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「音の焦点」と聞くと……

 人によって思い浮かべるものが違う(異なる意味が同じ語彙に対して重複割り当てされてしまっている)ようなので、ここでは「(中音域~高音域間の)トーンコンパス」と表現してみることにします。


「トーンコンパス」という表現方法。

 いっぱんに、「中音域」から「高音域」までの間のトーンバランスを調整する方法として、いくつかの機器には「トーンコントローラー」のような装備がついています……が、「トーンコントローラー」は大きく帯域バランスを変化させることができるという特徴を持たせるために、微細な変化を行わせることについて、あまり考慮していない場合が多いようです。
 いっぽうで、かつてLuxmanが生産したプリメインアンプであるL-11という機種には、複数のトーンコントローラーつまみの代わりに「一つのトーンコンパセータというつまみ」がついていました。これはツマミ一つを回すことによって「中音域はそのままにして、低音域と高音域をシーソーのように、互いに逆方向に調整する」という仕掛けになっていました……残念ながら、フラットを中心にして傾きを2段階調整するのみという代物でして、無段階調整はできなかったのですが……。


 さて、こういった「帯域調整」という技術についてですが、電気に関する基礎的な知識さえあれば「アンプ側にそういった調整機構がなくても、意外とそれなりに変化させることができる」ものなのです。
 今回は、この帯域調整方法について、Luxmanでの機能名に倣って「トーンコンパス」という言葉を割り当てた上で、二つの方法を紹介したいと思います。
 これらは、トーンコントロールよりは穏やかに効かせることができるため、トーンコントロール回路が付いている機械を使う場合であっても、役に立つ可能性があるかもしれません。


「中音域がでしゃばりすぎている」「高音域がもっと欲しい」という場合。

 こういった場合は、
  • 周波数によって抵抗値があまり変わることのない、固定抵抗器。
  • 周波数によって抵抗値がころころと変わる、スピーカ。
の2つの性質を利用して、この2つを「直列に接続する」ことで、中音域の減衰(→相対的な高音域の増強)を行うことができます。


 手順については、ひとまず【「音の焦点(?)」をプラセボ少なめで調整するための配線案(マニュアル・サウンド・フォーカスのための実験回路)、その6。】に示してみましたので、そちらを参考にしてみてください。


 この事例ではスピコンというものを使っていますが、スピコンを使わなければならない理由というのはありませんので、それぞれのアンプやスピーカへの接続方法にあわせて、直列抵抗の挿入方法を決めてみてください。
 ただし、抵抗器を付け外ししてベストポイントへと近づけていく……という操作を行いますので、半田付けよりはねじ止めで処理できるように工夫する必要があると思います。


 この場合、「並列で使う固定抵抗器の本数を減らす(→合成抵抗値が増える)」と、スピーカに対して「高音ほど高い電圧が掛かる」ために高音寄りの音が出るようになります。
 「並列で使う固定抵抗器の本数を増やす(→合成抵抗値が減る)」と、だんだんと「何もしていない状態」に近づいていきます。


 固定抵抗器の本数が少なくなりすぎた場合(合成抵抗値が上がりすぎた)には、「本数が少なくなりすぎたので、一本増減させるごとの変化量が大きすぎて、微調整が効かなくなる」という不都合が出てきます。こういう場合には、1ランク抵抗値が高いものへと総取替えしてから、抵抗の増減操作をやり直す必要があります。
 逆に固定抵抗器の本数が多くなりすぎた場合(合成抵抗値が下がりすぎた)には、「本数が多くなりすぎたので、一本増減させるごとの変化量が小さすぎて、粗調整が効かなくなる」&「本数が多すぎて固定できない」という不都合が出てきます。こういう場合には、1ランク抵抗値が低いものへと総取替えしてから、抵抗の増減操作をやり直す必要があります。


「高音域がでしゃばりすぎている」「中音域がもっと欲しい」という場合。



 こういった場合は、
  • 周波数が高ければ高いほど抵抗値が上がる、コイル。
  • 周波数によって抵抗値がころころと変わる、スピーカ。
の2つの性質を利用して、この2つを「直列に接続する」ことで、高音域の減衰(→相対的な中音域の増強)を行うことができます。
 コイルについては、あまり巻き方が粗いと「誘導成分が発揮されず、抵抗成分が大きく出てしまうために、上に書いた固定抵抗器による調整方法と似た状態になってしまう」という点に注意する必要があると思われます。なるべく短い配線で必要な誘導成分を確保できるように、コイルは密に巻くほうが良いはずです。




 この事例についてはまだ実験を完了していないのですが、基本的には一番下に貼った図にあるように「複線のケーブルをケーブルリールなどに巻いていって、複線のうち片方(たとえば+用の配線)は通常通りに・もう片方(たとえば-用の配線)は通常とは逆方向に使ってスピーカとアンプを接続する」という方法が、(少なくともシースに覆われた複線の間だけは密に接しているので)もっとも安定した効果を得られると思われます。
 もちろん、単線でやってもいい……のですが、一般的にスピーカケーブルは複線で売られているものですし、スピーカケーブルをほぐして単線にすると「元のスピーカケーブルとしての設計が生かされない」という都合もありますので、あくまでも複線のまま使って「接続に必要な分のみほぐして使う」というのが、一番手っ取り早い方法なのかも……と考えています。


 この場合、「スピーカケーブルを巻く回数を減らす(→インダクタンスが減る)」と、スピーカに対して「高音をあまり減衰しなくなる」ために、だんだんと「何もしていない状態」に近づいていきます。
 また、「スピーカケーブルを巻く回数を増やす(→インダクタンスが増える)」と、スピーカに対して「高音ほど低い電圧が掛かる(高音ほどスピーカケーブル製コイルに掛かる電圧が増える)」ために高音の減った音が出るようになります。