2人か。」

 保美、コハク、夏夜、汀、オニワカに瑠璃宮の魔物たちを任せ、梢子とナミが遂に馬瓏琉の元にたどり着いた。

 「・・・だが、羽藤柚明の前に、まずはてめらだ!!」
 「馬瓏琉!!覚悟!!」

 右手を剣と化した梢子が馬瓏琉に襲い掛かる。
 馬瓏琉は龍戟で梢子の斬撃を受け止める。

 「なるほど、俺が落としてやった右腕は<<剣>>の力で補ったか!!」
 「馬瓏琉!!あなたには絶対に負けない!!」
 「小娘風情が偉そうな口を叩くな!!」

 2人の剣と槍が何度もぶつかり合う。互いに太刀筋を見知った相手同士なだけに、2人の戦いは均衡していた。
 現状では互角。だが持久戦になれば安姫の血と<<剣>>を体に宿す梢子に分がある。このままでは不利と悟った馬瓏琉は、一気に勝負を決めるために眼帯を外した。

 「俺の左目は昔、とんでもなくヤバいのに犯されちまってなあ・・・!!俺の頭がイカレちまったのは、こいつのせいかもしれねえなあ!!」
 「くっ・・・あの目はコハクさんのと同じ・・・でも、何て禍々しい目なの!?」
 「言っておくが、俺様の邪眼は目を塞いだ程度じゃ逃れられねえぜ!!」

 馬瓏琉が左目をカッと見開く。コハクの邪眼とは対照的な、禍々しい瞳から放たれた光が梢子を襲う。
 梢子は反射的に目を逸らそうとするが、間に合わない。

 「さあ小山内梢子!!俺様の邪眼の光に飲み込まれちまい・・・」

 ぽよ~ん。
 馬瓏琉の目の前にブラジャーが現れた。

 「なあああああああああああああああああああああああああ!?」

 え?あれ?え?ちょっと、え?えええ!?
 慌ててブラジャーを手に取る馬瓏琉だが、それはさっき柚明が馬瓏琉に貸した、桂のブラジャーだった。
 よく見るとブラジャーに手紙が同梱されている。


 『馬瓏琉さんへ。先程は少し熱くなり過ぎました。貴方に酷い事をしてごめんなさい。でも、貴方が悪いんですよ?桂ちゃんの事を貧乳とか言って侮辱するから。その、お詫びと言っては何ですが、やっぱり馬瓏琉さんに桂ちゃんのブラジャーを少しだけ貸してあげる事にしました。あ、貸すだけですからね?ちゃんと後で返してもらいますからね? 

 ああそうそう、あなたの邪眼なんですけど、ノゾミちゃんの邪眼と違って使う度に貴方の脳神経にダメージを与える危険な代物なので、本当に勝手ですけど、少しの間封印させてもらいました。ああ、安心して下さいね。烏月さんって言うんですけど、専門家の人に対処法を調べてもらってますから。

 それと台所にクッキーを置いておいたので、よかったら食べて下さい。あ、賞味期限なら大丈夫ですよ? 柚明』


 「だからって何で羽藤桂のブラジャーなんだあああああああああああああ!?」
 「・・・ねえ馬瓏琉・・・。私ね、貴方の事を少しは尊敬していたのよ?」

 梢子が少しだけ笑みを浮かべながら、何だかとても怖そうな顔で馬瓏琉を睨み付ける。
 梢子の声は震えていた。その声には少し怒気が含んでいた。
 馬瓏琉はそんな梢子を見て心の底から恐怖が沸き起こった。

 「貴方は確かに下らない野望を持ってて、皆にも私にも酷い事をしたけど、それでも貴方の強さは私も認めていたのよ。だって夏姉さんよりもコハクさんよりも根方さんよりも強いし、私だってこの<<剣>>とナミの力がなければ、あなたとここまで戦えなかったと思う。」
 「小山内梢子・・・てめえ、いきなり何を・・・」
 「それに、貴方は残酷だけど卑怯じゃなかった。今まで貴方と何度も戦ったけど、貴方には確かに鬼の王としての威厳と風格があった。だから私は、『武人』としての貴方の事は、1人の剣士として憧れていた。尊敬していた。・・・それなのに・・・それなのに・・・」

