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*【dbx/DriverackPA】は、何のために調達したのか。  あなたは、左右の音量があわなくて「音像が中央に定位してくれない」というシーンに出会うことはありませんか?  そういった場合、ふつうは左右音量を調整するための調整機構を使って調整するはずです。  しかし、これをやっても「ある特定の帯域は真ん中に定位するけど、その倍音が妙に左右に寄って定位したり、妙に音量が変わってしまうんだよなぁ……」とか、「声を再生しているはずなのに、声らしさの要素が左右からバラけて聞こえてきてしまう……」などということに出会うかもしれません。  この理由、実はすごく単純なのです。  まずは以下を「チラッと」ご覧ください。  http://f.hatena.ne.jp/maple_magician/20080422113102  普通、帯域によることなく、「電気的には」左右の音量をぴたりと合わせることができます。  ところが、この音をいったんスピーカによって部屋へと放出してしまうと、その音を耳で聞くときには「部屋の構造や異物などの乱反射の影響も含めた、直接音と間接音を組み合わせた音」が聞こえてくるため、左右バランスが帯域によってめちゃくちゃに崩れてしまいます。  このほかに、部屋にある壁同士の反射による定在波まで発生してしまいます(定在波は、部屋壁が平行面なら狭い帯域で強烈に、非平行面なら広い帯域で薄く発生します)。  仮に「間接音がそんなに関係するわけないだろ!」とお思いの方で、もしも聴取している部屋の左側か右側に「大きな窓かふすま」があるようでしたら、それを開け閉めしてみてください……窓やふすまを開けると、今までそこで反射していた音が聞き取れなくなります。  反射音が減った分だけ開けた側の音量は小さく聞こえるため、そちら側にあるスピーカのボリウムだけを絞ったのと同じ結果を生み、結果として音像は「窓やふすまを開けていない側に寄ってしまう」ことが確認できるはずです。  この効果は「わかる人にはわかる」とかいう微細レベルのもの(めっきによる音の違いとか、電線による音の違いなど──これらは相沢かえでにとってはほとんど検知できないのです)ではなくて、明らかに音像の定位位置が左右どちらかにずれてしまうので、もしもテストしたことがないようでしたら、一度試していただくことをお勧めします。  窓やふすまを開ければ、あきれるほど左右バランスが変わってしまう……とすると、当然そういった「巨大な外乱」がなくとも、「部屋の内外構造やスピーカの配置など」といった、左右に関する大小さまざまな非対称がからんで、左右の音量は帯域ごとにばらばらと乱れていきます。  こういった音は、音が持つ周期によって「影響を受けるものが異なる」ため、帯域ごと&左右別々に、大きくなったり小さくなったりする量にはバラつきが出てきます。  スピーカから出た音のバランスが、複雑な要素を経て音楽としてまとまって聞こえてくれば、結果として「帯域ごとにばらついた左右のバランス差」として聞こえてくる……となれば、「左右のボリウム差を一律に調整するだけでは、帯域ごとの細かなバランス差は調整できない」ということについては、そのままご理解いただけるのではないかと思います。  こういった構造を解消するには、基本的に「部屋の内外から部屋内部の部材、部屋に置くもののすべて、そしてその中で聴く人間自身にいたるまでを、一切違いなく左右完全対象にすればよい」……ということになるのですが、現実的にはそんな状況をそろえることなどムリです(人間の構造自体が左右対称ではない時点で、この条件は例外なく成立しません)。  しかも、左右完全対称にしたところで、「左右のバランスがあうだけ」であって、「帯域バランスの崩れについては放置されたまま」なので、特定の帯域の音だけが妙に大きくなったり小さくなったりする……というところについては、相変わらず放置されたままとなってしまいます。  ではどうすればよいか?というときに出てくる機械が、たとえば【dbx/DriverackPA】のような、「グラフィックイコライザを自動的に調整して、帯域ごとに左右バランスをあわせていき、かつ帯域全体のバランスも一緒にあわせていく」機械です。  こういった機器は、ある程度以上の価格の民生機器では、実は案外とおなじみだったりします……一番身近なところでは、ホームオーディオよりもむしろ「カーオーディオ」の分野でしょうか。  補正のためにはマイクロホンが付属していて、ピンクノイズなどを用いることにより、カーオーディオが受けがちな「複雑な室内環境によるバランスの崩れ」を補正するために使われていたりします。  もう一度、以下を「チラッと」ご覧ください。  http://f.hatena.ne.jp/maple_magician/20080422113102  左右のボリウムをあれこれといじっても、左右のバランスが全体域ではあってくれない……というのは、先のとおり「リスニングルーム内の影響を受けて、左右バランスが帯域ごとに狂ってしまうから」となります。  