<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?><rdf:RDF 
  xmlns="http://purl.org/rss/1.0/"
  xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#" 
  xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
  xml:lang="ja">
  <channel rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/">
    <title>型月×リリカルなのはクロスまとめwiki</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/</link>
    <description>型月×リリカルなのはクロスまとめwiki</description>

    <dc:language>ja</dc:language>
    <dc:date>2012-04-24T22:47:03+09:00</dc:date>

    <items>
      <rdf:Seq>
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/1.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/471.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/210.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/470.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/469.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/468.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/348.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/84.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/467.html" />
                <rdf:li rdf:resource="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/13.html" />
              </rdf:Seq>
    </items>
	
		
    
  </channel>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/1.html">
    <title>トップページ</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/1.html</link>
    <description>
      **型月×リリカルなのはクロスまとめwiki
ここは2chのアニキャラ総合板で投稿された、TYPE-MOON作品とリリカルなのはのクロスＳＳのまとめwikiです。
wikiへの投下された作品の書き込みは、どんどんして下さい。


カウンター
合計：&amp;counter()
今日：&amp;counter(today)
昨日：&amp;counter(yesterday)


現行スレ
[[型月×リリカルなのはクロススレ41&gt;&gt;http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1335018852/]]




過去スレ
[[型月×リリカルなのはクロススレ40&gt;&gt;http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1297595515/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ39&gt;&gt;http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1290595435/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ38&gt;&gt;http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1280553888/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ37&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1266469457/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ36&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1261178653/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ35&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1256875530/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ34&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1253890131/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ33&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1250812604/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ32&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1247325155/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ31&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244821711/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ29&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244081306/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ28&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1242224298/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ27&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1240319149/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ26&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1239264316/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ25&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1237385095/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ24&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235718148/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ23&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1234874630/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ22&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1234144832/l50]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ21&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1233466049/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ20&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1232420323/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ19&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1231195302/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ18&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1229533857/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ17&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1227237373/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ16&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1224903595/l100]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ15&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1223116378/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ14&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1220389287/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ13&gt;&gt;http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1218126273/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ12&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1216835959/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ11&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1215103849/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ10&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1214222352/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ9&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1213025046/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ8&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1211899287/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ7&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1211115934/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ6&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1210402777/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ5&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1209397546/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ4&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1208521724/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ3&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1207444158/]]
[[型月×リリカルなのはクロススレ２&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206266452/]]
[[型月キャラがリリカルなのは世界にやってきた&gt;&gt;http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202538224/]]

関連スレ


[[型月×リリカルなのはクロスまとめwiki掲示板&gt;http://www2.atchs.jp/tmnanoha/]]
誤字や誤植、意見などがあったらこちらにお願いします
また、外部SSの話題や、避難所としてもどうぞ


//    </description>
    <dc:date>2012-04-24T22:47:03+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/471.html">
    <title>第二五話『騎士』</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/471.html</link>
    <description>
      ＃１ 

クロノ達が報告を受けるより時間は少しばかり遡る 

気が付くと雨はやんでいた 

「づっ……」 

ガレキの中から痛む体を引きずり出すと、 
ギンガ・ナカジマは力なく座り込んで大きく息を吐いた 

キャスターとの交戦中に乱入してきた黒い影―――セイバーの一撃を前に、 
誰もがなすすべなく吹き飛んだ 

「見世物になる程度には出来がいいようだな」 

背筋を凍らせる声にギンガはきしむ体を起こした 
何故気づかなかったのか、その男はギンガのすぐ目の前に立ち彼女を見下ろしていた 
値踏みするというよりも、ふと見下ろした地面に綺麗な石が落ちていた、 
といった趣で、男は無造作にギンガを掴むと強引に引きずり上げ、 
これまた無造作に手を離した 

「態々我が手を貸してやったのだ、 
産まれたばかりの子鹿程度には自分を支えて見せよ」 

手荒いが、恐らくほんの気まぐれなのだろう 
でなければとっくに死体になっていてもおかしくない 
折れそうになる膝を必死に支え、ギンガは改めて男に向き直った 

「貴方―――何？」 

「下らん問いを繰り返すのが役割か木偶人形 
そもそも誰に断って口を開くか？」 

グイと顎を掴んでギンガを黙らせると男は海の方へと視線を投げた 
視線の先、水平線の彼方に僅か黄色い光が見える 

あの方角は―――海上隔離施設？ 

遠すぎて判然としないが恐らく広範囲に展開されたエアライナーの光だろう 
とギンガは当たりをつけた 

「あれは貴様の同類か？ 
よくもってはいるが所詮は雑兵、群れを成したところでセイバーにはかなわん」 

薄汚れた雑念に成り下がっているとは言え力だけは有り余っているからな、と 
状況が見えているのか、ふんぞり返って男は遠方の出来事に評を下した 

「雑念―――？」 

ギンガの疑問は男には聞こえなかったらしい、 
彼方を望むその表情ははたして――― 





＃２ 

上空に縦横に張り巡らされた黄色い光の帯から旋風が落下する 

「リボルバァァァ！！」 

振り上げた脚にエネルギーが渦を巻く 

「スパァイクッ！！ 

振り下ろされる鉄槌に対し、黒騎士はすくい上げるように剣を振り上げた 
激突する脚と剣、一拍の間を置いて発生した衝撃波に二人は大きく跳ね飛ばされた 

「ノーヴェ！」 

光の帯―――エアライナーの上に転がるように乗り上げたノーヴェにチンクが駆け寄る 
当の本人は転がった姿勢のまま無い膝を押さえて舌打ちした 

まずいな――― 

この負傷では近接格闘戦タイプであるノーヴェを戦力としてカウントすることは出来ない 
かと言って彼女を戦場から離脱させるということは自分達が足場を失うということである 

「キャロ、ノーヴェをフリードに」 

「はい！」 

安全圏とは言いがたいが自力で動けない以上これが善後策といったところだ 
白銀の飛竜の背にノーヴェを預けるとチンクは黒騎士に向き直った 

「さて、どうするか？」 

ノーヴェが抜けるとなると前衛はエリオとウェンディの二人だが、 
射撃型と格闘型とはいえ前衛がウイングバック二人だけでは心もとない 
集団戦におけるウイングバックの役割は前線に踏みとどまって戦うよりも 
機動性による撹乱と後衛、中堅の護衛といった遊撃なのである 

「相手は見るからにフロントアタッカーなんだが、な！」 

ゴウと力の猛る音に別のエアライナーへと飛び移る 
振り返ったチンクが見たのは先ほどまで自分の立っていた足場(エアライナー)を 
叩き割る剛剣の一撃だった 

そのまま落下する相手に向けスティンガーを数発発射する 
ISランブルデトネイターにより小型ながら驚異的な威力の爆弾と化した短剣はしかし、 
着地する為に姿勢を正そうと黒騎士が放った魔力に巻き込まれ 
唯の一つも掠めることなく盛大な花火と化した 

「奇襲ならばいざ知らず、 
最初から弾けると分かっているのなら対処のしようなどいくらでもある」 

他に芸は無いのかと言いたげであるが 
地上であればいざ知らず、このような海上では手ごろな金属など無い以上、 
チンクに出来ることは頭を使うことぐらいだった 

「やっかいだな」 

機動力で言えばエリオやノーヴェのほうが上ではないかと思うのだが、 
その他の要素、防御力と攻撃力、そして攻撃範囲が段違いなのである 
本人は基本的に剣の間合いで戦うのを身上としているらしく 
積極的に広範囲攻撃を行うことは無いが、下手な長射程砲撃などを撃てば 
力づくで周辺一帯薙ぎ払って反撃してくる始末である 

「ディエチの二の舞は避けねばならんが 
かと言ってノーヴェがコレでは……」 

戦闘開始早々 
フルパワーで撃ったヘヴィバレルごと薙ぎ払われディエチは戦線を離脱していた 
かろうじて拾えた通信によればイノーメスカノンこそ大破したが、 
本人は一応生きているらしい 

とはいえ、その状況で高所に展開したエアライナーごと叩き落され 
波に呑まれたとあっては楽観できるはずも無く、 
救助に回れないのがもどかしいが、そんな余裕はない 

「ウェンディ、弾幕を！」 

「ウィッス！」 

フライングボードを構えたウェンディが矢継ぎ早にエリアルショットを発射する 
とにかく動きを止めなければ、策を練るも何もあったものではない 

「小賢しい！」 

魔力任せの跳躍で弾幕から抜け出す 
いくらかは当たっていたはずだが、鎧には傷一つない 
どうやら防御フィールドを抜けなかったらしい 

黒騎士の鎧の構造は一般的なバリアジャケットのそれと大筋では変わらない、 
とは黒騎士と元を同じくするアルトリアの弁であるが 
ここまで堅牢だともはや“聖王の鎧”レベルである 

「チンクさん！」 

こちらに向かってこようとする黒騎士に対し、スピーアアングリフでエリオが割って入る 
前衛としては正しいが、果たして通じるか？ 

「なるほど、騎士の気構えはあると言うわけか―――」 

張り巡らされたエアライナーの一本で向かい合いながら、 
エリオに何か感じるものがあったらしく口の端を吊り上げる黒騎士 

見た目だけで言うなら体格的にはほぼ同等、 
武器の差でリーチはエリオがやや有利の状況である 

「エリオ、無茶すんなよ！」 

フリードの背中に居るノーヴェから声がかかる 
割って入った結果、ウェンディやチンクの射線を塞いでしまう形になっているのを 
危惧してのものだろう 

エリオとて身の程は承知している、正直に言ってシグナムを真正面から打ち破る相手に 
単騎で特攻するほど間抜けではない 

それでも数度に渡り立ち回り、 
今この場にいる中でもはや唯一であるクロスレンジ担当としての役割を全うする 

「良い槍捌きだ、だが―――まだ甘い！」 

鍔迫り合いの最中不意に黒騎士の足が跳ね上がり 
受け止めたストラーダの柄ごとへし折らんとするかのように跳ね上げた足が突き出される 
飛びのいて衝撃を逃がしながら、エリオは相手の反則じみた魔力に改めて歯噛みした 

武装型のはずなのにあんないいかげんな蹴りの威力がスバルさん以上なんて…… 

蹴りの一撃でひしゃげたストラーダの柄に目を落として歯噛みする 
はたして、仮に相手が無手であったとして、自分は勝てるだろうか？ 
土台無理な話な気がしてきた 
今のこの場にいる全員が総がかりでも恐らく一撃入れるのも厳しいのではないか？ 

「万策尽きた訳でもあるまい、 
騎士ならば己が剣にかけてあがいてみせよ」 

剣を向けてのその言葉にエリオは知らぬ間に口の端を吊り上げていた 
どうしようもない状況下、乗れば負ける勝負でありながら、 
その一言はエリオにとって乗らずにおれないものであった 

これほどの暴君に成り果ててなお、その心の奥底においてこの人はまだ騎士なのだ 
ならば、ここで退くような騎士道は少年には存在しない 

聖王医療院でエリオは幾度かランサーと話す機会を得た 
なのはやフェイト達とは違う、恐らくはシグナム達とも違うであろうその生き方、 
考え方に思うところがあったというのもある 
年頃の少年らしく英雄譚に憧れたというのもある 

だが少年の関心を最も引いたのは男の生き様だった 

決して約束を違えず、最後まで友の名誉の為に生きた英雄 
その生涯は華々しい栄誉と、そしてそれ以上の悲劇に彩られていた 

あるとき少年は問うた 
なぜ“そうなる運命”を明示された日に一人前と認められようとしたのかと 

男の答えはシンプルだった 

「たいしたこたぁねえよ、単に今日がそうなのかって思っただけさ」 

その先にある栄光も破滅も理由にならない 

“今日この日に武者立ちの儀を受けたものには最高の栄誉と破滅が与えられる” 

そんな重大な話をたったそれだけの理由で決められるものだろうか 

「ま、深く考えんなって、 
―――女を泣かせるような男にロクなのは居ねえからな」 

笑い話でもする様に男は話を締めくくった 
その背中に少年が何を感じたのかは、今はまだ少年自身も知る由もない 

だけどきっと、これは騎士として間違ってない 

「キャロ！！」 

「エリオ君！！」 

柄を修復し突撃姿勢に構えながら叫ぶ 
退けないと示す少年に対し、上空で事の成り行きを見守っていた少女は 
引きつった声を上げるしかなかった 

「やらせてやれ」 

静かに、キャロの背中を押す声が上がった 
事実上戦線を離脱し、フリードの背で傍観者と化していたノーヴェである 

「でも……」 

振り返り同乗者を見る少女の顔は歪んでいる 
理由は分かる、ノーヴェにとっても少年は友人であり、 
ある種の“生まれ”という意味では身内ですらある 

それでも――― 

「やらせてやれ、でないと死ぬぞ？」 

一人で突っかかる方が危険なのだ、 
だからこそのお前の力ではないのかと、ノーヴェは言うのだ 
それは残酷な現実だった 

「我が乞うは、清銀の剣　若き槍騎士の刃に祝福の光を」 

迷った末に閉じられた瞳が大きく見開かれ、右手の宝珠に光が灯る 

「猛きその身に、力を与える祈りの光を」 

左の宝珠にも同様に光が灯る、両の手のブーストデバイス・ケリュケイオンに掲げるのは、 
必勝の宣託か、それとも死に逝く者への手向けか 

“Stahlmesser” 

身構えた穂先に桃色の刃が宿る、 
引き絞るように腰を落として身構えるエリオにセイバーは口の端を吊り上げた 

「馬抜きのジョストか、よかろう受けてたつ！」 

刺突の構えで向かい合い全身に魔力をほとばしらせる 
時が止まったかのような静寂に誰もが息を呑む 

「一閃……必中」 

膝が沈む 

「メッサぁぁぁ・アングリフ！」 

咆哮するストラーダの噴射口、乾坤一擲の気魄を持ってエリオは地を蹴った     </description>
    <dc:date>2012-03-18T11:25:22+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/210.html">
    <title>KO-ｊ氏</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/210.html</link>
    <description>
      エピソード『カレイドスコープ』◆

-[[第一話『戦場』]]
-[[第二話『現状』]]
-[[第三話『妖魔』]]
-[[第四話『雷光』]]
-[[第五話『天の杯・１』]]
-[[第六話『混迷』]]
-[[第七話『真竜』]]
-[[第八話『幽騎』]]
-[[第九話『湖光』]]
-[[第十話『魔女』]]
-[[第十一話『薔薇』]]
-[[第十二話『皇女』]]
-[[第十三話『天の杯・２』]]
-[[第十四話『幕間』]]
-[[第十五話『猛犬』]]
-[[第十六話『神殿』]]
-[[第十七話『怪物』]]
-[[第十八話『魔槍』]]
-[[第一九話『群体』]]
-[[第二十話『並行』]]
-[[第二一話『差異』]]
-[[第二二話『月下』]]
-[[第二三話『極光・黒』]]
-[[第二四話『隼燕月火』]]
-[[第二五話『騎士』]]

『カレイドスコープ』外伝
-[[ＥＸ『There is it must be. 』０１]]
-[[ＥＸ『There is it must be. 』０２]]
-[[ＥＸ『There is it must be. 』０３]]
-[[ＥＸ『There is it must be. 』０４]]
-[[ＥＸ『There is it must be. 』０５]]    </description>
    <dc:date>2012-03-12T04:43:20+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/470.html">
    <title>第二四話『隼燕月火』</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/470.html</link>
    <description>
      ＃１ 

「はあぁぁぁぁぁぁ！！」 

剛と柔、二つの剣が交錯する 
打ち合わせること数合、シグナムは柳に風と自分の剣を受け流す相手の技量に驚嘆した 

フェイトの扱うバルディッシュ・ザンバーフォーム程ではないにしても、 
相手の剣は分類するなら野太刀などと呼ばれる長尺刀の類である 
にもかかわらず相手は自分と同等か、それ以上の速度をもって 
自分の剣を受け流し、そらしてみせるのである 

それでもシュランゲフォルムを使えば楽に勝てるだろうが―――と思いつつ、 
シグナムはあえてシュベルトフォルムでの勝負に拘る事にした 

決して、出し惜しみではない 

―――そのような余技にかまけては死ぬ 

首元を掠める剣風に、冷や汗を流しながらそう思う 

手足狙いの一つもあれば身を盾にして踏み込むものを、 
一撃必殺、変幻自在な太刀筋はその全てが断頭の鎌であった 

「このまま切り結んでは千日手であろうな――― 
手の内の一つも見せてはどうだ？」 

ひとしきり切り結んだ後、涼やかな顔に笑みを浮かべそうのたまう男 
その目はシグナムの一挙一動を見逃さず、彼女が手札を選んでいたことを見抜いていた 

「出し惜しみをしたつもりは無いのだがな、 
そちらの剣舞に押されて出す暇が無かった」 

偽り無く本音を述べる 
互いに無傷なのは刃を合わせるばかりで切りつけあうまでに至らなかったからである 

「その言葉、素直に賛辞と受け取っておこう 
では仕切りなおしの手始めに―――まずはこちらから一芸披露するとしよう」 

だらりと下げられていた刃が肩の高さまであげられる、 
それはこの男が始めてみせる構えらしい“構え”であった 

男の名―――上げた名乗りが正しいならば繰り出されるのは一つだろう 

佐々木小次郎の名前ぐらい剣豪小説のひとつでも紐解けばすぐに出てくる 
問題は、その技が名こそ知られてはいても詳細は知られていないと言うことだ 

「秘剣―――燕返し」 

頭上から股下までを断つ縦軸の一の太刀 
一の太刀を回避する対象の逃げ道を塞ぐ円の軌跡の二の太刀 
左右への離脱を阻む払いの三の太刀 

「く―――っ！？」 

三連撃などというレベルではない 
同時に振りぬかれていた三つの刃がシグナムの首を薙いでいた 

「ぬっ！？」 

驚愕は同時、ついでからんと乾いた音が石畳に響いた 


「面妖な―――躯まで鋼であったか」 

「まさか」 

首筋に手を当てながらシグナムはその言葉を否定した 

―――まさか騎士甲冑の防御フィールドを抜けないとはな 

どうやら何の細工も施されていない日本刀だったらしい 
これならば恐れる必要は無かったか―――そう思うシグナムの前で、 
男は懐から何かを取り出した 

「本来ならば勝負ありというところであろうが――― 
これで幕切れでは興ざめも甚だしい、性に合わぬが得物を換えるとしよう」 

キンっと音を立てて手にした飾りが長刀へと変化する、 
見覚えの有るその変化は紛れも無く――― 

「アームドデバイス……」 

衣装が変わらないのはバリアジャケット等の機能を持ち合わせていないか、 
魔力資質が無いといったところだろう 
どちらにせよ、持ち替えた以上先の刀のようなことはあるまい 

今度喰らえば、間違いなくこちらの首が落ちる 

「それでは、改めて仕切りなおしといこうか」 

手ごたえを確かめるように剣を構えなおして言う男に、 
我知らず首筋を確かめながらシグナムはそれでも口元に笑みを浮かべていた 




＃２ 

同時刻遠坂邸前 

「スバル、そっちはどう？」 

『観測開始から結構経つけど何にも無いよ』 

そうか、と頷いて通信を切る、遠坂邸の玄関はきれいに施錠されており、 
門扉には魔力を用いた―――魔術的な鍵が掛けられていた 

こちらも異常無し、である 
今のところはという前置きつきかもしれないが 

一先ず街を一回りしておくか、と坂道を下っていたティアナは、 
道なりに並ぶ洋館の一つに見覚えのある大男を発見した 

「何してんのよアンタ？」 

「なに、知人の屋敷の近くまで来たものでな、 
挨拶をと思ったがなにぶん夜分が過ぎたようだ」 

ひっそりとした明かりの消えた家である 
それを見て、あぁそう言えばと彼女はあることを思い出した 

「ロードエルメロイの旧知の人だったのよね、 
奥さんが亡くなられて、今は息子夫婦の所にいるそうよ」 

暫くすれば戻ってくるみたいだけど、というティアナの言葉に 
そうか、と男は真顔で静かに黙祷した 

「そういえば公園はどうだったの？」 

「随分と怨念が蟠っておったが、残留思念の類だなありゃ 
余が召喚された時の聖杯戦争の跡だろうが、此度のことには関係なかろう」 

“見える”人だったのかと思うが、 
そもそもサーヴァントというのはそちら側なのだそうだ 

「程度の差こそあれ世に未練を残していると言う意味では違いは無いからな」 

故に聖杯の召喚に応じたのだ 
不意に真顔でまじめなことを言うライダーに考えさせられる 

「未練……か……」 

未練を残さず死ねるものは幸いだ 
彼らは自らに満足している、故に後悔も無い 

未練か後悔か―――三ヶ月前ミッドで起こった事件に対し、 
事が大きくなるまで自分が連れていた副官の闇に気づけなかったことは、 
いまだ真新しい苦い記憶だ 

『ティア～』 

思わず物思いにふけっていた彼女を現実に引き戻したのはスバルからの通信だった 
なんでもシグナムと通信が繋がらないのだと言う 

「柳洞寺の人たちに遭遇した、って可能性もあるけど 
―――わかった、取り合えず行って様子を確認してくるわ」 

『了解、こっちは―――』 

モニターの中でスバルが横に視線を移す、 
何か気配を感じたのだろうか？ 

『子供―――こんな時間に？』 

驚きに声を上げたスバルが気を取り直すより早く、 
画面の中でその瞳がさらに見開かれた 

『消えた―――？』 

目を瞬かせて状況を確認するスバル 
マッハキャリバーはスバルの言う少女をセンサーでは確認していないという 

「もしかして、幽霊？」 

「否定はせんな、 
そこも霊地には違いない」 

ライダーが口を挟む、 
だが、スバルは普通の人間よりも夜目が利く 
それゆえに引っかかる 

「スバル、やっぱり柳洞寺で一度合流」 

『うん』 

シグナムも交えて一度状況を確認すべきだろう 
通信を閉じて踵を返そうとしたところで新たな通信が入ってきた 

発信者はレヴァンテイン―――シグナムからの救援要請だった 



＃３ 

剣舞は続く 

見たところ相手の得物はデバイスというよりも、 
対魔導師用近接兵装として最近研究されているものの一種のようだ 
JS事件以降AMF等の反魔法技術の研究が改めて注目されるようになってきており、 
管理局側も戦技教導隊を中心にその対策に追われている 
無論、数年がかりの計画ではあるのだが 
相手の得物もそうした実験で作られた試作品の一つなのだろう 

「ふむ……」 

一息つきながら相手が握りを確かめる 
同じ得物でも整備後の調整には違和感が入るものだ 
まして得物自体を持ち替えたのならそう簡単に握りが合うわけが無い 

―――付け入る隙があるとすればそこか…… 

浅く首を薙いだ一撃に肝を冷やしながら距離をとり、 
八双に構えるとシグナムは己が愛剣に呼びかけた 

「レヴァンテイン！」 

呼びかけに答えレヴァンテインから勢い良くカートリッジが排出される 
そのままこちらが膝を撓めるのを見て取って、相手も剣を静かに振り上げた 

この一合が勝負 
互いに構えで持って示し合わせ、 
一切の迷いなくそれを形になした 

「秘剣―――燕返し」 

「紫電……一閃」 


紅蓮と月光が交錯し、ややあって、小さな音が鳴った 

「見事、よもや刀ごと叩き斬るとは…… 
剛の一刀　見せてもらった」 

「握りの合わぬ剣は太刀筋を曇らせる…… 
最初の剣に私の甲冑を斬るだけの力があれば結果は違っていた」 

真に匠の業となれば髪の毛の先ほども無い僅かなずれですら大きな違いとなる 
振りなれぬ太刀でもって振るわれた業がその筋をほんの僅か狂わせた 
それが勝敗を分けたのだった 

