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アカイイト・アナザーストーリー

★柚明のブログ


1.9月11日(金)


 皆さんこんにちは。羽藤柚明です。
 今日から私の従妹の桂ちゃんに勧められて、ブログを書く事になりました。
 これからその日あった出来事、私が気になった事件やニュース、私の周りの何気ない日常風景など・・・いろんな事を日記代わりに書いていきたいと思っています。

 取り敢えずしばらくは、今現在私や桂ちゃんと同居している女の子・・・藤原望ちゃんについて色々書かせて頂きたいと思っています。
 ノゾミちゃんと私の関係は、詳しく話せば長くなるんですが・・・そうですねぇ、簡潔に言わせて貰うならば、

 『桂ちゃんを巡って私と壮絶な争いをした事がきっかけで、私と仲良くなった女の子』

 とでも言えばいいのでしょうか。
 色々と複雑な事情があって、私とノゾミちゃんの関係をこれ以上詳しくは書けないのですが、それでも上記の説明で大体合ってると思います。
 でもこれ、この間ドラマでやってた、男の人が拳と拳で語り合って仲良くなるお話にそっくりですよね。うふふ。
 まぁ私とノゾミちゃんの場合は、蝶と蛇で語り合って仲良くなったんですけどね。

 でもノゾミちゃん・・・実は凄く可哀想な女の子なんですよ?

 ①両親の育児放棄、さらに虐待まがいの扱いまで受けた。
 ②自分の事を助けてくれて、心から慕っていた恩人にまで裏切られた。
 ③双子の妹だと思って心から信用していた子が、実は双子の妹なんかじゃなくてただのそっくりさんで、自分の事を使い捨ての駒として扱っていた。

 酷い話ですよね?両親に虐待されて、そこから救ってくれた恩人に裏切られて、さらに双子の妹だと騙していた子に裏切られた・・・こんな可哀想な3連コンボを食らった女の子なんて、そう滅多にいないですよね?

 それでもノゾミちゃんは色々あって桂ちゃんに救われて、今は私や桂ちゃんと一緒に、幸せに暮らしていますよ。
 勿論私も桂ちゃんも、ノゾミちゃんを虐待なんかしませんし、裏切ったりもしません。
 だってノゾミちゃんは、今ではとてもかけがえの無い、私の大切な妹ですから・・・。

 前述の通り、しばらくはノゾミちゃん関連の話題を中心に、このブログを作り上げていきたいと思っています。
 出来るだけ毎日更新するつもりなので、皆さん末永くお付き合いして下さると嬉しいです。

2.9月12日(土)


 今日のお昼、青城女学院の小山内梢子ちゃんを、私のマンションに招待しました。
 梢子ちゃんは1週間前、夜中に暴漢の人たちに絡まれた桂ちゃんを、身を挺して助けてくれた恩人なんですよ?
 それで今日は梢子ちゃんにお礼がしたくて、私の手作りの料理をご馳走する事にしたんです。

 本当なら今日と言わずにすぐにお礼をしたかったんですけど、私と梢子ちゃんのスケジュールの都合がどうしても合わなくて、今日までずれ込んでしまいました。
 桂ちゃんを助けて貰ってから、もう1週間も経っているというのに・・・今頃になってお礼だなんて、梢子ちゃんに対して本当に申し訳無いと思いますけど・・・
 それでも梢子ちゃんは嫌な顔を1つもせずに、私の料理をとても美味しいと喜んでくれて、とても穏やかな笑顔を私に見せてくれました。

 梢子ちゃんは青城女学院の剣道部のエースで、全国クラスの剣道の達人・・・1年生でありながら、既に次期部長候補の筆頭として名前が挙がっているんです。
 桂ちゃんが毎日のように、私に得意げに話していた通り・・・とても素敵でかっこ良くて、頼りがいがあって優しくて、とても真面目で誠実な女の子なんですよ?

 だって、食事中にオナラをした事をわざわざ自分から名乗り出て、私に対して土下座までしたんですから。ここまで正直な女の子、そう滅多にいないですよね?
 それだけじゃないんです。梢子ちゃんは私をゴキブリの魔の手から、身体を張って救ってくれたんですよ?

