「Q18」(2006/05/16 (火) 06:30:22) の最新版変更点
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Q.癇癪の発動条件は?
A.【推測】神奈としての思い出に近い状況下。特に、柳也との思い出に似ていると発動しやすい。
お手玉
Q.癇癪の発動条件は?
A.神奈としての思い出に近い状況下。特に、柳也との思い出に似ていたり、誰かとの別れを予感させるものだと発動しやすいようだ。なぜなら、癇癪とは「柳也との死別を嘆き悲しむ悪夢の記憶」を垣間見てしまうことだから。
友達になれそうかどうかというのは、次の例を見てもわかるように実は癇癪の発動条件には全く関係なかった。
SEEN241.TXT
>【晴子】「学校で癇癪起こすなんて、ここのところなかったんやで」
>【晴子】「それもなー、誰かと遊んでたんやなくて、一人でいて泣き出したっていうねん」
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では、癇癪の具体的な描写を見てみる。
7月22日、往人とトランプを遊ぼうとしたところ、観鈴は突然に癇癪を起こして泣き出してしまう。
SEEN220.TXT
>カードを畳の上に並べてゆく。
>いくつか並べたところで、観鈴の手が止まる。
>【往人】「どうした」
>【観鈴】「ううん、なんでもないよ」
>少しだけ顔をしかめて、残りのカードを並べてゆく。
>その手の中から、カードが落ちた。
>【往人】「観鈴…?」
>【観鈴】「にはは…しっぱい」
>【往人】「おまえ、泣いてるじゃないか」
この場面には、癇癪を起こす要因が二つ見受けられる。
まずトランプ。彼女がトランプ遊びを好むのは、神奈のお手玉遊びに由来する。晴子との会話で、観鈴はこう答えている。
SEEN410.TXT
>【女】「観鈴ちんはほんまにトランプ好きやなあ」
>彼女の頭を撫でながら、言った。
>【みすず】「なんかね、手を動かしてると安心できるの」
>【みすず】「誰かがそばにいてくれるような気がする」
観鈴は神奈の転生なので、これはおそらくお手玉のことを指しているのだろう。神奈が必死になってお手玉を練習していた時、そばには必ず柳也と裏葉がいた。
SEEN701.TXT
>【柳也】「何にせよ、よくやったな。神奈」
>頭にぽんと手を置いてやった。
>やわらかな髪の感触が、たしかに伝わってくる。
>【神奈】「………」
>【神奈】「もっと、上手になりたいぞ」
>【柳也】「毎日続ければ、きっと達人になれるさ」
>【神奈】「大げさよの」
>【柳也】「本当だって」
>戸惑った神奈が、やがてぎこちなく微笑んだ。
>【神奈】「…余のお手玉、また見てくれるか?」
>【柳也】「ああ、俺でよければいつでも見てやるよ」
三つのお手玉。二つから練習を始めればと裏葉に勧められても、神奈は頑として聞き入れなかった。
SEEN701.TXT
>【柳也】「ひとつから練習した方がいいんじゃないのか?」
>【裏葉】「何度もそう申しましたのに、聞き入れていただけません」
彼女にとって、お手玉は「三つ」でなければ意味がなかった。というのも、神奈は三つのお手玉に、自分たち三人の絆を重ねて見ていたからだ。そのことは、お手玉の一つ一つに名前を付けていたことからも伺える。
SEEN701.TXT
>三つ目のお手玉を手に、何やらこんこんと説教をしている。
>【神奈】「他のふたつの玉はいい具合に舞うというに、なぜおぬしだけそう不器用なのだ」
>【神奈】「まったくおぬしはぐずでのろまよの。柳也」
>【柳也】「…お手玉にまで俺の名をつけるのはやめろっ!」
三つのお手玉、三つの影。
SEEN701.TXT
>神奈に歩幅をあわせ、三人でならんで歩く。
>三つの影がよりそい、道に長く落ちていた。
母親の前でお手玉を必死になって舞わせようとする神奈は、三つのお手玉によって三人の旅路そのものを母親に伝えようとしていたのだろう。だからこそ神奈にとって、お手玉は上手く舞わなければならなかった。自分がこんなにも頑張って色々なことを体験してきたことで成長したのだということ、そしてそれは、裏葉と柳也と三人一緒だったからこそなのだ、と。
もちろん、母には全て分かっていた。
SEEN702.TXT
>【母】「お続けなさい」
>苦しげな息を整え、本当に、本当に幸せそうにささやく。
>【母】「わらわはずっと見ていますよ…」
>【神奈】「わかった」
>安心したように頷いて、またお手玉に戻る。
お手玉を続ける神奈、見守る母親。
お手玉を続ける限り、母は見ていてくれる。
>【神奈】「母上が、母上が見ておるのだぞ!」
>【神奈】「ずっとずっと、見ておるのだぞ…」
>お手玉をしている間は、母上が見ていてくれる。
>お手玉が上手にできれば、もう一度目を開けてくれる…
観鈴はおぼろげながらも思い出す。手を動かしている間は、母親が見ていてくれるということを。三人の絆そのものだったお手玉のことを。
>【みすず】「なんかね、手を動かしてると安心できるの」
>【みすず】「誰かがそばにいてくれるような気がする」
誰とも友達になれず孤独だった観鈴は、手を動かし続けることで過去の絆を思い起こそうとしていた。
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神奈にとって柳也たちとの、そして母との絆そのものであったお手玉。
その代用品であるトランプを、柳也の子孫である往人と遊ぼうとした。
前世の記憶を思い起こすには十分すぎる条件ではないだろうか。
友達になれそうかどうか、ではなく、観鈴が誰かと親しくなれそうな時に必ず持ち出すはずのトランプを遊ぼうとしたかどうか。
正確には、それが神奈としての悪夢(柳也との別れ)を思い出すきっかけになるかどうか、または、柳也への想いを覚醒させてしまうきっかけになるかどうか。それが癇癪の発動条件だ。
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