「なに、詮無きことよ 
―――燕を追って生まれた剣では隼は斬れなかった、 
ただそれだけであろう？」 

涼やかな笑みには些かのかげりも無い 
刃を振りぬいた姿勢のまま、男は音も無く塵となって虚空に消えていった 

「……」 

残心の姿勢のまま、振り返りもせずに男を見送ったその身が崩れ落ちる 
彼女の首に走る二つの筋からは、絶え間なく血が流れ落ちていた 



＃４ 

時空管理局本局・無限書庫、有重力区画 

「状況はあまり芳しくないみたいだな」 

報告書を見ながらのクロノの発言に、ユーノは資料を探す手を止めて彼を振り返った 

「遠まわしに僕をせっついてるように聞こえるのは気のせいかな？」 

「まさか、 
それで効率が上がるほどのんびりしてはいないだろう？」 

実際その通りだ、誰がどう言おうと無限書庫の効率はこれ以上上がらない 
それはクロノだって弁えている 

「状況次第だが、僕が地上に降りることも考えた方がいいかもしれない」 

「クロノが？」 

腕は鈍ってないつもりだというが、 
本局提督ともあろうものがそうそう最前線に出ていいのだろうか？ 

「彼女達と気心が知れていて、 
曲がりなりにも連携がとれる魔導師が他にいるなら任せるさ」 

確かに六課の魔導師と気心が知れていて連携がとれるとなるとそう多くは無い 
実力も考えればあとは教導隊に何人かいればいいほうだろう 

「僕もといいたいところだけど、無理そうだ 
とてもじゃないけど付いていけそうに無い」 

防御魔法だけなら何とかなるだろうが、 
動けない盾では役に立つまい 


その折、ばさりと書類の落ちる音が鳴った 
振り返ると、長い金髪を三つ編みにした司書が書類を取り落としたまま、 
青い顔で通信を受け取っていた 

「アリシア、どうした」 

彼女は魔力資質こそ無いが優秀だ、 
こんな醜態をさらすなどよほどの事だろう 

「クロノ……」 

声をかけると血の気の失せた顔ですがり付いてきた 
空間モニターに映る情報はどうやら六課から自分達に当てられたもののようだ 
よほどのことが有ったらしいな、と思いつつ通信をつなぎなおす 

『遅い、何しとったんやクロノ君！』 

モニターに浮かんだシャーリーが口を開く前に、 
割り込んできたはやてが血相を変えて怒鳴りつけてきた 

「すまない、無限書庫の中でもこの辺りは最近通信が繋がりにくくてな 
それではやて、―――何かあったのか？」 

反省はともかく言い訳をするつもりは無い 
それよりも彼女達の上司として把握すべきことは現状である 
アリシアの反応を見るにどう考えても吉報はありえまい 
本局の設備の調整は必要だとは思うが補助ラインは引いてほしいと思う 


「とりあえず良い情報からな 
―――キャスターの消滅が確認された、場所はミッドチルダ海上隔離施設付近、 
コレに伴う被害で施設の三分の一が吹き飛んだらしいけどな」 

人的被害は無いけど、というはやての言葉に一先ず安堵する 
個々の攻撃力を別にすれば最も危険な存在であるキャスターが倒れたのは大きい 

「それで、悪い話は？」 

『キャスターの工房を調査しとった１０８部隊が工房に戻ってきたキャスターと接触、 
交戦中に横槍を受けて工房ごと薙ぎ払われた 
犯人は逃亡するキャスターを海上隔離施設付近の海上にて殲滅、 
駆けつけたN2Rとライトニング隊を撃破した後、何処とも無く姿を消したそうや』 

負傷の度合は様々だが特にフェイトとエリオが酷いという報告に、 
アリシアが青ざめた顔でクロノの服の裾を掴む 

彼らのもとにシグナムの撃墜が報告されたのはそれから暫く後のことだった     </description>
    <dc:date>2011-10-20T02:57:07+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/469.html">
    <title>第二三話『極光・黒』</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/469.html</link>
    <description>
      ＃１ 

「それで、ディードはセンターへっスか」 

「あぁ、腕の調整を含めて当分は入院になるとかで、 
マリーさんは当分そっちに行くってさ」 

外は大変っスねと言いながらソファーにごろりと転がるウェンディ 
一人がけのシートに座ってノーヴェはいつもよりほんの少しだけ険しさの増した顔で 
窓の外に目を移した 

「天気―――悪いな」 

曇天の空、窓から見える景色はどこまでも荒れ模様の海ばかり 
陸地が見えないのは海上隔離施設なのだから仕方がないが、 
それだけに空模様だけで気が滅入る 

「ノーヴェ、ウェンディ」 

「チンク姉」 

「ディエチも、どうしたんスか？」 

難しい顔で部屋に入ってきた二人に向き直り、 
引っ張ってきたらしいカートもといコンテナに二人で首を傾げる 

「固有武装じゃないスか、 
施設に持ってきてよかったんスか？」 

「マリーさんが特別に許可を取ってくれたんだ」 

「ティアナが追っていた事件の犯人が最近海岸線に現れることが多いらしくてな、 
我々の武装隊指揮下での出動もありえるそうだ」 

出動自体は望むところだが、武装隊指揮下というのは穏やかならざる話だ 
自分達N2Rの出動は基本的によほどの緊急時、それも災害出動に限られるのだが 

「マジっスか？」 

「八神二佐からの要請があったそうだからな、 
実際、機動六課のメンバーが全員召集されている」 

複数の魔法生命によるかなり大掛かりな事件のようだ、 
と言いながらチンクがコンテナの梱包を解いていく 
各々自分の装備を取りだそうとしてノーヴェは一人首をかしげた 
自分の固有武装の代わりにクリスタルの付いたペンダントが置かれていたからである 

「何だこれ？」 

どこと無く見覚えがあるが――― 

「あぁ、忘れていた、 
ノーヴェ、ジェットエッジはもともとスバルとギンガのデバイスのコピーだっただろう？」 

ベースとなる遺伝子データが同じと言うこともあり、 
ノーヴェの固有武装はスバル達のデバイスを基に開発されている 
もっとも開発当時、ノーヴェ達はジェイル・スカリエッティ配下のテロリストであり、 
穏便に言って盗作であるのだが 

「それで先日、マリーさんが待機モードを実装することにしたのだ」 

現在は取り合えずストレージ程度のAIを搭載しているが、 
行く行くはインテリジェントタイプのAIを搭載するつもりであるらしい 
その為には外装はともかく内部は大分弄らないといけないとのことである 
起動させると“start up”と言う電子音声と共に馴染みの武装が装着される 
装着型ゆえの手間が省けるのは有難い 

「やっぱ待機状態があると便利っスね」 

いーなーと指をくわえるウェンディ 
彼女とディエチの装備は閉所では使い辛い大物なので尚更である 

『緊急連絡、N2R聞こえますか？』 

「早速呼び出しか―――こちらN2R」 

施設のスタッフからのコールにチンクが答える 
心なしか焦っているような気がするのは気のせいか 

『現在施設が攻撃を受けている、 
襲撃者はランスター執務官が追っていた事件の犯人のようだ』 

スタッフの説明と共に空間モニターが展開し、 
外部映像に蠢く触手のようなものを引き連れた異形の怪人が映し出された 

「うわっ、怪人ッス、モンスターっスよ！」 

「ウェンディうるさい、 
―――あれ、でもこいつ手負いみたいだよ？」 

モニターに映る男の姿は明らかに満身創痍である 
うつろな目と大仰な身振りは何処か舞台役者的な雰囲気と狂気を感じさせる 

「私とノーヴェで迎撃、ウェンディとディエチは職員達の退避を」 

「了解！」 

取り回しの悪い大型武器をつかう上に遠距離砲撃が専門であるディエチに 
施設内の防衛戦は無理だ、 
本音を言えばエアライナーを持つノーヴェに退避を任せたいところだが 
彼女は閉所での戦闘では主力である、外す訳には行かない 

「まずはあの男を施設の外に放り出すぞ、お前は化け物にはかまうな」 

なんでも無限に沸いて出て来るそうだ、と廊下を走りながらノーヴェに指示を出す 
それはそれで無視できないがこの人数ではそもそも対処など出来ない 
ならば元凶を叩く以外に選択肢は無いだろう 
後の問題は、自分のISでどこまで施設の被害を抑えて相手できるかだ 
爆破専門の自分の能力に苦笑しつつ、チンクはコートの下からスティンガーを取り出した 


＃２ 

慟哭と悲観とが彼の心を支配していた 
自らの工房を土足で踏み荒らす不埒者との小競り合いの最中、「それ」は現れた 

「騒がしいので覗きこんでみればこういうことか」 

堕ちた聖女、黒い騎士 
暴君の一撃は工房となっていた地下水路を、其処にあった一切のモノごと薙ぎ払った 

何故に聖処女があの様な姿になってしまったのか？ 
其処に居たのは穢れ無き心で祈りを捧げる聖女などではなく、 
咆哮一つで全てを薙ぎ払う漆黒の暴竜の化身であった 
何者が聖処女をあのように汚してしまったのか？ 
まったく持って嘆かわしい 
その身を汚し肉の一片、血の一滴、魂さえも汚してよいのは自分だけだと言うのに 

「神か！ 
またしても神などと騙るモノの仕業か！」 

妖魔の群れを引き連れ荒れた海へと踏み入りながら、 
彼は天に向かって呪詛を吐いていた 

「よろしい、これが我が行いに対する報いと言うのであれば、 
私もまたそれ相応の誠意を見せねばなるまい」 

吐くだけ吐いてから彼はたどり着いた陸地に押し入ると、 
大仰な身振りを交えて天を仰いだ 

「今また再び我らは救世の旗を掲げよう！ 
見捨てられた者は集うがいい、　貶められたる者も集うがいい」 

無尽蔵に沸いて出る怪魔の群れが一つの方向性を持って蠢き出す 
施設の中へと動き始めていたモノ達も音を立ててそれに倣う 

「私が率いる！　私が統べる！　 
われら虐げられたる者たちの怨嗟は、必ずや『神』にも届く！ 
おぉ天上の主よ！　我は糾弾をもって御身を讃えようッ！」 

深い霧が周辺を覆い、荒れた海にその流れとは別の怪異を生み出す 

「傲岸なる『神』を！　冷酷なる『神』を！　我らは御座より引きずり下ろす！ 
神の愛した子羊どもを！　神野に姿たる人間どもを！ 
今こそ存分に貶め、陵辱し、引き裂いてやろう！ 
神の子たちの嘆きと悲鳴に、我ら逆徒の哄笑を乗せて、天界の門を叩いてやろう！」 

呪を唱える最中、目の端に人影を捉えた気がしたが彼は意に介さなかった 
おぞましき肉の群れが溢れ、彼を飲み込み肉塊となり、 
なお溢れかえって山となり、施設より溢れて島となる 
深海の奥深く、螺旋の城で眠る古きものの眷族が目を覚ます 
大いなるモノがその身を震わせ、今まさに動き出そうとしたその瞬間――― 

『黒』が全てを多い尽くした 

「……は？」 

大海を両断し、瞬時に沸騰、蒸発させていく黒い光 
恐怖でも憎悪でも畏怖でもない、ただ純粋で圧倒的な暴力の中――― 

「……おぉ、ォ……」 

彼は見た、押し寄せる極光の果てに、 
かつて己もまた追いかけた輝きを、いつかはと求めた栄光の姿を 

なぜ忘れていたのか 
嗜虐と涜神を尽くした第二の生を終わらせたこの大いなる光を 

「私は、一体……」 

誰に向けるでもない呟きが口からこぼれるより先に、 
黒い光は全てを事象の彼方に消滅させていった 



＃３ 

同時刻ミッドチルダ海上 
嵐の空を翔る白い影があった 

「この調子なら、あと五分くらいでつくかな、キャロ」 

「うん」 

隔離施設からの救援要請に真っ先に反応したのは 
一番近い支所に来ていたエリオとキャロであった 

乗り込んできた相手の素性から言えば速やかに脱出すべきなのだが、 
天候が悪く脱出艇をかねた連絡船では途中で転覆しかねない 

隔離施設の規模は決して小さくないが、 
相手はほぼ無制限の物量を誇るロストロギアの使い手である 
安全な場所は無いだろうし、施設の規模ゆえにチンクたちでは手が回りきらないだろう 

「あの霧、なんだろう？」 

向かう先が霧に覆われているのに気づきエリオ達は二の足を踏んだ 
単純に悪天候によって発生したものでは無さそうである 

「キュウゥ！」 

「フリード、どうしたの？」 

霧の向こうを睨みつける様にしてフリードが低く唸り声を上げる 
動物ゆえの感覚で霧の向こうに何か危険を感じているのかもしれない 

見えないほど濃い霧の向こうを見据えようとエリオが目を細めた後ろで 
キャロがビクリと肩を震わせた 

「キャロ……ひょっとして、何か大きなモノを召喚しようとしてる？」 

「うん、……多分ヴォルテール級の希少種」 

「そんなものまで？」 

単純に真竜規模の召喚と言うだけでも相当だが、 
あの魔導師が召喚するのだとしたらマトモな物である筈が無い 

そもそも真竜のような希少種は並大抵の召喚魔導師には呼び出せない 
通常術者と召喚獣の関係が前者を主、後者を従とするのに対し、 
希少種はその存在故に関係が逆転してしまうからである 