 最近のゴキブリは凄いんですね。だっていきなり私の胸元までジャンプしてきたんですから。

 そのゴキブリが私の服の中に入ってきたんですけど、梢子ちゃんは私の事を励ましてくれて、取り乱した私に何発も殴られたというのに、それでも私の事を抱き締めて、懸命に助けてくれて・・・

 私は梢子ちゃんのそんな姿を見て、思わず胸がキュン・・・ってなってしまいました。
 なので私は、梢子ちゃんの事を私の妹リストに付け加える事にしたんです。
 いつか梢子ちゃんが、私の事を『姉さん』って呼んでくれたら・・・きっと最高ですよね。

 当初の予定では、梢子ちゃんにお昼ご飯をご馳走するだけでお開きにする予定だったのですが、梢子ちゃんを私の妹リストに付け加えたという事で、晩御飯もご馳走する事にしました。
 それで、私は梢子ちゃんともっと仲良くなりたくて、梢子ちゃんに今日はここに泊まっていきなさいな、って誘ったんですけど、梢子ちゃんに申し訳無さそうな表情で、

 「すいません、明日はちょっと用事があって、早起きしないといけないんで・・・」
 「折角の休日なのに、桂と柚明さんに早起きさせたくありませんから。」

 と断わられてしまいました。
 明日は日曜日だから、梢子ちゃんも私たちのマンションでのんびり出来ると思って誘ったんですけど・・・残念です。
 でも本当に梢子ちゃんは、とても思いやりがあって優しくて、凛々しくて素敵な女の子だと思います。
 いつか私と梢子ちゃんと桂ちゃんとノゾミちゃんの4人で、このマンションで静かに幸せに暮らせる時が来たら・・・本当に心の底からそう思います。



 それで、梢子ちゃんが帰った後に起こった出来事なんですけど・・・
 何と、また出たんです。ゴキブリ。しかも2匹も。
 折角梢子ちゃんが部屋から追い出してくれたのに・・・本当にしつこいですよね。

 私、ゴキブリは本当に苦手なんです。だって凄く気持ち悪いじゃないですか。
 その2匹のゴキブリはガサガサガサガサと部屋中を走り回って・・・私も桂ちゃんも手を繋いで、しばらく部屋の隅っこの方で怯えながら、その様子を見ていたんですけど・・・ゴキブリたちはいきなり私の所に突撃してきたんです。

 その時でした。

 「全く・・・桂も柚明も、本当に私がいないと駄目なんだから。」

 ノゾミちゃんが私と桂ちゃんを助けてくれました。
 殺虫スプレーを思い切り2匹のゴキブリにぶちかまして、のたうち回って暴れるゴキブリを素手で捕まえて、握りつぶして、ティッシュペーパーで包み込んで、思い切り踏みつけて、燃えるゴミ専用のゴミ袋の中に入れてくれたんですよ。
 梢子ちゃんと違って、私と桂ちゃんにブツブツと文句を言いながら・・・なんですけど。
 それでもノゾミちゃんは、私と桂ちゃんをゴキブリの魔の手から助けてくれたんです。

 呆然としている私を見て、ノゾミちゃんは呆れたような表情をしていました。
 それで殺虫スプレーとホウ酸ダンゴを持って、床下へと消えてしまったんです。
 そして5分後。埃まみれになったノゾミちゃんが床下から這い上がってきて、ふうっ・・・と溜め息をついて・・・

 「・・・一網打尽にしてやったわよ。ありがたく思いなさい。」

 ありがとう。ノゾミちゃん。 

3.9月13日(日)


 今日は桂ちゃんのクラスメイトで、剣道部で桂ちゃんがいつもお世話になっている松本美咲ちゃんが、私たちのマンションまで遊びに来てくれました。
 美咲ちゃんも梢子ちゃんと同じで全国クラスの剣道の達人で、桂ちゃんや梢子ちゃんと同じ1年生でありながら、次期部長候補として名前が挙がっているんだとか。

 それで美咲ちゃんは凛々しくて素敵な梢子ちゃんとは対照的で、とても可憐で可愛らしくて、母性を感じさせる女の子なんですよ?
 桂ちゃんがこの間、

 「美咲ちゃんはね、何だか柚明お姉ちゃんみたいなの。」

 って私に話していたんですけど・・・確かにそうですよね。
 だって料理と裁縫が得意だし、性格もそうだし・・・それだけじゃなくて、何と必殺技まで私とそっくりさんなんですから。
 美咲ちゃんが光翼鳥を見せてくれた時は、私とキャラが被ってるって本気で思いましたもん。