 梢子は怒りの表情で馬瓏琉に斬りかかった。

 「それなのに、貴方が桂のブラジャーを持ってるってどういう事!?信じられない!!」
 「ま、待て、誤解だ!!俺だって信じられねえんだよ!!まずは俺の話を聞いてくれ!!」

 慌てて龍戟で梢子の斬撃を受け止める馬瓏琉だが、梢子の圧倒的な気迫の前に押されていた。

 「これは羽藤柚明の奴が無理矢理俺に押し付けた物なんだよ!!頼むから信じてくれ!!」
 「何でそこで柚明さんが出てくるのよ!?何で柚明さんのせいにしてるのよ!?」
 「いや、だって事実だし!!うわ待て何をするやめ」
 「打ち抜けええええええええええ(激怒)!!その一点を穿てえええええええええええ(激怒)!!」


 俺は今、羽藤柚明がいかにシスコンで変態かというのを、ほんのちょっぴりだが体験した。
 いや、体験したというか、俺の理解を遥かに超えていたんだが・・・。
 あ、ありのままに起こった事を正直に話すぜ・・・。

 『小山内梢子に邪眼の力を使ったら、羽藤桂のブラジャーが出てきた』

 な・・・何を言ってるのか分からねーと思うが、俺も何を見たのか分からなかった・・・。
 頭がどうにかなりそうだった・・・
 だけど下着泥棒とかそんなチャチなもんじゃねえ。断じてねえ。

 もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ・・・。


3.後日談



 「はふぅ~。柚明お姉ちゃん、ただいま~。」
 「桂ちゃん、ノゾミちゃん、お帰りなさい。おなかすいたでしょ?もうすぐ晩御飯が出来るからちょっと待っててね。」

 学校が終って帰宅した桂とノゾミを柚明は優しい笑顔で出迎えた。
 美味しそうなクリームシチューの匂いが部屋中を満たしている。
 だが桂の表情は暗かった。
 いつも明るくて可愛い桂ちゃんの身に一体何があったのか。柚明はとても不安そうな表情を見せる。

 「どうしたの桂ちゃん?何だか落ち込んでるみたいだけど・・・」
 「ちょっと柚明、聞いてくれる?桂ったら何考えてるんだか、お気に入りのブラジャーをいつの間にか無くしたとか言うのよ!?」
 「(ギクッ!!)そ、そうなの・・・」

 ごめんね桂ちゃん。後で馬瓏琉さんに返してもらうから。

 と、そこへ。
 ピンポーン。
 玄関から呼び鈴が聞こえた。

 「桂ちゃん、出てくれる?」
 「は~い、どちら様で・・・ああっ!!」

 そこにいたのは梢子とナミだった。
 桂は一転して、とても嬉しそうな表情になる。

 「梢子ちゃん、ナミちゃん、久しぶり!!卯良咲で会って以来だね!!」
 「桂、元気にしてた?」
 「うん!!それで急にどうしたの!?」
 「ちょっと桂に用事があってね。」
 「折角だからウチに上がっていってよ!!そうだ、晩御飯も一緒に・・・あ、でも柚明お姉ちゃん、2人の分までは作ってないんじゃ・・・」

 桂の言葉を聞いていた柚明が、とても優しい笑顔で反論した。

 「大丈夫よ、桂ちゃん。2人が今日ここに来る事は事前に聞いていたから。」
 「え!?そうなの!?」
 「だから晩御飯もちゃんと5人分作ってあるの。さ、2人とも遠慮しないで上がって頂戴ね。」