「そうだ、アルトリアさんなら何か知ってるかも」 

通信を聖王教会につなぐ、 
呼び出しに答え通信に出たアルトリアはエリオの説明に眉を寄せた 

『真竜というものの霊格がどれほどかは分かりませんが、 
あの男にその様なモノを“呼び出す資格”は無いでしょう 
ですが―――』 

「あの男の持つロストロギア―――『螺旋城教本』でしたっけ、 
なら可能だということですか」 

エリオの相槌に呼び出すと言う行為だけであればと頷くアルトリア 
つまりどう言う事かといえば 

「―――呼び出された召喚獣の制御が出来ない、ってことですか？」 

青ざめた顔でキャロが声を上げる 
召喚技術と被召喚者の制御というのはどちらも召喚術者にとって必須の技術である 
召喚自体は転移系の一種であり、呼び出された側が召喚者に従うかは 
魔力制御だけでなく互いの意思疎通なども必要とされる 
ただ闇雲に強力な存在を呼び出した挙句、手綱を取ることを放棄するなど 
召喚師の常識としてそんなことは“してはならない” 

『もとよりそのような常識的な思考など持ち合わせていないのは明白です 
―――呼び出されたものが私が以前見たのと同じものであるなら、 
対城宝具か、それと同等の神秘でなければ倒せません』 

再生速度が異常すぎてそれ以下の攻撃では追いつかないのである 
加えて下手に触手の射程距離に近づけばその時点で捕食される可能性も考えられる 

「そんな規模の攻撃なんて―――」 

『少なくても、其処からでは施設に被害を出さずに、 
と言うわけにはいかないでしょうね』 

攻撃と言うものは通常、威力に比例して効果の及ぶ範囲も広くなる 
霧の向こうに朧気に見える影は既に数十メートルに達しており、 
当然それを一撃で倒すとなればその向こうにある隔離施設もただでは済まない 

「分かりました、まず何とか施設から引き離します」 

後のことはあれを片付けてからだ、通信を終了し霧の向こうへと視線を戻したところで、 
デバイスのセンサーが何かに反応した 

「え、エリオ君、あそこ……」 

「え？　……えぇ！？」 

デバイスの示す先を見て二人は目を見張った 
荒れた海を“歩く”人影を見つけたからである 

バリアジャケットを着ていないようだが魔導師だろうとひとまず納得したものの、 
天候を抜きにこの辺りは危険である 
とにかく退避を促そうと結論し二人はフリードをそちらへ向けた 

「すいませーん」 

こちらの声に、人影は立ち止まると首だけでゆっくりと振り返った 
着崩したダークスーツにサングラスと言う黒尽くめ姿、 
くすんだ金髪が無ければ闇に紛れてしまうだろう装いである 

「こちらは時空管理局です、現在―――」 

警告しようとするエリオ達を片手を挙げて制すると、 
人影は霧深い沖合い―――隔離施設の方へと向き直った 

「竜騎士か、そう言えばそんな者もいると言っていたな 
―――ちょうど良い、下郎を追い回すのも飽きたところだ」 

どうせアレが出てきては面倒だからな、 
と言いながら翳した右手に黒い魔力が吹き上がる 
そのまま全身を覆いつくした魔力の渦が黒い剣と甲冑を形作ったことで、 
ようやく二人は自分達が誰に話しかけていたのか思い至った 

「まっ……」 

上段に構えられた剣が黒い極光と化すのを見て取って、 
二人が止めに入るより早く、危険を感じたフリードが身を翻す 

「『約束された』―――」 

水面を踏みしめた足もとから広がった波紋が波を踏み潰す 
振りかざした余波が突風となり辺りをなぎ払う 

「―――『勝利の剣』！！」 

黒い断層が海を絶つ 
突風に当てられて海に落ちながら、エリオたちはそれを呆然と見送るより他無かった 

「―――さて」 

嘘のように凪いだ海に仁王立ちし、 
自らの成したことを見届けると、セイバーはゆっくりと二人を振り返りかけ、 
ほう、と何かに気づいて空を見上げ、直後に上空から降り注いだ物を叩き落した 


「やってくれんじゃねぇか、テメェ」 

続いて伸びてきた光の帯を伝って降りてきたノーヴェがセイバーを睨みつけながらほえる 
さらに遅れて他のＮ２Ｒのメンバーが現れ、エリオたちは伸ばされた光の帯――― 
エアライナーの上に引き上げられた 

「大丈夫っスか二人とも？」 

「ウェンディさん達こそ」 

「ノーヴェの勘が当たってな、間一髪だった」 

チンクによればひとまずの避難が完了したところで、 
良く分からないがとにかく脱出しないとまずい気がする、 
というノーヴェに促され荒れた海と深い霧という最悪の状況で無理矢理船出した直後、 
霧の奥から現れた怪物ごと施設の約三分の一が黒い極光に飲み込まれたという 

「直撃していたら施設が丸ごとなくなっているところだった、 
広域魔導師の全力砲撃か、希少種の生体砲かといった処だったが―――」 

抑えていながら尚目視できるほどの黒い霞のような魔力の色だけで、 
犯人が誰か一目瞭然である 

言いながら視線を向けたその犯人であるセイバーはと言えば、 
ノーヴェの怒声に対し、威勢がいいなと口の端を吊り上げていた 

「よく吠える獲物だな――― 
その威勢に見合うだけのモノがあるかは知らんが」 

ぞんざいに振り上げた剣が空を切る 

「いざ死力を尽くして来るがいい、 
我が剣に賭けて、その全てを打ち砕く！」 

その宣言が開戦の合図となった     </description>
    <dc:date>2011-10-19T01:41:44+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/468.html">
    <title>Lyrical Night16話</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/468.html</link>
    <description>
      第１６話　「暴君の剣Ⅰ -Tyrant Sword the First-」 


　――八日目　PM13:10―― 

「……以上が事件の概要です」 

説明を終え、はやてはブリーフィングルームに集まった隊員達を見渡した。 
スターズ。ライトニング。ロングアーチ。 
そして機動六課以外の関係部隊の隊長格達。 
ブリーフィングルームを埋め尽くすほどの視線が、壇上のはやてに注がれている。 

「不明な点があれば仰ってください。解答できる範囲でお答えします」 

発言を促すも、聴衆達は口を閉ざしたままだ。 
無理もないだろう。 
先ほどの説明で伝えた状況は、歴戦の士官達を黙らせるには充分だった。 
数日前に高官達へ報告した内容よりも情報は削られていたが、あえて伏せた部分を差し引いても異常過ぎる。 
&quot;聖杯&quot;と&quot;サーヴァント&quot;―― 
未知なる魔導技術の結晶である祭壇と、それによって召喚された人外の戦士。 
そんな代物がミッドチルダに解き放たれたのだ。 
臨席している現場部隊の指揮官達は、文字通り寿命が縮む思いをしていることだろう。 

「八神二佐」 

陸士部隊の三佐が声を上げた。 
外見は若いが、階級から考えて部隊長クラスのようだ。 

「召喚装置……その、聖杯とはロストロギアなのですか。 
　機動六課は古代遺物管理部隷下で、それもレリック専任の部隊なのでは」 

要するに、この案件を機動六課が主導するのは越権行為ではないかと訊ねたいらしい。 
こういう疑問は想定の範囲内だ。 
はやてはアクセントをできるだけ抑えて、落ち着いた声色を心がけて返答する。 

「仰るとおり、聖杯そのものはロストロギアの定義には当てはまりません。 
　しかし、先日の一件を顧みれば、サーヴァントを維持する魔力源としてレリックが狙われていることは明白です」 
「では、初動の聖杯破壊任務に機動六課が当たった理由は？」 

容赦ない追求だが、三佐の態度からは悪意や敵意は感じられない。 
あくまで健全な意見交換の一環として、疑問点を問い質しているだけなのだろう。 

「最も大きな理由は、陸上部隊に出動を要請する時間的な余裕がなかったことです。 
　当時の状況から考えて、突入があと少し遅ければ、更に多くのサーヴァントを召喚されていたと思われます。 
　被害を最小限に食い止めるための緊急措置――そう考えて下さい」 

三佐は納得した様子で頷いた。 
はやては真面目な表情を維持したまま、心の中で胸を撫で下ろす。 
毎回のことだが、他部隊との折衝には多大な精神的疲労が付きまとう。 
古今東西、陸海空軍はそれぞれ仲が悪いものらしいが、機動六課の立場はとりわけ不安定だ。 
元々、六課は様々な裏技を駆使して編成された部隊である。 
その上、現在は局外の人間まで雇い入れている――という扱いになっている。 
そんなイレギュラーに向けられる視線は温かいものではない。 
不当に縄張りを侵されたと誤解されないためにも、細かなことでもしっかり説明する必要があるのだ。 

「二佐、私も発言していいですかね」 

壮年の士官が軽く片手を挙げる。 
さっきの三佐とはまるで雰囲気が違う。 
現場からの叩き上げだと一目で分かった。 

「実行犯はレリックを狙っていて、ガジェットドローンとの関係も疑われる…… 
　それは理解できますが、今後の対策はどのようにするのですか？ 
　まさか場当たり的に撃退するだけというわけにはいかないでしょう」 

この人、わたし達を試しとるな――はやてはそう直感した。 
前線部隊で経験を積んできた士官にとって、はやては新品同様の上官だ。 
今後の方針すら示せないようでは指揮官失格だと考えているのだろう。 
これは佐官として乗り越えなければならないハードルだ。 

「対策は二つの方面から行ないたいと考えています。 
　一つ目は、実行犯と目される次元犯罪者の足取りを捜査すること。 
　これについては皆さんの捜査能力に頼ることになると思います」 

組織というのは不思議なもので、地位や階級が重要視される一方で、経験豊かな古株の影響力も極めて大きい。 
恐らく、あの士官は陸士に少なからぬ影響力を持っているはずだ。 
はやてがナカジマ三佐を頼りにしているのと同様、多くの上官が彼を信頼しているに違いない。 
もしもここで無様を晒せば、機動六課は陸上部隊からの信頼を一気に失うことになる。 

「もう一つは、レリック密売組織の徹底的な検挙です。 
　こちらは主に機動六課が請け負うことになるでしょう」 
「と、言うと？」 

壮年の士官が発言の続きを促した。 
どうやらはやての指針に関心を示したらしい。 
まるで、模範解答を知っている教師が生徒の解答を待っているような雰囲気だ。 

「空港の一件では、彼らは異様なまでの正確さで、我々の想定を遥かに上回る戦力を投入してきました。 
　そして、陽動として用意されていた偽の運搬計画には全く反応を示していません。 
　考えられる原因は……管理局が密売組織の拠点を摘発する以前から、その組織に目をつけていたというところでしょう」 

要は、管理局がレリックを『横取り』する形になったということだ。 
『目をつけていた』というのが、襲撃対象としてなのか、取引相手としてなのかは分からない。 
どちらにせよ、摘発の時点からずっと追跡されていたと考えれば、偽の輸送作戦に引っかからなかったことも頷ける。 
……この仮説に弱点があるとすれば、より可能性の高い仮説が存在するということ。 
地上本部立案の陽動作戦が漏洩したという、致命的な仮説が。 

「第七管理世界で摘発したのは拠点の一つに過ぎず、例の密売組織自体は活動を継続しています。 
　まずはこの組織の壊滅と、保有するレリックの回収を作戦目標とします。 
　構成員を逮捕できれば何らかの情報を得られるかもしれません」 

はやては壮年の士官から一旦目を離し、周囲を見渡した。 

「サーヴァントの弱点は、存在の維持にすら魔力を消耗するというコストの高さです。 
　その魔力的コストは生身の人間が支払うには莫大過ぎます。 
　供給源を断てば大きな打撃を与えられるはずです」 

情勢は混迷の只中にある。 
こんな状況で身内を疑い出したらきりがない。 
第一、地上本部の情報漏洩など、それこそ機動六課の権限が及ぶ事案ではないのだ。 
それに、既に専門の部署に調査を要請してある。 
六課は自分達にできることをすればいい。 

「なるほど、実行犯の追跡と魔力源の撲滅を二本柱とする戦略ですか。こいつは忙しくなりそうだ」 

壮年の士官は上体を揺すって笑った。 
はやての示した方針は、彼が考えていた戦略とおおよそ合致したようだ。 
ハードルは越えた――はやての肩から力が抜けた。 
これできっと、彼の指揮する部隊ははやての方針に従ってくれる。 