 でも、本当に美咲ちゃんになら、安心して桂ちゃんの事を任せられると思います。
 桂ちゃんがこんなにも慕っているし、美咲ちゃんは本当に素直でいい子ですから。

 美咲ちゃんは剣道部の練習で、いつも桂ちゃんにかなりハードなメニューを課しているみたいなんですけど、それでも桂ちゃんは練習を投げ出したいとか剣道部を辞めたいとか、そういう事は一度も思った事が無くて、むしろ楽しいとさえ思っているんだそうです。
 私は思わず、桂ちゃんがマゾなんじゃないかって本気で心配したんですけど・・・
 この間、その理由を桂ちゃんに聞いたら、こんな返事が帰ってきました。

 「だって美咲ちゃんの指導には、私への愛情と想いがたっぷりと込められているのが分かるから。それに毎日少しずつだけど、強くなってるっていう実感が沸いてるし。だから美咲ちゃんとの練習は凄く辛いけど、同時にとても楽しくもあるんだよ?だから剣道部を辞めるなんて冗談じゃないよ。」

 桂ちゃんにここまで言わせるなんて・・・美咲ちゃんは本当に桂ちゃんに慕われているんですね。
 だから私は、本当に安心して桂ちゃんの事を美咲ちゃんに任せられます。

 それで美咲ちゃん、今日は私たちの為にお昼ご飯を作ってくれました。
 美咲ちゃんが作ってくれた親子丼とお吸い物は、凄く美味しかったです。
 だって桂ちゃんが、

 「柚明お姉ちゃんの親子丼より美味しい~!!」

 なんて言い出す位ですから。
 そう言えばこの間桂ちゃんが、急にカップラーメンを食べたくなったとか言い出した事があったんですけど・・・
 桂ちゃんったら私が用事があって夜遅くまで出かけている間に、何と美咲ちゃんにお魚の料理を作って貰ったんだそうです。
 今日は遅くなるから、いい子にして待っててね、ってあれだけ言っておいたのに・・・
 しかも、私の作る料理とどっちが美味しいの?って聞いてみたら、桂ちゃんもノゾミちゃんも0.2秒で

 「美咲ちゃん。」
 「美咲。」

 って即答したんですよ?プンプン。
 私は毎日毎日、桂ちゃんとノゾミちゃんの為に美味しいご飯を作ってあげてるというのに。
 それなのに、美咲ちゃんの料理の方が美味しいって言い出すなんて。
 そりゃあ、確かに美咲ちゃんの料理は凄く美味しいとは思いますけど、それでも桂ちゃんとノゾミちゃんへの愛情なら、私だって負けていないんだから。

 取り敢えず美咲ちゃんに嫉妬したので、美咲ちゃんの事を私の妹リストに加えるのは保留です。


 それでお昼ご飯を食べた後に、私たちは美咲ちゃんと一緒にくつろいでいたんですけど・・・
 私が3時のおやつとして肉まんを温めようかと思った時、ノゾミちゃんが

 「今日のおやつは私が作ってあげるわ。」

 とか言い出したんです。
 それで、肉まんを電子レンジで温めたんですけど・・・
 電子レンジから出てきたのは、何とダークマターでした。
 だから私はノゾミちゃんに言ったんです。肉まんを温める時は水で適度に湿らせてから、ちゃんとラップで優しく包んで温めないと駄目よ?って。
 それなのにノゾミちゃんったら、パックごと電子レンジで温めるんですもの。

 でも、まさかそれでダークマターが出来上がるなんて・・・ノゾミちゃんったら、別の意味で凄い才能を持ってるんですね。
 美咲ちゃんったらそのダークマターを見て、何だか表情が引きつっていましたけど・・・あのダークマターに何か心当たりでもあったんでしょうか?