 5人で談笑しながら、桂たちは柚明が作ったクリームシチューを美味しそうに食べていた。

 「は~い、ナミちゃん、あ~ん」
 「~~~♪」
 「どう?美味しい?」
 「じゃがいも、ふわふわです。」
 「ナミちゃんもふわふわ~。」
 「桂ちゃんもふわふわです。」
 「け、桂ちゃん、私もふわふわよ!?」
 「柚明さんもふわふわです。」
 「柚明お姉ちゃんもふわふわ~。」
 「はあ・・・桂ちゃん可愛すぎるわ!!」
 「全く・・・桂もナミも柚明さんも何やってるんだか・・・」
 「梢子。シチューの口直しにあなたの血を飲ませなさい。」
 「ちょっと、何で私がノゾミに血を吸わせないといけないのよ?」
 「貴方が体に宿すヤスヒメの血も、桂の血ほどじゃないけど特別なのよ。というわけで少しだけ頂くわ。」
 「うわっ、ちょっと」
 「させません!!」
 「何よ、ちょっと位いいじゃない。ナミのけちんぼ。」

 食事が終って5人で柚明が淹れた紅茶を飲みながらのんびりくつろいでいたのだが、梢子は突然思い出した。

 「ああいけない、ここに来た目的を忘れる所だった・・・。桂、これ、あなたのでしょ?」

 梢子は鞄の中に入れていたブラジャーを桂に手渡す。

 「な・・・何で梢子ちゃんが持ってるの!?」
 「何故か知らないけど馬瓏琉が持ってたのよ。で、私が取り返してあげたんだけど・・・」
 「ええ!?何それどういう事!?何であの人が私のブラジャーを・・・」
 「私も知らないわよそんなの。」
 「梢子ちゃん、何だかよく分からないけどありがとう・・・。」
 「・・・ねえ桂。こうなったら馬瓏琉を訴えるなり被害届を出すなりしましょう。」
 「・・・へ?」
 「だって、柚明さんが無理矢理押し付けたとかふざけた事を言って、桂のブラジャーを盗んだのよ!?柚明さんは桂のブラジャーを盗むなんて、そんなふざけた事をする人じゃ無いのに!!」

 ズキンズキンズキン。
 柚明の良心が痛んだ。
 ああ桂ちゃん、ごめんね。ついでに馬瓏琉さんごめんなさい・・・。

 「夏姉さんは元警察官だから、そういう事に詳しいと思う。帰ったら相談してみるね。」
 「う、うん・・・ありがとう・・・」
 「全く、本当に何考えてるのかしら。あの柚明さんがそんな事をするはずが無いのに。」

 ズキンズキンズキンズキン。
 ああ梢子ちゃん、本当にごめんなさい~(泣)。

 「あの人は女の敵だわ・・・!!ねえ、柚明さんもそう思いますよね!?」
 「そ、そうね・・・あはははは・・・」
 「そうだ、馬瓏琉が桂のブラジャーを高々と掲げてる所をナミがデジカメで動画を撮ってたから、後で私のブログに晒してやるわ。ついでにYouTubeとニコニコ動画にも・・・」
 「しょ、梢子ちゃん、何もそこまでしてくれなくても・・・」
 「甘い!!甘いですよ柚明さん!!あいつは柚明さんに変態という汚名をかぶせたんですよ!?私としては、名誉毀損で訴えてもいいと思うんですけど!!」

 ズキンズキンズキンズキンズキンズキン。
 あああ、良心が痛む~~~(泣)

 「柚明お姉ちゃんを変態扱いするなんて、私も許せないよ!!」
 「ね!?桂もそう思うでしょ!?だから柚明さん、徹底的に馬瓏琉を追い詰めてやりましょう!!」
 「うんうん、私も協力するよ!!そうだ、2ちゃんねるにもスレを立てておくね!!」
 「うん、手分けして馬瓏琉の非道っぷりを全世界に晒してやりましょう!!」
 「そうだ梢子ちゃん、デジカメのメモリーカード貸して!!私のブログにも動画を晒しておくから!!」


 俺は今、小山内梢子と羽藤桂がいかに執念深くて根に持つタイプなのかというのを、ほんのちょっぴりだが体験した。
 いや、体験したというか、俺の理解を遥かに超えていたんだが・・・。
 あ、ありのままに起こった事を正直に話すぜ・・・。

 『2ちゃんねるを見たら、俺のスレが乱立してた。』

 な・・・何を言ってるのか分からねーと思うが、俺も何を見たのか分からなかった・・・。
 頭がどうにかなりそうだった・・・
 だけど事実無根とかそんなチャチなもんじゃねえ。断じてねえ。

 もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ・・・。