「他に質問が無いようなら、部隊の配置を決定したいと思います」 

はやては緩みかけた気持ちを引き締め、声を張り上げた。 
今はまだ、味方との衝突を回避した段階に過ぎない。 
本当の戦いは、まだ始まってすらいないのだ。 



　――八日目　PM17:51―― 

「やれやれ、随分長引いたわね」 

ブリーフィングルームから程近い、白く清潔な廊下の一角。 
遠坂凛は全身に溜まった疲労感を搾り出すように、ぐっと伸びをした。 

「時間通りに終わる会議なんて幻や」 
「幻だからこそ期待しちゃうのよ」 

はやては休憩用のソファーに腰を下ろした。 
他部隊とのミーティングは、予定されていた終了時間を二時間もオーバーし、先ほどようやく終了した。 
合計五時間以上に及ぶ会議は体力だけでなく精神力も削っていく。 
ここ一週間の多忙さも手伝って、はやての疲労はピークに達しつつあった。 

「それで、今後のスケジュールはどうなるの？」 
「せやな……ここんとこ出撃してなかったし、一週間以内には戦線復帰かな」 

疲労を胸の奥に押し込めて、はやては和やかな笑顔を浮かべた。 
空港とホテルでの戦闘を最後に、機動六課は戦闘行為に参加していない。 
理由は極めて単純。 
新隊員を加えた部隊運用の訓練に掛かりきりだったのだ。 
スターズに衛宮士郎。 
ライトニングにセイバー。 
二人とも、近接戦闘を得意とする魔導師と騎士である。 
既存のフォーメーションとの相性は悪くないが、それでも調整は必要不可欠。 
贅沢を言えば、後一ヶ月はかけたいところだ。 

「あなたも大概ワーカーホリックね」 

凛が呆れたような態度を見せる。 
彼女も書類上はロングアーチの隊員だが、役割はあくまで地球との折衝と情報解析。 
他の二人とは異なり、戦闘のコンビネーションを考慮する必要はない。 
そういう意味では、あまり忙しさを増やさない人である。 

「好きで忙しくなってるわけやないんよ」 
「どうだか。たまには休まないと、糸がぷつっと切れちゃうわよ」 
「あはは。シャマルにも似たようなこと言われたわ」 

尤も、シャマルの場合は凛のような冗談めかした口調ではなく、本気の忠告だったのだが。 
ふと時計に目をやると、今まさに午後六時になろうとしているところだった。 

「お腹すいた……」 

はやての口からシンプルな欲求がこぼれ落ちた。 
朝は会議の準備で忙しく、朝食を摂る暇もなかった。 
会議の開始までの短い時間に軽食を食べ、後は延々とミーティング。 
空腹度を示すメーターがあるなら、針が最低値を振り切りそうな勢いだ。 

「それじゃ、何か食べにいこっか」 

凛は休憩用ソファーから立ち上がり、ぐっと伸びをした。 
赤い服が身体に密着して細身の輪郭が浮き出る。 

「ここの食堂でええ？」 
「んー、士郎に作ってもらうとか」 
「それもええなぁ」 

先日、衛宮士郎に振舞われた料理の味を思い返す。 
料理を得意とする者にとって、他人の作った美味しい料理は否応なしに興味をそそられる。 
ましてや同年代の男の料理とあっては、物珍しさも手伝って関心数割増しである。 
&quot;聖杯&quot;の件が一段落したら、今度は自分が作った料理を食べてみてもらおう。 
色々苦労をかけてしまったお詫びと、ささやかな対抗心の充足とで一石二鳥だ。 
そんなことを考えながら、はやては凛の後を追って立ち上がろうとした。 

「――――あれ？」 

ぐらり――と。 
廊下が歪み、傾いた。 
おぼつかない脚で辛うじて踏み止まる。 
建物に異変が生じたのではない。身体に異常が生じたのだ。 
視界が急激に暗くなっていく。 
頭の中身が頭蓋骨の内側を走り回っているかのようだ。 
はやては両手で膝を押さえ、平衡感覚が元に戻るのを待った。 

「大丈夫、八神さん？」 
「……うん、ちょっと立ち眩みしただけや」 

顔を上げ、深く息を吸い込んだ。 
視界の縁に滲む暗闇が急速に消えていく。 
大した症状ではないはずだ。貧血か、もしくは立ち眩みか。 
どちらにせよ一過性のものだろう――はやては自分にそう言い聞かせた。 
ここからが正念場だというのに、隊長が過労でリタイアなんて笑い話にもならない。 

「やっぱり立ちっ放しは疲れるなぁ。座っとったみんなが羨ましいわ」 

そもそも、疲労が溜まっているのは自分だけではないはずだ。 
未知の敵との戦いを強いられているスターズ分隊とライトニング分隊。 
慣れない土地と組織に馴染まなければならない衛宮士郎達。 
編成再編を終えたばかりの両分隊を支援するロングアーチの面々。 
&quot;聖杯&quot;の全貌を知らされることなく任務に就く陸士部隊。 
彼らの苦労を思えば、自分の疲労など軽いものだ。 

「それじゃ、遠坂さん。今日は和食がいいって、衛宮君にお願いしといてな」 

意識しての行為か、それとも無意識の所作か。 
はやてはさり気なく壁に手を突いて、身体の負担を軽くしようとしているようであった。 
皮肉なことに――この献身は、八神はやてという少女の心身を想像以上に消耗させていたのだ。 
その事実を彼女自身が悟るのは、まだ先のことになる。 



　――第七管理世界 辺境　　現地時間 AM10:15―― 


山脈を囲む、鬱蒼とした森林地帯。 
辺りに人工物の陰はなく、文明の音も聞こえない。 
響き渡るのは風が木々を撫ぜる音色と、梢に羽を休める鳥の囀り。 
そして雪解け水を含んだ渓流のせせらぎ。 
陽光を弾く水面は、さながら砂金を散りばめた玻璃のよう。 
清流は水晶よりも澄み渡り、巌の狭間を流れ落ちる様は静謐と呼ぶに相応しい。 
まさしく人の手に寄らぬ芸術である。 

その流れの只中で、一人の少女が身を清めていた。 

積もりたての淡雪よりも白い肌。 
望月の光を紡いだ柔らかな髪。 
流麗で、しかし情動の欠落した面貌は、まさに彫像。 
自然美の懐中にありながら、少女の美しさはまるで埋没していない。 
それどころか、この秘境そのものが少女を際立たせるための舞台にすら思えてしまう。 
万人が見惚れる美貌と、万人が傅く威容。 
相反する要素が矛盾なく内包されている。 
ちゃぷりと少女の手が水に沈む。 
そうして汲み上げた一掬いの水を、少女は己の顔に打ち掛けた。 
飛沫が頬を跳ね、首筋と乳房を伝って落ちていく。 
不意に少女が顔を上げる。 
唸るような音を引き連れて、小さな影が空を横切った。 
管理局がガジェットドローンⅡと呼称する飛行機械。 
下弦の月にも似たその機体が、大きな弧を描いて少しずつ高度を落としている。 

「ようやく来たか」 

少女は裸体のまま河原に上がった。 
途中でアタッシュケースのような箱を拾い、遮蔽物のない場所で立ち止まる。 
その堂々とした振る舞いからは、羞恥の気配が微塵も感じられない。 
仮にここが数百の観衆に囲まれた舞台だとしても、少女は怜悧な表情を崩しはしないだろう。 

「望みの品だ、受け取れ」 

ガジェットドローンが低空を飛来する。 
両者の影が交錯する瞬間、少女は一抱えもあるケースを腕力だけで真上に放り投げた。 
同時に機体底部のアタッチメントが展開。 
すれ違いざまにケースを確保し、木々を掠めて飛び去っていく。 
風圧の残滓が木の葉を舞わせ、水面を激しく波打たせる。 
数秒と待たず、ガジェットドローンは豆粒ほどの点に姿を変えた。 
旋風が止み、河畔に静けさが訪れる。 
少女は何事も無かったかのように、太い枝に掛けてあった着衣を回収し始めていた。 
飛び去ったガジェットドローンがどこから来てどこへ行くのか。 
そんなことには一切関心を払っていないようだ。 

「しかし、興醒めだ。これでは掃除屋の方がまだ早い」 

少女はぽつりと呟いた。 
未だ来ぬ思い人を待ち侘びる乙女のように。 
獲物の接近を待ち伏せる狩人のように。 
森の彼方、火の粉を孕んだ黒煙が静かに立ち上っていた。 



　――十二日目　第七管理世界 辺境　　現地時間 AM11:15―― 


「なるほど。話に聞いていた以上に広大な樹海だ」 

セイバーは一旦足を止め、眼下の密林を見渡した。 
青空の下、地平の果てまで広がる広葉樹林。 
山脈と河川が横切る以外に途切れた箇所はなく、ただ手付かずの森が続いている。 
人類が科学を手にする以前、ヨーロッパ大陸を埋め尽くした森林地帯を髣髴とさせる。 

「ここは管理世界の中でも特に自然が残されている場所らしい」 

吹き付ける強風を物ともせず、シグナムがセイバーの隣に立つ。 
二人が下っているこの岩山からは、地平線までを余すところなく一望できる。 
その分、森の上を吹き抜ける風が集中し、ちょっとした突風の吹き溜まりとなっていた。 

「犯罪者には勿体無い環境だな。自然保護区の認定を与えておくべきだ」 
「仕方ないでしょう。ここは明らかに潜伏向きの地形です」 
「ああ、それは否定しない」 

一時間ほど前、彼女らはレリック密売組織の残党掃討の任を受け、第七管理世界に降り立った。 
その密売組織とは、先日の空港におけるレリック争奪戦の発端となった組織である。 
つまり、今回の作戦は&quot;偽造聖杯&quot;を造った者達への牽制でもあるのだ。 

作戦内容は以下の通り。 
まず二個分隊を五つの班に分けて捜索を行う。 
第一班――高い空戦能力を持つなのはとフェイト。 
第二班――スターズ分隊副隊長のヴィータと補充要因の衛宮士郎。 
第三班――コンビとしての相性が高いスバルとティアナ。 
第四班――第二班と同様の理由により、シグナムとセイバー。 
第五班――第三班と同様の理由により、エリオとキャロ。 
適正と相性を考慮して編成された各班は、地上と空中の両面から拠点を捜索することとなった。 

……もっとも、全く危なげのない編成かといえば、否と言わざるを得ない。 
昔からの関係である第一、三、五班は心配する必要はないだろう。 
シグナムとセイバーからなる第四班も、両者の性格からして衝突することはないはずだ。 
問題は第二班だ。 

「さて……シロウは上手くやれているのでしょうか」 
「保証はできないな。ヴィータはどうしても感情を優先しがちだ」 
「シロウも似たようなものですが、優先する感情の種類は違いますね」 

互いの評を聞いて、二人はそれぞれ肩を竦めた。 
態度とは裏腹に、大切に思う人のことを優先してしまうヴィータ。 
己のことを大切に思えず、他者のことを優先してしまう士郎。 
あり方の輪郭が類似していながら、全く異なる中身を持つ二人。 

「ましてや、士郎は私のようなものすら庇わずにはいられない性格ですから」 
「なるほど、それは確かにヴィータと相性が悪い」 

シグナムは短く息を吐いた。 
ヴィータは衛宮士郎のことを快く思っておらず、相互理解がまるで進んでいない。 
ここ数日の共同訓練も、第一印象の悪さを払拭するには足りなかったのだ。 
そんな状況で、ヴィータのプライドを逆撫でするようなことが起これば、本格的に衝突しかねない。 

「……編成を間違えたかな」 

小さく苦笑を漏らした瞬間、シグナムの元に緊急通信が入った。 
第五班――エリオとキャロの班からだ。 

『た――助けて――助けてください！』 
「どうした、キャロ！」 
『エリオくんが、エリオくんが――！』 

並々ならぬ雰囲気に、シグナムだけでなくセイバーまでもが身を引き締める。 
キャロが放つ必死の叫びは、事の重大さを認識させるには充分過ぎた。 

『エリオくんが――――殺されちゃう！』 



　――十二日目　第七管理世界 辺境　　現地時間 AM11:00―― 


「これは――――」 

遡ること、十数分前。 
森林地帯を探索していたエリオとキャロは、突如として開けた土地に出くわした。 
川の流域でもなければ、樹木の生えない湿地帯でもない。 
事前に取得した地形図によれば、ここには十数メートルほどの大岩が座しているはずなのだ。 
しかし、二人の眼前に広がる光景は、完全な更地―― 

