「体」(2006/03/01 (水) 08:31:19) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
脊椎動物の神経系において神経作用の支配的な中心をなしている部位をいい,無脊椎動物では頭部背側にある食道上神経節を脳または頭神経節という。脊椎動物では,脳(頭蓋腔のなかにある)は脊髄(脊柱管のなかにある)とともに中枢神経系を形造っているので,脳は中枢神経系の部分であるわけであるが,〈脳〉という言葉は,中枢神経系を代表するものとして〈中枢神経系〉の意味で用いられることもある。
脊椎動物の中枢神経系(脳と脊髄)には,末梢神経系(脳神経と脊髄神経)を通じて外界や自分自身の体に関する情報が送り込まれる。中枢神経系はこれらの情報を処理し,一定の指令を末梢神経系を通じて効果器(筋肉や腺)に送り出して,外部環境に合目的的に適応するとともに,内部環境を恒常的に維持する機構に参加している。このように,中枢神経系は情報を送り込んでくる入力ニューロン(感覚神経節のニューロン)と,指令を直接末梢に送り出す出力ニューロン(運動ニューロンや自律神経の起始ニューロン)との間に介在するニューロンの集合とみることができる。入力ニューロンが出力ニューロンに直接連絡している場合は,反応の速度の点では有利であるが,情報に応じて反応を細かく調節することはできない。入力ニューロンと出力ニューロンの間に介在するニューロンの数が増すほど,入力ニューロンからの情報に対する出力ニューロンの応答をいっそう精妙に調節できるはずである。すなわち,中枢神経系が発達するほど,一定の入力情報に対する生体の反応に選択性が増す。神経系を〈不確定性の貯蔵所〉とみる H. ベルグソンの考え方(《創造的進化》)はこの意味で正しいといえるであろう。
【ヒトの脳】
[脳の発生と区分]
[ニューロンのネットワークの形成]
[神経核――中枢神経系におけるニューロンの集合]
[神経路または伝導路]
[脳の重さ(脳重)について]
[脳の血液循環]
[脳の物質構成とエネルギー代謝]
[脳の活性物質]
[血液脳関門]
[脳の可塑性
[脳の階層構造]
[大脳の機能局在]
[大脳の連合野機能]
[左右脳の機能差]
[脳と心の問題]
【動物の脳】
*
生物の個体を,一定の構造と機能の統合された完結性と独立性をもつ物体としてみるとき,それを〈体〉という。しかし,体には広狭2種の意味合いがある。広義では生物体とほぼ同義であり,狭義ではヒトを中心とする高等動物の身体をさす。広義で,生物体としての体は,単細胞と多細胞,植物と動物とをとわず,すべての生物個体の物質的実体である。しかし,各種生物の生活環の各段階における個体性,つまり個体のあり方に応じて,体の概念はさまざまである。例えば,細菌や原生動物の体(細胞体)はいろいろな細胞小器官を含むただ1個の細胞であり,雌雄の別はない。これらの生物の増殖様式は種によって多様だが,1個の個体の単純な分裂や出芽による場合と,2個の個体の合体や接合と分裂とを交互に起こす場合とがある。こうした単細胞生物では個体性が必ずしも明確でなく,したがって同一種の生物でも体の概念は一定しない。多細胞生物においても,出芽によって増殖したり,群体をつくる動植物では,複数個体が連結しているうえに非生活物質の殻をもつ場合もあるため,体の概念は不明確である。個体性の明らかな,有性生殖をする高等動植物では,成熟体の体の概念は最も常識的なもので明確であるが,個体発生過程をさかのぼるにつれてその概念は不明りょうになる。また生殖細胞そのものは,独立性をもつように見えても独立生活を営むものではないから,その細胞体は普通の体細胞と同じく,1個の生物体または体とはいえない。このように,生物体としての体はほぼ〈個体〉に対応した多分に便宜的な概念で,その内容は多様であるうえ明確には規定しえない場合が少なくない。
狭義の体は身体,肉体ともいい,一般には頭の先から足やしっぽの先まで外皮に包まれた全体をさすが,ときには四肢を除いた体幹のみをいうこともある。その外皮は〈体〉の内部環境を外部環境から画し,内部環境はホメオスタシスによって恒常性を維持されている。
【生物の体制】
【ヒトの体の構造】
[体の外形]。
[骨格と内臓]
[男女差と人種差]。
[体型――クレッチマーの体型分類]
[体の働き]
[食物と体]
[呼吸と循環]
[血液と循環]
[情報受容と体の応答]
[体と日周リズム]
[免疫と体]
[寿命]
【身体の思想史】
*
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: