Q.みちるの正体は? 水子?
A.【推測】美凪の願いによって、「空にいる少女の絵」を媒介にしてみちるの記憶が引き戻されたような感じではないだろうか。
SEEN609.TXT
【みちる】「会いたいひとがいたから…」
【みちる】「会って、しあわせにしてあげたいひとたちがいたから…」
【みちる】「会って、しあわせにしてあげたいひとたちがいたから…」
みちるの願い。会いたかったのはもちろん、美凪と母親。
みちるはお腹の中でずっと美凪の話を聞いていた。
SEEN612.TXT
【美凪】「きのうの晩ごはんは、はんばーぐだったんだよ」
【美凪】「今日は、ずっといっしょにいてあげるね」
私は、妹が楽しんでくれるように、がんばって楽しい話を考えた。
【美凪】「今日は、ずっといっしょにいてあげるね」
私は、妹が楽しんでくれるように、がんばって楽しい話を考えた。
ここで『はんばーぐ』という言葉が出てくる。みちるは『はんばーぐ』を実際には見たことがないかのような描写が出てくるが、それはおそらく美凪の話で聞いただけだったからなのだろう。
SEEN297.TXT
【みちる】「えっとね、えっとね、みちるはでーっかい『はんばーぐ』がいいな」
両手を大きく広げる。
あの手は、どうやら『はんばーぐ』の大きさを示しているらしい。
ちなみに、そんなにでかい『はんばーぐ』を俺は見たことがない。
両手を大きく広げる。
あの手は、どうやら『はんばーぐ』の大きさを示しているらしい。
ちなみに、そんなにでかい『はんばーぐ』を俺は見たことがない。
当然ながら往人のツッコミが入る。さて以下は同じような『ぱえりあ』のエピソードだが、二重カギカッコをつけているところを見ると、美凪も『ぱえりあ』を知らないのだろうか?
お米好きな美凪が、お米料理のパエリアを知らないとも思えないが…。
SEEN297.TXT
【みちる】「あ…でも、『ぱえりあ』も捨てがたいかも…」
ぽつりと呟く。
【美凪】「…『ぱえりあ』?」
【みちる】「うんっ」
【美凪】「………」
【美凪】「…みちる」
【みちる】「なに?」
【美凪】「…『ぱえりあ』って…どんなお料理か知ってる?」
【みちる】「え…」
【美凪】「…『ぱえりあ』」
【みちる】「あ…」
【美凪】「………」
【みちる】「そういえば…みちる『ぱえりあ』知らないや。にゃはは」
【美凪】「…残念でした」
ぽつりと呟く。
【美凪】「…『ぱえりあ』?」
【みちる】「うんっ」
【美凪】「………」
【美凪】「…みちる」
【みちる】「なに?」
【美凪】「…『ぱえりあ』って…どんなお料理か知ってる?」
【みちる】「え…」
【美凪】「…『ぱえりあ』」
【みちる】「あ…」
【美凪】「………」
【みちる】「そういえば…みちる『ぱえりあ』知らないや。にゃはは」
【美凪】「…残念でした」
お腹の中でずっと美凪の話を聞いていたみちる。みちるが知っていることは美凪が教えたことであるというならば、みちるはやはり「美凪の妹のみちる」ということになる。
みちるの正体は、神奈の「羽根」だ。であるならば、生まれることなく死んでしまったみちるの「記憶」をどうにかして、羽根に移し変えて現世に顕現させなければならない。どうやって?