――――否、大地に深々と刻み込まれた、一直線の傷痕であった。 

エリオは深い断層の縁に膝を突き、大地の傷痕の表面を調べた。 
手をかざすと、高熱の残滓が僅かに感じられる。 
表層の岩や砂はガラス状に変質して固まっている。 
巨大な重機で掘り返されたのではない。 
凄まじい高温によって、地表そのものがごっそりと蒸発させられたのだ。 
周辺の木にも焦げた跡があり、小規模な火災が起こっていたことを窺わせる。 

「大出力の魔法……？　まさか、いくらなんでも……」 

熱が残留していることから考えて、実行犯はまだこの世界から出ていないだろう。 
皆を呼ぶべきかもしれない。 
そんな考えがエリオの脳裏を過ぎった。 
この破壊が自然現象によってもたらされたとは考えにくい。 
だとすれば、強力な兵器か神話級の召喚獣、あるいは超高ランクの魔導師か。 
もしくは―――サーヴァント。 
いずれにせよ、自分たち二人だけで対処できる代物ではない。 

「フェイトさんを……駄目だ、広域探索中だからすぐに来れるわけがない」 

次に思い浮かんだのは『誰を呼ぶべきか』という選択肢である。 
できるだけ近くにいて、できるだけ強く、できるだけ迅速に呼べる班。 
広域探索中の第一班を呼んだとしても、二人が来るまでに実行犯は遠くへ行ってしまうかもしれない。 
しかし、第三班と合流しても戦力が二倍になるだけで、規格外の強敵に勝てるとは限らない。 

「エリオくん、あれってもしかして……」 

悩むエリオの傍らで、キャロは断層の端を指差した。 
炭化した木々の近辺に人工的な物体が落ちている。 
エリオはその正体を理解し、表情を強張らせた。 

「建物の……残骸」 

直感が二つの事象を結び付ける。 
機動六課が追いかけていた密売組織の拠点は、ここに『在った』のだ。 
ほんの少し前に、何者かの手によって、僅かな痕跡を残して抹消されてしまっただけで。 
恐らくは、口封じのために―― 

「キュクルーッ！」 

突如、フリードが甲高い鳴き声をあげた。 

「ようやく来たかと思えば、幼子が二人か」 

森に澄み切った声が響き渡る。 
エリオは咄嗟に顔を上げ、ストラーダを構えた。 
断層の向こう側の森林から、小柄な少女が歩いてきていた。 
背丈はスバルと同程度。 
肌は透き通るように白く、美しい金髪を後頭部で編んでいる。 
黒を基調にまとめられた衣装は、少女らしさと高貴さを併せ持っているように見えた。 
そして何よりも、新たにライトニングに加わった少女、セイバーと容姿が酷似していた。 

「キャロ！　逃げて！」 

少女の琥珀色の瞳に見据えられた瞬間、総身を圧倒的な殺気が貫いた。 
咄嗟に放った叫びが終わるより早く、黒き少女は一歩で断層を越えていた。 

「まず、一人」 
「――――！」 
≪Sonic Move.≫ 

可能な限りの速度で跳び退くエリオ。 
その胸を激しい灼熱感が襲う。 

斬られていた。 

少女の手には漆黒の剣。 
その切っ先には赤い血糊。 
灼熱感から数瞬遅れ、胸に走る激痛―― 

「エリオくん！」 

キャロの悲鳴が、揺らぎ掛けていたエリオの意識を繋ぎとめた。 
両足で地を踏み締め、ストラーダを黒き少女に振り向ける。 
血の飛沫が足元に赤い斑点を散らした。 

「くっ――――」 

思ったよりも傷は深いらしい。 
バリアジャケットのお陰で助かったというべきか、バリアジャケットがありながらこの有様というべきか。 

「――我が求めるは、戒める物！　捕らえる物！」 
「キャロ！？」 

エリオの叫びにも関わらず、キャロは錬鉄召喚の詠唱を開始した。 
友人が目の前で傷つけられたという事実が、彼女から離脱という選択肢を奪っていた。 

「言の葉に答えよ、鋼鉄の縛鎖！　錬鉄召喚、アルケミックチェーン！」 

魔力を帯びた鋼鉄の鎖が、瞬時に黒き少女を拘束する。 
だが、少女は顔色一つ変えることなく、冷徹にキャロへと視線を移した。 
氷の杭を打ち込まれたかのような怖気が、キャロの背筋を走り抜ける。 
憎悪なき殺気。敵意ではなく、純然たる排除の意思。 
少女の手の中で、漆黒の剣が握り直される。 

「そ……蒼穹を走る白き閃光！　我が翼となり――」 
「駄目だ！　逃げるんだ！」 
「――――この程度か」 

鋼鉄の鎖が一瞬にして砕け散る。 
黒き少女から放たれた魔力の奔流が、物理的な衝撃となって鎖を粉砕したのだ。 

「――て、天を、駆けよ！」 
「キャロ――！」 

詠唱よりも更に速く、黒き少女の姿が掻き消える。 

≪Sonic Move.≫ 

もはや思考を挟むことすらもどかしい。 
目にも留まらぬ神速に、限界を超えた最高速で追い縋る。 
漆黒の剣による刺突がキャロの細身を抉る刹那、ストラーダの切っ先が刀身を打つ。 
僅かに軌跡の逸れた刃は、バリアジャケットに包まれたキャロの左肩を掠めるに留まった。 

「僕が相手だ！　キャロに手を出すな！」 
「……私に挑むか」 

黒き少女はストラーダの刃を払い、一歩で数メートルの距離を離した。 
痛みを堪えるエリオの後ろでキャロは力なく崩れ落ちた。 
その膝にフリードが降り、黒き少女を激しく威嚇する。 

「娘、私と同じ顔をした女に覚えがあるだろう？」 

そう告げて、黒き少女は剣の切っ先をキャロへと振り向ける。 
あの少女と同じ顔―― 

「奴をここに呼べ。猶予はそこの男が死ぬまでだ」 
「そんな……！」 

突然の宣告に凍りつくキャロ。 
エリオは胸の鮮血を拭うことも忘れ、決意と共にストラーダを構え直す。 
恐らく勝ち目はないだろう。 
それでも、ここを退くわけにはいかない。 
たとえ何があろうとも。 

「大丈夫。心配しないで、キャロ―――行くよ、ストラーダ」 
≪Empfang. Speerangriff.≫ 


[[前&gt;Lyrical Night15話]]　　[[目次&gt;Lyrical Night氏]]    </description>
    <dc:date>2011-04-15T22:57:10+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/348.html">
    <title>Lyrical Night15話</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/348.html</link>
    <description>
      第15話「凪の日、そして」 


　――五日目　AM4:20―― 

早朝。 
沿岸の朝霧が消えきらない時刻。 
コンクリートで護岸された波打ち際を、ティアナは一人走り続けていた。 
シャツの襟元は汗でじっとりと湿り、荒い呼吸が無人の沿岸にこだまする。 
今日は不思議と早く目が覚めてしまった。 
二度寝するには遅過ぎるが、起きているには早過ぎる。 
そんな中途半端な時間を、ティアナは自主的な訓練に充てることにしたのだった。 
埠頭の先端までたどり着き、そこでＵターン。 
進んできたルートを逆向きに走っていく。 
特別なことなど何もない、単純な走り込みである。 

「強く、ならなきゃ……」 

ティアナは波の砕ける音を右手に聞きながら、地を蹴る力を強めた。 
本当は自分でも分かっている。 
こんなに早く目を覚ましてしまった理由も。 
人目につかない場所を選んでまで、計画外の訓練に手をつけた理由も。 
一朝一夕では成果の出ない基礎トレーニングに必死になっている理由も。 

「はぁ……はぁ……」 

廃棄都市区画での戦闘。 
一矢報いることすら叶わず、次元違いの力を見せ付けられただけであった。 

「……はぁ……」 

空港での戦闘。 
仲間と共に取り囲んでおきながら、あっさりと逃げ出されてしまった。 
しかもレリックの片方を持っていかれるという有様だ。 

「……」 

ホテルでの戦闘。 
もはや完敗と言っても過言ではない。 
一方的に目的を果たされ、阻止どころか妨害すらできなかった。 

「…………」 

ティアナはゆっくりと速度を落とし、立ち止まった。 
頬を伝う汗を手首で拭い落とす。 
わずか数日の間に重ねた戦い。 
それらの中で、自分はどれほど役に立てたのだろうか。 

強くなりたい―― 

想いだけが膨らんでいく一方で、結果がついてこないという現実。 
鍛えてもすぐに強くなれるわけではないと、頭では理解できている。 
一夜にして力が手に入る機会なんて都合よく転がり込んでくるわけがない。 
そんなもの一生に一度巡り合えることすら奇跡だろう。 
けれど、感情は収まらない。 
癇癪。苛立ち。不平不満。 
突き上げてくる焦燥と伸び悩む成果とのギャップが、ティアナの心を責め立てていた。 
こんな状態で戦闘になったら、間違いなく焦りに負けて無謀を冒す――ティアナはそう確信していた。 

「これじゃスバルのこと怒れないな」 

ティアナは自嘲気味に呟き、視線を落とした。 
朝霧の中、響き渡る潮騒。 
規則正しく寄せては返す音色を割って、硬い靴音が近づいてくる。 
単なる通りすがりかと思ったが、どうやらそうではないようだ。 

「おや、こんな時間に珍しい」 
「……セイバーさん」 

足音の主――セイバーはティアナの少し手前で足を止めていた。 
機動六課の女性隊員用の制服を着てはいるが、どうにも似合っていない。 
地味なデザインが、彼女の放つ雰囲気に負けてしまっているのだ。 
シニヨンを結って纏めた金髪に、凛とした碧眼の取り合わせが出来過ぎなくらいに整っている。 

「鍛錬ですか。感心なことです」 
「ええ、まぁ……セイバーさんは何を？」 

ティアナはそれとなく話を逸らした。 
こんな時間に訓練をしていた理由を尋ねられるのは気恥ずかしかった。 
昔馴染みの仲間ならまだしも、新規編入のセイバーとは出会って日が浅い。 
弱いところは見せたくなかった。 

「件の大孔の調査に参加していました。それで付近を通りかかったので」 

セイバーの答えを聞き、ティアナは息を呑んだ。 
四日前の未明、この近辺で倉庫街が破壊される事件が起きていた。 
管轄が違うことと、まだ調査中であるということから、その事件についてティアナは詳しくない。 
夜空を引き裂いた黄金の光――あの光が『それ』だったのでは、と直感しているだけだ。 
奇怪でこそあれ、無縁であったはずの事件。 
セイバーがその事件の調査に関わっているということは、即ち―― 

「……あの大孔って、私達が戦ってる相手と何か関係があるんですか？」 

セイバーは答えない。 
澄んだ瞳でまっすぐにティアナを見据えているだけだ。 

「私達、何も聞かされていないんです。 
　あの狂戦士は……黒尽くめの髑髏は……何者なんですか？」 

やはり答えは返ってこない。 
ティアナは睨むように、セイバーと視線を重ねる。 
全てを話して貰えるとは、最初から期待していない。 
ただ――信じられなくなるだけだ。 
ティアナは静かに足を踏み出し、セイバーへ近づいていく。 
それでもセイバーは表情を変えようとすらしなかった。 
ティアナは言葉を選び、最後の問いを口にした。 

「あなた達は……何者なんですか」 
「……」 

初めてセイバーが目を伏せた。 
問いかけに込められた不信の色を、聡くも感じ取ったのだろう。 
一呼吸置き、改めてティアナと向かい合う。 

「私達の世界から持ち出された、災厄の元凶――それを破壊するため、私達はこの世界へ赴きました」 

ティアナはセイバーの言葉に、静かに耳を傾けていた。 
厳重に情報統制されているトップシークレット。 
それを自分のような末端隊員に語っているのだから、問題でないはずがない。 
普段のティアナならこれ以上は喋らないように止めているところだ。 
けれど、それができない。 

「標的の破壊は四日前に成し遂げましたが、一歩遅かった。 
　彼らは首尾よくサーヴァントを召喚し、何らかの手段で現世に繋ぎ止め続けている……」 
「その……『サーヴァント』っていう召喚獣を倒すのが、セイバーさん達の今の目的なんですか？」 

セイバーが小さく頷く。 
罪悪感の影でティアナは焦燥にも似た高揚感を覚えていた。 
繋がっていく。 
バラバラで共通点のなかった出来事が、一本の線に収束していく。 