こういった帯域ごとのバランス差異というのは、あたりまえのように帯域ごとに左右バランスを調整していけばよいので、「原理的には」31バンドグラフィックイコライザを使えば手動で合わせることができます。  しかしながら、グラフィックイコライザという代物は、特定の帯域をいじるとその付近の3バンドほどが巻き込まれて動いてしまうため、素人が手動で調整していくのは「現実的には」ムリです。プロがやるにしても、それなりに割り切って少なめのポイントのみを調整するか、かなりの時間を掛けて調整していくかの、どちらかにならざるを得ないはずです。  ……そして、ここでは「プロが時間を掛ければ調整できる」というところが重要です。  「プロが」できるということは、「測定器を使えば」できる可能性がある、ということを指しています。そして、プロが何を頼りに調整しているかといえば「耳で聞いた音量」です。  「音量」は機械的に測定できます。そして、「時間を掛けて繰り返す」ということは、むしろ機械ほど難なくこなしてしまうものです。  「プロが根気よく時間をかけて行えば、きちんと合わせこむことができる」ということは、「そういうプロのやり方を手順化して、その手順どおりに調整が行われるグラフィックイコライザを作る」ことにより、プロでなくても普通に使える「自動調整のグラフィックイコライザ」ができる……ということになります。  【dbx/DriverackPA】のような装置と、それに適合するマイクロフォンを用意すれば、左右ボリウムの調整のみではうまくいかないような「全体域に渡る左右バランスの調整」を、「プロが時間を掛けて調整する手順と同じ方法によって」全帯域の左右バランスと帯域バランスそのものの両方を調整してくれるわけです。  こういった装置は、業務機器としてほかにもBehringerなどからも発売されていて、マイクロフォンと組み合わせてもそれなりの価格で調達することができます。  こういった機器の内部では「いったんアナログ→デジタル変換をして、デジタル処理をしてからデジタル→アナログ変換をする」という性質があるため、どうしても音質的には劣化してしまいます。  そのかわりに「よく調整された環境がどういうものかを体感する」ことができ、アナデジ変換などによる音質劣化が気にならない人にとっては「部屋の問題を放置したままバランスあわせができるお手軽な救世主」にもなりえます。  ……と、こういったことは「入手後に色々実験してみて、始めて解った」ことなのですが、ほんの少しだけこういったことを期待して、私は【dbx/DriverackPA】を調達しました。  実際のところ、「DriverackPAの中の人(あえてこう喩えてみました……プログラマさんが組んだとおりの手順で律儀に調整していくさまというのは、それこそ「中の人」がいるかのような振舞いかたなので)」は、よく働いてくれていると思います。  測定用マイクロホンを立てる場所によって、ある程度結果が変わってきてしまう……ので、そのあたりについては色々と試してみるべきですね。  ちなみに、【dbx/DriverackPA】に接続するマイクについては、「スピーカから2m離したところにマイクスタンドを立てて、家庭で出せる常識的な音量で調整しよう」とすると、とんでもない音量の音を出す必要が出てくるため、事実上自動調整ができないことになってきます……というか、気合でやったら近隣から苦情が来ると思います。  そういうときには、【感度の高い測定用マイクロホン(MINISPLがこの用途に合うと思う)】→【マイクロフォンケーブル】→【Mackie製のVLZシリーズまたはONYXシリーズなミキサー】→【マイクロフォンケーブル】→【dbx/DriverackPAのRTAマイク入力端子】という順序でつないでやってください。  dbx/DriverackPAのマイク入力端子からは「ファンタム電源」が供給されているため、これを普通のマイクロフォンアンプに導入してしまうと問題が発生しやすい……のですが、Mackie製のVLZ/ONYXシリーズミキサーはそういったところに接続しても正常に動作するため、同ミキサーを間に挟むカタチで測定用マイクをDriverackPAへと接続してください。  ミキサーのチャンネル・メインミックスは共にユニティへと設定し、ミキサーのXLR出力端子付近にあるXLRレベルスイッチは「+4」にして、DriverackPAでピンクノイズを出した状態でミキサーの入力ゲイン調整ポリウムをいじっていけば、「現実的な範囲でぎりぎり大きな音量」で自動調整を掛けることができるはずです。  ちなみに、このあたりの調整については、 http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20080420/1208621430 にも一通りメモを残してありますので、【dbx/DriverackPA】と、それを動かすための周辺機器(マイクケーブル2本、MINISPL測定用マイク、MackieのVLZ/ONYXミキサー)を調達しようかどうかとお悩みの方は、一度ご覧いただくとよいかもしれません……測定は面倒ですし、音質も悪くなります。でも、人によっては得るものがあるのではないかな……と。
