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空き缶織姫


 6月某日:藩王の執務室 

ある日突然、土場藩国の空き缶王がこんなことを言い出した。
「たなばたやろうぜー!きっとたのしい!それにきれいなきものきて
 みんなにみせてまわれば、おかしがもらえるらしいよ!!」
 そういえばテレビで「もうすぐ七夕」とか願い事とか、そんな話がでていた気がする
「おうさま、お菓子がもらえるのはハロウィンですよ・・」
 むだとは思いつつつっこみをいれてみた。放置しておくと笹の上にかぼちゃを飾り
火のついたロウソクを川に流すのが七夕、とか言いそうだ。
さらにいうと、笹の上に星を置いて「おれはあの星になる!」という羞恥プレイすらやりかねない。
「えー。もらえないのかー。あ。でもたんざくにおかしください!ってかけばよくね?!おれすごい!」
「どんだけお菓子食べたいんですか。アメちゃんあげるから静かにしててください」
「わかったー」
  空き缶に飴を与えようとして、摂政はふと考える。
「(ああ…最近、戦争やらなんやらで娯楽に乏しいし、とりあえず缶に彦星の扮装させて七夕祭りもいいかも?)」
 アメを出す途中で手を止めていると缶がじたばたと暴れだした。
「アメー。アメはー」
「ああ、はいはい。どうぞどうぞ」
 空き缶に飴を与え、静かになった隙に思い立ったが吉日と、定規で手早く缶の採寸を始める。
 缶をくるくるわまして採寸する。バスト…ウエスト…あ、全部同じだ(だって缶だし)。
「なにしてんの?」
 飴をたべおえたのか、きょとんとした顔で缶がつぶやく。
「七夕したいのでしょ?彦星の衣装の採寸ですよ」
 ふんふん言いながら缶の大きさをはかっていく。胴回りとか腰回りとかまったくかわらない、さすが缶。しかし帯とかどこにひっかければいいのかしばし悩む。
「ちょ。おれはおんなー。おりひめ!おりひめ!」
 いっちょ前に手をばたばたさせながら抗議する空き缶。
 摂政は目をしばたたせて、缶に性別があったことを思い出す。
「ああ、そういえば女性でしたねぇ。じゃ、織姫で」
「わーい!これでおかしがもらえる?」
 缶が明らかにわくわくした顔で聞いてくる。どうやら数分前のことも忘れているらしい。
「もらえませんよ」
「ちぇー」

「なーなー、せっしょうがきものつくるの?」
「そうですよー。空き缶用の織姫の衣装なんて売ってませんしねぇ」
「あ。おりひめといえばひこぼしじゃね! おりひめとおそろいの、ひこぼしようのいしょうもよろ!」
「彦星?しかもおそろいですか?誰に着せるんですか?って…弓下アリアンさんしかいませんか…せめて缶でなく人型の時に織姫彦星やればいいのに」

 …ああ、でも弓下さんなら缶でもいいんだろうなぁ…ある意味王様が羨ましい…でも空き缶になる気はないけど…
 そんなことを考えながらありあわせの材料で手早く仮縫いをすませ、缶に着せてみる。


「わぁ。意外と可愛いですね。ついでにお化粧もしましょう」
「えー。めんどく・・」
「終わったらプリンあげますよ」
「わかったー」

 じっとしている事に直ぐに飽きて、動き出そうとする空き缶をお菓子で釣りながら、祭りのスケジュールを組み立てる。
 どう贔屓目に見ても、彦星の衣装は間に合いそうにないので、空き缶を適当に言いくるめておそろいは諦めさせようと思う摂政でした。

12-00258-01:あさぎ:SS補助
12-00265-01:矢上麗華:イラスト・SS