「召喚獣というよりも使い魔に近いものです。空港とホテルに現れたのはアサシン…… 
　貴女とシロウが市街地で戦ったという相手は、恐らくバーサーカーでしょう」 
「アサシン……バーサーカー……」 

セイバーが語る『敵』の名を、ティアナは深く心に刻み付けた。 
彼らとの戦闘は偶然ではなかった。 
ならばそう遠くないうちに、軌道六課は再び彼らと戦うことになるのだろう。 
果たしてそのとき、ティアナ・ランスターは役割を果たせるのか―― 

「……私でも、サーヴァントに勝てるようになりますか？」 

ティアナは小さく呟いてから、しまった、と顔を伏せた。 
こんなところで本音を零してしまうなんて。 
顔が赤くなっていくのが分かる。 
走り回っていたせいだと自分に言い訳をしてみても、漏らした言葉は取り返せない。 
どうか聞き逃していて欲しい――内心で祈りながら顔を上げる。 
セイバーは困ったような表情で微笑んでいた。 

「不可能と言い切りたいところですが、シロウはそれを成し遂げてしまった。ですから、否定することは出来ません」 

セイバーの答えは、ティアナにとって望ましいものであるはずだった。 
しかし、ティアナは曖昧な表情を浮かべて言葉を濁す。 
あの怪物達を倒せる可能性。 
それは確かに喜ばしいことだ。 
けれどどうして―― 

「……エミヤ三尉、ですか」 


どうしてまた、あの人の名前が出てくるんだろう。 


ティアナは知らず唇を噛んでいた。 
胸を突く、正体の分からない感情に喉が詰まる。 
ここから逃げ出したくなる衝動を堪えながら、ティアナはセイバーに一礼した。 

「なんか大変なこと聞いちゃったみたいです……ごめんなさい」 
「気に病まないでください、ティアナ。 
　大切なことを伝えずに轡を並べるのは、私としても本意ではありません」 

違う、そんな気の利いた理由なんかじゃない。 
言葉は喉まで競り上がり、無理矢理に飲み込まれて消え失せる。 

「それに、サーヴァントの召喚が阻止できなかった以上、いつかは明かさなければならないことですから」 

ティアナはセイバーと視線を合わせることができずにいた。 
自身のちっぽけな自尊心を護りたいがための一言に、あの少女は本気で応じてくれている。 
掛け値なしに向けられる好意的な素振りは、まるで光のよう。 
眩しければ眩しいほどに、後ろめたさがティアナの心に濃厚な影を残していく。 
不可能を果たし遂せたという彼に対しての想い。 
彼女自身も気付いていない、昏い感情。 



　――五日目　PM13:20―― 

「……大体の事情は分かったけど」 

会議室の椅子の背もたれに、ヴィータがぎしりと体重をかける。 
これ見よがしに組んだ腕は不機嫌さの表れか。 
気難しげに眉をひそめ、向かいに座る赤コートの女をじろりと睨む。 

「やっぱ納得いかねー……何であたし達まで蚊帳の外だったんだ」 
「そういう協定だったんだから仕方がないでしょう？」 

赤コートの女――遠坂凛はヴィータの不満を軽く受け流す。 
服飾の尽くが赤と黒で統一され、胸には大粒の赤い宝石のペンダント。 
背中に流した黒髪を今日は襟元で一つに括っている。 

「ふん……。地球の魔法組織なんて胡散臭いにも程があるっての」 

ヴィータはとわざとらしく視線を外した。 
ここで目の前の相手に不服を告げたところで、返ってくる答えは決まっている。 
遠坂凛の返答はまさにその通りで、これ以上は望めない。 
今回の事件に関して管理局と魔術協会との間に敷かれた協定は、強固な情報統制を必須としているのだから。 

それにしても、とヴィータは思考する。 

地球は魔法が発達していない世界だというのが彼女の認識であった。 
ヴィータのみならず、この場に同席しているシグナムやフェイトもそうだろう。 
高町なのはや八神はやてという、例外的な才能の持ち主は、確かに存在している。 
だが地球で平凡に暮らす限り、その才を開花させる機会は永遠に訪れない――はずなのだ。 
しかし今、生きた反証が目の前にいる。 
地球に生まれ地球に育ち、管理世界の干渉を一切受けぬまま業を修めた魔導師。 
そして彼女らが属する管理組織、魔術協会。 
魔法ではなく魔術という呼称だが、四桁の年月を重ねてきた古い技術であるという。 
そんな代物が殆ど知られていなかった背景には、かの組織の徹底した秘密主義がある。 
こうして列挙した情報も、ごく一部の管理局局員にしか開示が許されていない。 
副隊長であるヴィータですら、つい先ほど伝えられたばかりなのだから。 

「シグナムも何か言ったらどうだ」 
「……正直、驚いてはいる」 

ヴィータは隣席のシグナムに話を振った。 
シグナムもヴィータと同様、仔細な情報を聞かされたばかりだ。 
&quot;聖杯&quot;の破壊任務に就いた時ですら、それが地球に由来するものだとは知らされていなかった。 
ましてや廃棄都市区画と空港に現れた怪物との関連など。 
後でエミヤシロウを締め上げてやろう――ヴィータは本気でそう考えていた。 
シグナムはヴィータの危険な計画など気にも留めず、淡々と発言を続けていく。 

「だが先方が秘密を護りたいというなら尊重すべきだろう。 
　いくら&quot;聖杯&quot;が絡むとはいえ、犯罪の解決は我々の責務であって、彼らは大切な協力者なのだからな」 

非の打ち所の無い正論に、ヴィータは押し黙った。 
状況の詳細が伏せられた任務など珍しくもない。 
時には政治的な、時には道義的な理由によるもので、今回もその一例に過ぎないのだ。 
事実、&quot;聖杯&quot;の破壊作戦に携わったときは、秘密の多い作戦であることに疑問を差し挟んだりはしなかった。 
不審を募らせるようになったのは、その後の顛末に違和感を感じ始めてからのこと。 
要するに個人的な感情だ。 
ヴィータは、反対側の席に座るなのはに、さりげなく視線を向けた。 
なのはは拗ねたような表情のフェイトをなだめようと、あの手この手で頑張っているようだ。 

「でもやっぱり、危険なことに巻き込まれてたなら、後からでもいいから教えて欲しかったなぁ。 
　半年も知らなかったなんて、少しショックかも……」 
「ごめんね、フェイトちゃん！　そういう約束だったから……」 

二人が話しているのは、半年前に勃発したという&quot;第五次聖杯戦争&quot;のことだろう。 
聞くところによると、なのはは地球に帰省していたときに偶然巻き込まれ、そこで彼らと知り合ったらしい。 
今回の事件は、聖杯戦争中に破壊された&quot;聖杯&quot;の残骸の一部が、この世界に持ち込まれたことから始まったのだ。 
ロストロギアの定義から外れる&quot;聖杯&quot;に、機動六課で対処しようと主張したのは他ならぬなのは自身だという。 
その理由もよく分かるというものだ。 

「もうそんな無茶したら駄目だからね」 
「うん、絶対しないから」 

フェイトが詳細を知らされたのはヴィータより数日早いはずだ。 
知らないところでなのはが危険に晒されていたことに、よほどのショックを受けたのだろう。 
もう無茶はするなと何度も念入りに釘を刺している。 
そんなフェイトの姿から、ヴィータはなかなか目を放せずにいた。 

「さて……」 

遠坂凛はテーブルに両肘を突き、顔の前で指を絡めた。 
シグナムに目線を送り、発言を促す。 

「これからはサーヴァントとの戦闘も視野に入れるわけだけど、戦力の配分はどうするつもり？」 
「当初の予定通り、編成はスターズとライトニングの二分隊制を維持する。 
　私も他部署での任務は切り上げ、こちらに専念するつもりだ」 

二分隊制の維持。 
つまり、スターズとライトニングの員数を五人に引き上げるということ。 
単純なように聞こえるが、実際に行うとなると、そうはいかない。 
今までの連係は殆ど使えず、指揮官の負担も単純計算で三割ほど上昇してしまう。 
本来なら、新体制での訓練期間を充分に取る必要がある大仕事なのだ。 
だが、現実はそんな猶予を与えてはくれない。 
明日にでも、或いは今日のうちに状況が動き出す危険すらある。 
と、フェイトが小さく手を上げた。 

「分隊をもう一つ増設するのは、どうかな」 
「それはちょっと難しいです」 

フェイトの提案に答えたのはリィンフォースだった。 
会議室のテーブルの上に立ったまま、同席する面々をくるりと見渡す。 

「各分隊にサーヴァントとの戦闘経験がある人を配置したいんです。 
　シロウさんとセイバーさんが独立しちゃうと、ライトニングが経験ゼロになっちゃいます」 
「そっか……」 

ライトニングの隊員がサーヴァントと交戦したのは、空港周辺での小規模な戦闘のみ。 
とてもではないが、充実した戦闘経験とは言いがたい。 
それはフェイト自身が一番よく分かっていた。 

「で、いつまであいつらを騙しておくんだ」 

ヴィータが身を乗り出し、凛を睨むように見据える。 
非難の色を隠そうともしていない。 
真っ直ぐに、想うままの言葉をぶつけていく。 

「自分達が何と戦ってるのかも教えずに、命だけ賭けさせるつもりなのか？」 

現状の情報開示レベルでは、副隊長未満の隊員には碌な情報が与えられていない。 
&quot;聖杯&quot;の存在自体を知らされず、正体不明の怪人との戦闘を強要されるのだ。 
スバルとティアナに至っては、既に一度命を落としかけているというのに。 
これではまるで捨て駒ではないか。 

「大丈夫よ。要は魔術との関わりを教えなければいいんだから」 

ヴィータの憤りを凛は真っ向から受け止めた。 
横に座るなのはへ目配せし、発言の続きを譲る。 

「もちろん、みんなへの説明はちゃんとするよ。 
　地球との関係は全部伏せるけど、事件の経緯も、サーヴァントの強さも、できる限り説明する」 
「……それならいいんだけど」 

なのはに直接諭されて、ヴィータはようやく矛を収めた。 
納得のいかないことはまだまだあるが、今この場で捲くし立てるようなことではない。 
議題から外れた事柄に拘るのは、単なる妨害だ。 

「それじゃあ、もうええかな」 

議論の動向を見守っていたはやてが口を開く。 
ひとりひとりに視線を送り、反応を窺ってからポンと手を打つ。 

「話も纏まったことやし――」 

事の発端から早五日。 
煩わしい事務的処理の殆どが、機動六課のトップであるはやてに集積している。 
故にまともな睡眠など取れていないのだろう。 
浮かべた笑顔の陰には、隠しきれない疲労の色が滲んでいた。 



　――五日目　PM13:30―― 

調理室に食欲をそそる匂いが立ち込めていた。 
材料が焼け、水気の弾ける音が、芳香を周囲に飛び散らせる。 
それらの中央で、士郎が慣れた手付きで調理器具を振るっている。 

「よっと……ほら、出来たぞ」 

厨房内のテーブルに熱々の料理を乗せた皿が送られる。 
見栄えよく、それでいて食べやすく工夫された形。 
空腹感を刺激する香り。 
味を確かめずとも絶品と分かる品々である。 

「いただきまーす！」 

真っ先に箸を伸ばしたのはスバルだった。 
香ばしい風味の肉を頬張り、幸せそうに表情を綻ばせる。 

「凄い、プロみたいだ……」 

エリオは料理の味に感嘆しつつ、スバルに負けない勢いで皿を空けていく。 
その横顔をちらりと盗み見ながら、キャロも遠慮気味に口をつける。 
簡素なテーブルに並んだ四人の食事風景を背に、士郎は次の料理を作り始めていた。 
スバルとエリオの食べっぷりは、食べ盛りというのを差し引いても相当なものである。 
油断しているとあっという間に完食されてしまいそうだ。 
フライパンに食材を躍らせながら、さりげなく後ろに目を向ける。 
キャロの皿の上で、ニンジンとそれ以外とが綺麗に選り分けられていた。 
飾りつけのパセリまで無くなっている隣人の皿とは大違いだ。 
しかし、キャロの好き嫌いよりも気になることが一つ。 
テーブルの端に座ったティアナの料理が殆ど減っていなかった。 