*【dbx/DriverackPA】は、何のために調達したのか。  あなたは、左右の音量があわなくて「音像が中央に定位してくれない」というシーンに出会うことはありませんか?  そういった場合、ふつうは左右音量を調整するための調整機構を使って調整するはずです。  しかし、これをやっても「ある特定の帯域は真ん中に定位するけど、その倍音が妙に左右に寄って定位したり、妙に音量が変わってしまうんだよなぁ……」とか、「声を再生しているはずなのに、声らしさの要素が左右からバラけて聞こえてきてしまう……」などということに出会うかもしれません。  この理由、実はすごく単純なのです。  まずは以下を「チラッと」ご覧ください。  http://f.hatena.ne.jp/maple_magician/20080422113102  普通、帯域によることなく、「電気的には」左右の音量をぴたりと合わせることができます。  ところが、この音をいったんスピーカによって部屋へと放出してしまうと、その音を耳で聞くときには「部屋の構造や異物などの乱反射の影響も含めた、直接音と間接音を組み合わせた音」が聞こえてくるため、左右バランスが帯域によってめちゃくちゃに崩れてしまいます。  このほかに、部屋にある壁同士の反射による定在波まで発生してしまいます(定在波は、部屋壁が平行面なら狭い帯域で強烈に、非平行面なら広い帯域で薄く発生します)。  仮に「間接音がそんなに関係するわけないだろ!」とお思いの方で、もしも聴取している部屋の左側か右側に「大きな窓かふすま」があるようでしたら、それを開け閉めしてみてください……窓やふすまを開けると、今までそこで反射していた音が聞き取れなくなります。  反射音が減った分だけ開けた側の音量は小さく聞こえるため、そちら側にあるスピーカのボリウムだけを絞ったのと同じ結果を生み、結果として音像は「窓やふすまを開けていない側に寄ってしまう」ことが確認できるはずです。  この効果は「わかる人にはわかる」とかいう微細レベルのもの(めっきによる音の違いとか、電線による音の違いなど──これらは相沢かえでにとってはほとんど検知できないのです)ではなくて、明らかに音像の定位位置が左右どちらかにずれてしまうので、もしもテストしたことがないようでしたら、一度試していただくことをお勧めします。  窓やふすまを開ければ、あきれるほど左右バランスが変わってしまう……とすると、当然そういった「巨大な外乱」がなくとも、「部屋の内外構造やスピーカの配置など」といった、左右に関する大小さまざまな非対称がからんで、左右の音量は帯域ごとにばらばらと乱れていきます。  こういった音は、音が持つ周期によって「影響を受けるものが異なる」ため、帯域ごと&左右別々に、大きくなったり小さくなったりする量にはバラつきが出てきます。  スピーカから出た音のバランスが、複雑な要素を経て音楽としてまとまって聞こえてくれば、結果として「帯域ごとにばらついた左右のバランス差」として聞こえてくる……となれば、「左右のボリウム差を一律に調整するだけでは、帯域ごとの細かなバランス差は調整できない」ということについては、そのままご理解いただけるのではないかと思います。  こういった構造を解消するには、基本的に「部屋の内外から部屋内部の部材、部屋に置くもののすべて、そしてその中で聴く人間自身にいたるまでを、一切違いなく左右完全対象にすればよい」……ということになるのですが、現実的にはそんな状況をそろえることなどムリです(人間の構造自体が左右対称ではない時点で、この条件は例外なく成立しません)。  しかも、左右完全対称にしたところで、「左右のバランスがあうだけ」であって、「帯域バランスの崩れについては放置されたまま」なので、特定の帯域の音だけが妙に大きくなったり小さくなったりする……というところについては、相変わらず放置されたままとなってしまいます。  ではどうすればよいか?というときに出てくる機械が、たとえば【dbx/DriverackPA】のような、「グラフィックイコライザを自動的に調整して、帯域ごとに左右バランスをあわせていき、かつ帯域全体のバランスも一緒にあわせていく」機械です。  こういった機器は、ある程度以上の価格の民生機器では、実は案外とおなじみだったりします……一番身近なところでは、ホームオーディオよりもむしろ「カーオーディオ」の分野でしょうか。  補正のためにはマイクロホンが付属していて、ピンクノイズなどを用いることにより、カーオーディオが受けがちな「複雑な室内環境によるバランスの崩れ」を補正するために使われていたりします。  もう一度、以下を「チラッと」ご覧ください。  http://f.hatena.ne.jp/maple_magician/20080422113102  左右のボリウムをあれこれといじっても、左右のバランスが全体域ではあってくれない……というのは、先のとおり「リスニングルーム内の影響を受けて、左右バランスが帯域ごとに狂ってしまうから」となります。  こういった帯域ごとのバランス差異というのは、あたりまえのように帯域ごとに左右バランスを調整していけばよいので、「原理的には」31バンドグラフィックイコライザを使えば手動で合わせることができます。  