それにはおそらく「空にいる少女の絵」が関係している。涼元氏によれば、あの絵にはそれなりに深い意味と伏線、裏の設定が隠されているとのこと(Aria Vol.1インタビューより)。ただの絵でないのならば、美凪の願いを神奈に届けることも可能なのだろう。
みちるは「美凪の母のお腹の中にいて、美凪の話を聞いていた」。
みちるは「美凪達に会いたい」と願った。会って幸せにしてあげたい人たちがいた。
みちるが現れた時「空にいる少女の絵」が消えた。
物語中で語られているのはこれだけだ。あとは自由に想像してくださいということだと思い、推測に推測を重ねてみた。
SEEN609.TXT
【みちる】「…お空にはね…とってもさみしそうな女の子がいるの」
穏やかな声で、みちるが言う。
その声は、俺が知っている幼いみちるの声じゃなくて、ずっと大人びた声に聞こえた。
【みちる】「その子は、いつも悲しい夢をみるだけで、ほかにはなにもない」
【みちる】「しあわせになれないから、悲しい夢をみるしかない」
【みちる】「みちるはね…その子の悲しい夢のかけらなんだよ」
穏やかな声で、みちるが言う。
その声は、俺が知っている幼いみちるの声じゃなくて、ずっと大人びた声に聞こえた。
【みちる】「その子は、いつも悲しい夢をみるだけで、ほかにはなにもない」
【みちる】「しあわせになれないから、悲しい夢をみるしかない」
【みちる】「みちるはね…その子の悲しい夢のかけらなんだよ」
SEEN311.TXT
【往人の母】「彼女はいつでもひとりきりで…」
【往人の母】「大人になれずに消えていく」
【往人の母】「そんな悲しい夢を、何度でも繰り返す…」
【往人の母】「大人になれずに消えていく」
【往人の母】「そんな悲しい夢を、何度でも繰り返す…」
みちるが「空にいる少女」の一人であったことを示唆する場面。「悲しい夢」を全文検索にかけると、二つの意味で使われているのがわかる。即ち、「観鈴が見ている夢」と「神奈が繰り返し見る夢」。みちるが言っているのは後者。
みちるの姿はおそらく何世代か前の「空にいる少女」の幼少時のそれなのだろう。他にも、まだ幼い(学校にも行ってないはずの)みちるが突然「勤勉の友」などと言い出すのも…、
【観鈴】「わたし? わたしは、遠野さんのクラスメイト」
【少女】「んに? クラスメイト?」
【観鈴】「うん」
【少女】「そっか。んじゃあ、勤勉の友だねっ」
【観鈴】「き、きん…?」
いきなりの難解な日本語に、戸惑う観鈴。
【少女】「んに? クラスメイト?」
【観鈴】「うん」
【少女】「そっか。んじゃあ、勤勉の友だねっ」
【観鈴】「き、きん…?」
いきなりの難解な日本語に、戸惑う観鈴。
これも同様に「前世」の記憶と思われる。新聞が読めるなどと言うが、みちる自身が読んでいるのか怪しいものだ。
以下、涼元のインタビュー。
──だとすると、みちるの人格というものは、何処から来たものだと考えていますか?
涼元 つまり、羽根の中というのは、一枚で人生をすべて内包してしまうほどの記憶容量を
持っているんですが、壊れているから、他の人の記憶まで混ざってしまい、あるはずのない
記憶というか……願望まで具現化してしまう、と。そして、みちるという存在に投影されて
いる、と。
持っているんですが、壊れているから、他の人の記憶まで混ざってしまい、あるはずのない
記憶というか……願望まで具現化してしまう、と。そして、みちるという存在に投影されて
いる、と。
涼元 あと、「夢」という言い方に、「記憶」と「願い」の両義性を持たせているのがあり
まして……羽根に込められた記憶に、別の願いが上書きされることで、現象が起きる、という
感じで考えていました。
まして……羽根に込められた記憶に、別の願いが上書きされることで、現象が起きる、という
感じで考えていました。
涼元氏によれば、みちるは「空にいる少女」の過去の記憶にみちる(美凪)の願いで上書きをしたような存在だという。だとすればラストシーンの「みちるの姿をした幼いみちる」は「みちる」ではない。あれは美凪の想像だ。
みちるの姿――ピンクの髪をツインテールに結んだ姿――は、観鈴たち「空にいる少女」のそれを借りているだけなのだから。