「会食ですか。私を除け者とは感心しませんね」 
「げ、セイバー……」 

調理室に入ってきたセイバーは、そう言うなり四人の隣に腰を下ろした。 
食欲の権化を見たかのような反応は完全に黙殺されている。 

「ティアナ、体の具合でも悪いのですか」 

席に着くなり、他の者には聞こえないような小声で、すぐ隣のティアナに囁く。 
年少のキャロよりも明らかに食が細いのだ。 
不思議に思わないほうが難しい。 

「え、あの……ちょっと考え事してたんです」 

誤魔化すように、ティアナは一気に料理をかき込んだ。 
そして当然のように喉を詰まらせ、キャロから渡された水で飲み下す。 
普段ならありえない慌てように、エリオとキャロが顔を見合わせる。 
何かあったとしか思えないが、何があったのか訊ねられる雰囲気ではない。 
フォローを求めてスバルの方を見やる。 

「わぁ、これも美味しそう」 

しかし当のスバルは、いつの間にやら席を立っていて、調理台の傍で歓声を上げていた。 
テーブルに背を向けていて、親友の異変に気付いているのかどうかも分からない。 
キャロは何か言おうとして視線を泳がせ、口をつぐんだ。 



不意にスバルが士郎に身を寄せる。 
肩が触れ合う感触に、士郎は思わず調理の手を止めた。 

「おい……」 

スバルは陰の差した表情で、飛沫をあげる流し台を見下ろしていた。 
蛇口から吐き出される流水は、さながら小さな滝のよう。 
金属のボウルがあっという間に冷水で満たされる。 
溜めきれなくなった水はオーバーフローを起こして溢れ出し、周囲を水浸しにしてしまう。 

「最近、ティアの様子がおかしいんです。 
　思い詰めてるっていうか、一人で抱え込んでるっていうか……」 

ぽつりぽつりと、スバルは話し出す。 
後ろの皆には聞こえないように。 
士郎はさりげなく調理を再開しながら、小さな声で囁き返す。 

「……俺は普段のアイツを知らない」 

最初の日から、たった数日。 
それが全て。 
それ以前は何も知らない。 
だから何も言えない。 
気の利いた慰めも、知った風な助言も。 
士郎は蛇口を捻り、水を止めた。 

「けど、力になれることがあるなら言ってくれ」 
「……はい」 

突き放すような、それでいて親身であるような返答。 
きっとこれが衛宮士郎の距離感なのだろう。 
スバルはカップを手に取ると、溢れんばかりの水を湛えたボウルに沈めた。 
ざぷりと幾らかの水がこぼれる。 
カップを引き上げると、その分だけボウルの水が減っていた。 

そう、こんなふうに。 
溢れそうな――も、減らしてあげられるはずなのだ。 

スバルはフライパンから熱々のエビを摘み、口に放り込んだ。 
そうして笑顔を作り、食卓の仲間達のところへと戻っていった。 




　――五日目　-- --:--―― 


暗闇に淡い光が浮かんでいる。 

蛍火のように儚い色彩。 

摘めば枯れ、砕けば潰える生命の色。 


円筒形の生体ポッドに浮かぶ幼い少女。 
金糸の髪を揺らし、未発達の四肢を力なく伸ばしている。 
肌はシルクのように白く細やかで、一片の瑕もない。 


ただ一点―― 
右腕に刻まれた&quot;二画&quot;の紅い文様を除いては。 


少女の瞼が微かに開く。 
翡翠と紅玉の双眸が、暗い風景を写し取る。 
視覚はまだほとんど機能していない。 
ただ漠然と、暗がりに浮かぶ輪郭を反射するだけ。 


白い髑髏のような貌の輪郭を――


[[前&gt;Lyrical Night14話]]　　[[目次&gt;Lyrical Night氏]]　　[[前&gt;Lyrical Night16話]]    </description>
    <dc:date>2011-04-15T03:13:45+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/84.html">
    <title>Lyrical Night氏</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/84.html</link>
    <description>
      -[[第1話　黄金の光&gt;Lyrical Night1話]]
-[[第2話　静かな始動&gt;Lyrical Night2話]]
-[[第3話　戸惑い&gt;Lyrical Night3話]]
-[[第4話　魔槍Ⅰ&gt;Lyrical Night4話]]
-[[第5話　魔槍Ⅱ&gt;Lyrical Night5話]]
-[[第6話　夕焼けの記憶&gt;Lyrical Night6話]]
-[[第7話　離岸流&gt;Lyrical Night7話]]
-[[第8話　ジャハンナムの天使Ⅰ&gt;Lyrical Night8話]]
-[[第9話　ジャハンナムの天使Ⅱ&gt;Lyrical Night9話]]
-[[第10話　聖剣の騎士Ⅰ&gt;Lyrical Night10話]]
-[[第11話　聖剣の騎士Ⅱ&gt;Lyrical Night11話]]
-[[第12話　聖剣の騎士Ⅲ&gt;Lyrical Night12話]]
-[[第13話　Heavens Feel Ⅳ&gt;Lyrical Night13話]]
-[[第14話　夜天に駆ける&gt;Lyrical Night14話]]
-[[第15話　凪の日、そして&gt;Lyrical Night15話]]
-[[第16話　暴君の剣Ⅰ -Tyrant Sword the First-&gt;Lyrical Night16話]]

[[長編へ&gt;長編]]    </description>
    <dc:date>2011-04-15T03:12:27+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/467.html">
    <title>【サッカーをしよう！～三人娘の必殺シュート～】</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/467.html</link>
    <description>
      //

緑がまぶしいサッカーコート。 
大観衆の中で、ひときわ輝く選手達がいる。 
それは、現代におけるヒーローたち。 
中でも、相手ゴールを割って得点した選手など、英雄そのもの。 

もし、彼らが必殺技を持っていたら？ 


『蹴り穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)―――！』 

&#039;＊『ああー!!!!人壁が次々と吹き飛んでいくーっ！！ボールはGK森崎くんの正面だー！！』 

森崎「そうなんどもぬかれてたまるかー！」 

&#039;＊『森崎くんキャッチ、いや、倒れた！ボールはまだ生きている！！』 
&#039;＊『入ったーッ!!!!ゴオオオール！！！』 
解説『GKは非常に惜しかったな』 


もし、なのは達が、こんな風に戦うならば、いったいどんなことになるだろうか。 
これは、そんな妄想である。 





【サッカーをしよう！～三人娘の必殺シュート～】 


『真・ソニックフォーム！！』 

森崎「こんどこそ、みきってやる！」 

&#039;＊『フェイトが脱いだー！！！彼女は本気だ！！』 
&#039;＊『速すぎるボール運び！！GK森崎くん混乱しているぅ！！』 

森崎「くそっぜんぜんみえない！」 

&#039;＊『ん？これは……入ってるぞ！！』 
&#039;＊『いつの間にかゴールしている！入った！ゴール！！』 
&#039;＊『解説さん、これはどういうことでしょうか？』 
解説『私の眼には全てが見えていた。すごくドキドキした』 



『スターライトォ、ブ、レイカー!!!!!』 

&#039;＊『ジャンピング・ボレー・シュート！！』 
&#039;＊『激闘で荒れたコートの芝生がめくれ上がり、ボールに吸い寄せられていく！！』 

森崎「とまれー！」 

&#039;＊　『巨大な塊となったボールが、GKごとゴールポストを吹き飛ばした！』 
&#039;＊　『これは、ゴールです！！ゴールゴールゴーーール！！！！』 
解説『これは、死んだな』 


『響け終焉の笛（ラグナロク）！』 

審判「試合終了！」 

&#039;＊『あーおしかったですねえ八神選手』 
解説『技の名前が悪かったのではないかな。アンリミテッドとか付ければよかったのに』 

//
//SGGK森崎へ捧ぐ    </description>
    <dc:date>2011-01-30T20:26:10+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/13.html">
    <title>小ネタ</title>
    <link>http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/13.html</link>
    <description>
      *小ネタ

#contents()

***1スレ目
[[1-205氏&gt;1-205]]
[[1-213氏&gt;1-213]]
[[1-245氏&gt;1-245]]
[[1-270氏&gt;1-270]]
[[1-432氏&gt;1-432]]
[[1-625氏&gt;1-625]]
[[1-737氏&gt;1-737]]
[[1-748氏&gt;1-748]]
[[1-838氏&gt;1-838]]
[[1-982氏&gt;1-982]]

&amp;link_up()

***2スレ目
[[2-26氏&gt;2-26]]
[[リリカルブラッドの作者氏]]
-[[ギル×スカ]]
-[[バーバー藁気屋]]
-[[言峰VSなのは]]
2-234氏
-[[2-234]]
-[[2-321]]
-[[2-829]]
-[[3-581]]
[[2-295氏&gt;2-295]]
[[2-336氏&gt;2-336]]
[[2-372氏&gt;2-372]]
[[2-810氏&gt;2-810]]

&amp;link_up()

***3スレ目
ヴィヴィオに仕えるハサンの一日氏
-[[3-296]]
-[[3-571]]
[[3-309氏&gt;3-309]]
3-472氏
-[[キャロ、バーサーカー召喚]]
3-490氏
-[[夢]]
3-565氏
-[[fateはやてルート外伝：英霊なのは]]
[[3-570氏&gt;3-570]]
[[3-578氏&gt;3-578]]
3-960氏
-[[18代目の転生体]]

&amp;link_up()

***4スレ目
4-411氏
-[[アリシアと葛木（オマケで母親と奥様）]]
[[4-686氏&gt;4-686]]
[[4-873氏&gt;4-873]]

&amp;link_up()

***5スレ目～
[[5-5氏&gt;5-5]]
[[聖王一味、地球へいく]]
[[9-17氏&gt;9-17]]

&amp;link_up()

***10スレ目～
[[狂戦士と隻眼の少女]]
[[聖王の揺り篭・最終決戦inクランの猛犬]]
[[ある夏の日。志貴９歳、なのは１１歳]]
[[魔導師VS魔術師]]
[[■■■の悪魔から、レイジングハートへ]]
[[スカリエッティ世界征服計画]]
[[B.t.B――Beyoud　the　Blood――]]
[[竜使いの少女と赤枝の騎士+ ]]
[[英霊なのハサン]]
[[アーチャー in A,s 「受け継ぐこと」]]
[[ソレハ殺戮ノ果テノ敗北]]

&amp;link_up()

***16スレ目～
[[LDDD]]
[[ニンジンいらないよ]]
[[BADEND―オハナシの代償]]
[[改変ネタ――王様の夢は…]]
[[改変ネタ――婆さんの夢はｶﾞ！？]]
konkon氏
[[狂人の刃]]
[[The gathering of fools(馬鹿共の集い)]]
[[とらタヌｉｎクリスマス]]
[[英雄王を継ぐ聖王]]
[[悪魔憑きと守護騎士たち]]

&amp;link_up()

***21スレ目～
◆GFCxRoPmpU氏
[[淫蟲と中将と蟲爺さん]]
[[黒カリムと蟲爺さんと孫]]
[[24-272氏&gt;24-272]]
[[24-322氏&gt;24-322]]
[[マキリックゾーゲン]]
[[酒と涙と中将と不幸]]
◆VBguGDzqNI氏
[[悪魔と狸]]　26-642氏[[悪魔と狸（追従）]]
◆JtheEeHibM 氏
[[しろはや兄妹ネタ]]

[[その男赤毛につき]]
[[蛇からのいざない]]
[[今、脱ぐ時]]
[[28-474]]
[[『絶体絶望都市』～沈みゆく街と彼女の道～]]

&amp;link_up()

***31スレ目～
とあるキャスター氏
[[ナカジマ一家三咲町にくる]]

[[ランサー・ザフィーラの世界]]
[[とある舞台稽古&gt;31-627]]
[[結界師二人]]
[[ネタ『結婚』]]
[[セイバーからアヴェンジャーまで、英霊タカマチナノハによる嫁議論]]
◆RS6e28dFvI 氏
[[おっさんよび]]
[[ネタレス『紳士の社交場』]]
[[Ａ＆Ａ]]
カレイドルビーZERO　A,s
[[カレイドルビーZERO　A,s予告編]]
[[魔法少女カレイドルビーＺＥＲＯ予告編&gt;http://www9.atwiki.jp/tmnanoha/pages/466.html]]
◆s2g0OyWwD 氏
[[とある少女とユーノ・スクライア、最後の会話]]
[[【サッカーをしよう！～三人娘の必殺シュート～】]]
&amp;link_up()

----    </description>
    <dc:date>2011-01-30T20:22:24+09:00</dc:date>
  </item>
  </rdf:RDF>