しかしながら、グラフィックイコライザという代物は、特定の帯域をいじるとその付近の3バンドほどが巻き込まれて動いてしまうため、素人が手動で調整していくのは「現実的には」ムリです。プロがやるにしても、それなりに割り切って少なめのポイントのみを調整するか、かなりの時間を掛けて調整していくかの、どちらかにならざるを得ないはずです。  ……そして、ここでは「プロが時間を掛ければ調整できる」というところが重要です。  「プロが」できるということは、「測定器を使えば」できる可能性がある、ということを指しています。そして、プロが何を頼りに調整しているかといえば「耳で聞いた音量」です。  「音量」は機械的に測定できます。そして、「時間を掛けて繰り返す」ということは、むしろ機械ほど難なくこなしてしまうものです。  「プロが根気よく時間をかけて行えば、きちんと合わせこむことができる」ということは、「そういうプロのやり方を手順化して、その手順どおりに調整が行われるグラフィックイコライザを作る」ことにより、プロでなくても普通に使える「自動調整のグラフィックイコライザ」ができる……ということになります。  【dbx/DriverackPA】のような装置と、それに適合するマイクロフォンを用意すれば、左右ボリウムの調整のみではうまくいかないような「全体域に渡る左右バランスの調整」を、「プロが時間を掛けて調整する手順と同じ方法によって」全帯域の左右バランスと帯域バランスそのものの両方を調整してくれるわけです。  こういった装置は、業務機器としてほかにもBehringerなどからも発売されていて、マイクロフォンと組み合わせてもそれなりの価格で調達することができます。  こういった機器の内部では「いったんアナログ→デジタル変換をして、デジタル処理をしてからデジタル→アナログ変換をする」という性質があるため、どうしても音質的には劣化してしまいます。  そのかわりに「よく調整された環境がどういうものかを体感する」ことができ、アナデジ変換などによる音質劣化が気にならない人にとっては「部屋の問題を放置したままバランスあわせができるお手軽な救世主」にもなりえます。  ……と、こういったことは「入手後に色々実験してみて、始めて解った」ことなのですが、ほんの少しだけこういったことを期待して、私は【dbx/DriverackPA】を調達しました。  実際のところ、「DriverackPAの中の人(あえてこう喩えてみました……プログラマさんが組んだとおりの手順で律儀に調整していくさまというのは、それこそ「中の人」がいるかのような振舞いかたなので)」は、よく働いてくれていると思います。  測定用マイクロホンを立てる場所によって、ある程度結果が変わってきてしまう……ので、そのあたりについては色々と試してみるべきですね。  ちなみに、【dbx/DriverackPA】に接続するマイクについては、「スピーカから2m離したところにマイクスタンドを立てて、家庭で出せる常識的な音量で調整しよう」とすると、とんでもない音量の音を出す必要が出てくるため、事実上自動調整ができないことになってきます……というか、気合でやったら近隣から苦情が来ると思います。  そういうときには、【感度の高い測定用マイクロホン(MINISPLがこの用途に合うと思う)】→【マイクロフォンケーブル】→【Mackie製のVLZシリーズまたはONYXシリーズなミキサー】→【マイクロフォンケーブル】→【dbx/DriverackPAのRTAマイク入力端子】という順序でつないでやってください。  dbx/DriverackPAのマイク入力端子からは「ファンタム電源」が供給されているため、これを普通のマイクロフォンアンプに導入してしまうと問題が発生しやすい……のですが、Mackie製のVLZ/ONYXシリーズミキサーはそういったところに接続しても正常に動作するため、同ミキサーを間に挟むカタチで測定用マイクをDriverackPAへと接続してください。  ミキサーのチャンネル・メインミックスは共にユニティへと設定し、ミキサーのXLR出力端子付近にあるXLRレベルスイッチは「+4」にして、DriverackPAでピンクノイズを出した状態でミキサーの入力ゲイン調整ポリウムをいじっていけば、「現実的な範囲でぎりぎり大きな音量」で自動調整を掛けることができるはずです。  ちなみに、このあたりの調整については、 http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20080420/1208621430 にも一通りメモを残してありますので、【dbx/DriverackPA】と、それを動かすための周辺機器(マイクケーブル2本、MINISPL測定用マイク、MackieのVLZ/ONYXミキサー)を調達しようかどうかとお悩みの方は、一度ご覧いただくとよいかもしれません……測定は面倒ですし、音質も悪くなります。でも、人によっては得るものがあるのではないかな……と。

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