 ノゾミちゃんもさすがに落ち込んでしまったみたいで、泣きそうな表情で

 「い、いいわよ!!私が全部食べてあげるから!!」

 とか言い出したんですけど・・・美咲ちゃんが何だか物凄く取り乱しながら、全力でノゾミちゃんを止めたんです。

 「駄目よノゾミちゃん!!死ぬつもりなの!?」

 って。
 いや、いくら何でも死ぬだなんて、大袈裟だと思うんですけど・・・多分。
 それで、この後美咲ちゃんが残ってた肉まんを温めてくれて、私たち4人で美味しく頂きました。

 「・・・次こそは、失敗なんかしないから。」
 「いつか必ず、肉まんを美味しく温められるようになってみせるわ。」

 頑張ってね。ノゾミちゃん。

4.9月14日(月)


 「桂。その服のボタン、私が直してあげるわ。」

 桂ちゃんが学校から帰ってきた直後、いきなりノゾミちゃんがこんな事を言い出しました。
 よく見ると、桂ちゃんの制服の第2ボタンが外れかけていたんです。
 私が直してあげようか?私はこういうの得意なのよ?ってノゾミちゃんに言ったんですけど、ノゾミちゃんったら

 「私が直すったら直すの!!」

 って譲らないんです。
 それで桂ちゃんの制服を無理矢理脱がせて、裁縫道具を取り出して・・・以前私がやっていたのを見様見真似で覚えたのか、ぎこちない動きで針をボタンに通したんですけど・・・

 「・・・痛っ!!」

 針がノゾミちゃんの指に刺さってしまいました。
 大丈夫?代わってあげようか?って私はノゾミちゃんに言ったんですけど、それでもノゾミちゃんは

 「私が直すったら直すのよ!!」

 と頑なに拒むんです。

 「・・・痛っ!!」
 「・・・痛っ!!」
 「・・・痛っ!!」

 しかしノゾミちゃんは、何度も針を指に刺してしまいます。
 何度も何度も何度も何度も何度も。
 おまけに肝心のボタンは全然結べてないですし。しまいにはノゾミちゃんの指が刺し傷だらけになってしまいました。
 私はたまりかねて、ノゾミちゃんに言ったんです。
 その気持ちだけで充分だから、後は私に任せなさいって。
 それでもノゾミちゃんは

 「桂のボタンは私が直すのよ!!」

 と譲ろうとしません。
 仕方が無いので、私はノゾミちゃんを厳しく叱る事にしました。
 いい加減にしなさい!!ノゾミちゃんが怪我したら元も子も無いでしょう!?・・・って。
 こんなに刺し傷だらけになって・・・!!ノゾミちゃんはそれでいいかもしれないけど、私と桂ちゃんの気持ちも考えなさい!!・・・って。

 私はノゾミちゃんの刺し傷を手当てしたんですけど、そしたらノゾミちゃんったら酷く落ち込んで、泣きそうな顔で私にこう漏らしたんです。

 「私だって・・・私だって、桂のボタンを直したいって思ったのに・・・私だって・・・」

 この一言で私は、あぁ~そういう事なんだ、って思いました。
 きっとノゾミちゃんは、寂しくて仕方が無かったんだと・・・何らかの形で、私や桂ちゃんに構って欲しかったんだと・・・。

 梢子ちゃんが私をゴキブリの魔の手から助けてくれた事に対抗して、部屋中のゴキブリを一網打尽にしてくれた時も。
 美咲ちゃんが美味しい料理を作ってくれた事に対抗して、肉まんを温めようとしてダークマターを作ってしまった時も。
 そして今日、桂ちゃんのボタンを直すって聞かなかったのも、きっと私の裁縫技術に対抗しての事だったんだと・・・ノゾミちゃんの泣きそうな顔を見て、そう確信したんです。

 ノゾミちゃんは両親に育児放棄されて虐待されて、私に拾われるまで愛情を注いでくれる人が1人もいなかった物ですから。
 だからノゾミちゃんは、きっと寂しかったんだと思います。愛情に飢えていたんだと思います。
 ノゾミちゃんが毎日、私や桂ちゃんにツンツンしてるのはきっと、ノゾミちゃんの寂しさの裏返しなのだと思います。
 それで桂ちゃんに少しでも喜んで貰いたくて、制服のボタンを直す事に挑戦したのでしょうね。

 でもだからと言って、それでノゾミちゃんが大怪我でもしたら何にもなりません。
 今回は大した事は無かったから良かったんですけど、針は立派な凶器ですから。誤って口の中にでも入ったりしたら大変です。
 だから私は今日、ノゾミちゃんを厳しく叱ったんです。
 ノゾミちゃんに何かあったら、私も桂ちゃんも悲しいのよって。
 甘やかすばかりが愛情ではありません。道を踏み外しかけた時には厳しく叱ってあげる事も、立派な愛情ですから。

 ノゾミちゃんはきっと、誰かに心の底から本気で叱られた経験も、全く無いのでしょうね。
 何しろ生まれた時から育児放棄されて、誰にも愛情を注いで貰う事が無かったものですから。
 それで私にどう接したらいいのか分からずに、泣きそうな顔になってしまったんだと思います。

 なので私はノゾミちゃんに、だったら私とノゾミちゃんの2人で桂ちゃんのボタンを直そうか、って提案したんです。
 私がノゾミちゃんの背後に回って、二人羽織になって、私がノゾミちゃんの手を取って・・・。
 やがて私とノゾミちゃんの手によって、桂ちゃんのボタンは見事に直りました。
 桂ちゃんには

 「て言うか、それって直したのはほとんど柚明お姉ちゃんだよね?」

 って突っ込まれたんですけど、そんな事はありません。
 これは紛れも無く、私とノゾミちゃんの手によって直されたボタンです。
 だってノゾミちゃんが、私の手を借りたとはいえ、あんなに一生懸命になって針を通した物なんですから。
 だからこれは、私とノゾミちゃんが直したボタンなんです。こればかりは譲れません。

 「全く・・・桂ったら、本当に世話が焼けるんだから。」
 「ほら、直してあげたわよ。ありがたく思いなさい。」

 よく頑張ったわね。ノゾミちゃん。

5.9月15日(火)


 さて、ここまでブログを改めて読み返してみて、ふと思ったんです。
 ノゾミちゃんはいつも私や桂ちゃんに対してツンツンしてるけど・・・それでも私や桂ちゃんの事を大切に想ってくれているんだ・・・という事を。
 そして、こうやって毎日ツンツンしてるのは、やっぱり寂しさの裏返しで、愛情に飢えているからなんだと・・・。
 たまに私や桂ちゃんの事を困らせる事があるんですが、それさえも私や桂ちゃんに構ってほしいという、寂しさの現れなんだと・・・。

 ほんの少し前までは、私とノゾミちゃんは桂ちゃんを巡って、お互いに殺すつもりで争っていたというのに・・・いつの間にかノゾミちゃんとこんな関係になってしまった事に、思わず苦笑いしてしまいます。
 そしてノゾミちゃんがこうして私と一緒に暮らしてくれるようになったのは、きっと桂ちゃんの人望のお陰なのでしょうね。
 両親から捨てられて、救ってくれた人からも裏切られて、双子の妹だと思っていた人からも捨て駒にされて・・・そんな絶望の底に突き落とされたノゾミちゃんに希望を与え、生まれて初めて心からの涙を流してくれたのは、他でも無い桂ちゃんですから。

 サクヤさんも烏月さんも、桂ちゃんが甘過ぎるとかお人好し過ぎるとか言うんですけど・・・
 だけど、だからこそ桂ちゃんなのであって、そんな桂ちゃんだからこそノゾミちゃんは救われたんだと思います。
 それに、そんな桂ちゃんだからこそ、私は好きになったんですし、私だって桂ちゃんの純真な笑顔に何度も癒され、何度も救われましたから。

 ノゾミちゃんも口には出さないんですけど、桂ちゃんにいつも愚痴をこぼしながらも、きっと桂ちゃんの事を大切に想ってくれていると思います。
 でなければ刺し傷だらけになってまで、桂ちゃんの制服のボタンをあんなに必死に直そうなんてしなかったはずですから。

 そして私も、ノゾミちゃんの事をとても大切に想っています。
 一時は互いに殺し合ったりもしましたけど・・・今では私の大切な妹です。
 桂ちゃんや梢子ちゃんと同じ位、とても大切な人・・・。
 だからノゾミちゃん・・・これからもずっと私の傍にいてね。

 「柚明お姉ちゃん、ただいま~。」

 あ、たった今、桂ちゃんが学校から帰ってきました。
 それに・・・

 「柚明。今帰ったわよ。」

 お帰りなさい。ノゾミちゃん。もうすぐ晩御飯が出来るからね。

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