「ジュンー? 今ならサレンダーを認めるわぁ。
無様に総攻撃を喰らってゲームエンドなんて、厭でしょ?」
「……サレンダーか」
サレンダー。 降参。
自らのプライドを守るために行う、最終手段。
僅かの沈黙の後、
軽く鼻で笑いながらカードを片付けようとした水銀燈へ、僕は。
「逃げるのか……? お前」
言い放った。
薔薇乙女が遊戯王するえすえす。
#3.シュレーディンガーの猫
ああ、これで覚悟が決まった。
ジュンに。 とどめをさそう。 お仕置きを、しよう。
「バラッバラのジャンクにしてあげるわぁッッ!」
<F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)
★★★★★★★★★★★★・闇・ドラゴン族・ATK5000/DEF5000
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
ドラゴン族モンスター5体を融合素材として融合召喚する。
このカードは地・水・炎・風・闇属性のモンスターとの戦闘によっては破壊されない。
(ダメージ計算は適用する)>
──怖い? 怖いわよねぇ!?
恐怖の代名詞──“F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)”を前にして──
「……どうした。 水銀燈」
──怖がって……ない?
ジュンの表情には、焦りこそ伺えるものの、
今まで、このドラゴンを相手にしたデュエリストにあった、
“何か”が明らかに欠如していた。
面白くない。 実に、面白くない。
何故、ジュンは恐怖しないのか。
何故、ジュンの瞳があれ程までに深く見えるのか。
「……怖いか? 僕が」
まだ冷静でいるのよ。
手札の“サイバー・ダーク・ホーン”を召喚し、
墓地の“ハウンド・ドラゴン”を装備するまでは。
まだ、冷静で。
「フン、これで私のモンスターの総攻撃力は9900!
つまんなぁいっ! こんな一方的なデュエル!」
「攻撃、しないのか?」
ぷちりと。
あっけらかんと言い放ったジュンに、堪忍袋の緒が切れた。
「“アームド・ドラゴン LV5”で、“V-タイガー・ジェット”に攻撃ィッ!!」
水銀燈──アームド・ドラゴン LV5
ATK2400/DEF1700
ジュン──V-タイガー・ジェット
ATK1600/DEF1800
ジュン──ライフポイント──4700
──やった! 破壊してやった! ガラクタにしてやった!
これでジュンのフィールドはガラ空き! 私の! 私の勝ち!
「“F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)”ッッ!
ジュンをジャンクにしておしまいッッッ!」
攻撃宣言だった。
それは、誰の耳にも明らかで。
それでも。 それでも尚ジュンの顔に張り付いている、あの微笑はなんなのか。
その答えは、私にとって最悪の形で、ジュンのリバースカードによって誘われた。
「“サイクロン”で、“未来融合-フューチャー・フュージョン”を破壊だ」
<サイクロン 速攻魔法
フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。>
壊される。 “未来融合”が。
「ふぁいぶ…ごっど、どらごんが…破壊…されたぁっ!?」
──死ぬ。 “F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)”が。
してやったりと言わんばかりの面持ちのジュンが、笑っていた。 嗤っていた。
「…サッ、“サイバー・ダーク・ホーン”でジュンにダイレクトアタックッ!」
水銀燈──サイバー・ダーク・ホーン
ATK800+1700(ハウンド・ドラゴン装備)/DEF800
ジュン──ライフポイント──2200
「……あは、あはははッ! でも、もう終わりよぉ! ジュンの負け!」
笑う。 私は、笑う。
そうだ。 次に私のターンが回ってくれば、ジュンのライフポイントを0にすることができる。
その上、“V-タイガー・ジェット”を戦闘で破壊したことで、
“アームド・ドラゴン LV5”は、“LV7”へと進化する。
<アームド・ドラゴン LV7
★★★★★★★・風・ドラゴン族・ATK2800/DEF1000
このカードは通常召喚できない。
「アームド・ドラゴン LV5」の効果でのみ特殊召喚できる。
手札のモンスターカード1枚を墓地に送る事で、
そのモンスターの攻撃力以下の相手フィールド上表側表示モンスターを全て破壊する。>
──勝ち! 勝ち! 勝ちよッ! 私の、勝ちなんだからッ!
──僕の、勝ちだ。
たった今ドローしたカードを見つめ、微笑む。 あるいは、ほくそ笑む。
ライフは足りている。 手札も足りている。
「魔法カード“次元融合”発動だ」
水銀燈の虚勢の仮面が、音を立てて剥がれる。
そして、露となったその色は、処女雪の如き蒼白。
<次元融合
2000ライフポイントを払う。
お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する。>
ジュン──ライフポイント──200
つまり。 これは。
「“XYZ-ドラゴン・キャノン”の召喚の為にゲームから除外した、
“X”“Y”“Z”のモンスターを、フィールド上に特殊召喚する!」
そして。 それの意味するところは。
「召喚した“X”“Y”“Z”を再びゲームから除外し、
“XYZ-ドラゴン・キャノン”を召喚だッ!」
再び舞い降りた暴君。 ロマンの結晶。
竜を模した砲身。 轟き、猛るキャタピラー。 対すものの心を蹂躙する、両の鉄腕。
その、神威すら感じさせる姿に、水銀燈は戦慄いた。
「手札を1枚捨て、フィールド上に存在するカードを一枚破壊する。
──“アームド・ドラゴン LV7”を破壊だ!
『ハイパー・デストラクション』ッ!」
ねじ伏せる。 叩き潰す。 討ち滅ぼす。
その強力無比なモンスター効果の前には、いかなる巨竜であろうと、震える子羊と化す。
「更に、“サイバー・ダーク・ホーン”に攻撃!」
ジュン──XYZ-ドラゴン・キャノン
ATK2800/DEF2600
水銀燈──サイバー・ダーク・ホーン
ATK800+1700(ハウンド・ドラゴン装備)/DEF800
水銀燈──ライフポイント──6900
──もうガードは追いつかないだろ。
詰みだよ、水銀燈。
──違う……! 今必要なのは、こんなカードじゃない……!
私は、心底疲弊していた。
ジュンの手札には、ドローという形で毎ターン“XYZ”に装填する弾が供給される。
それに加え“XYZ”自身からのダイレクトアタックによるダメージを毎ターン受け続けてしまう。
デッキに眠るキーカードを呼び込める、今手札にある“ディープ・ダイバー”も、
“XYZ”の効果で破壊されてはその効果を発動することはできない。
痛み止めにすらならないが、ここは……。
「モンスターを一体裏側守備表示で召喚して、ターンエンドよ……」
“XYZ”の効果で破壊したモンスターは“アームド・ドラゴン LV3”。
水銀燈に、この状況を打破する手段が存在しないことが伺える。
「水銀燈にダイレクトアタックだ!
──『X・Y・Z ハイパー・デストラクション』ッ!」
ジュン──XYZ-ドラゴン・キャノン
ATK2800/DEF2600
水銀燈──ライフポイント──4100
僕は、改めて勝利を確信した。
そして、パターンは繰り返され。
水銀燈のライフは、残すところ、1300。
戦況は、変わらず。
──負ける……?この、私が?
死神の足音が、確かに聞こえ始めていた。
予想通り、完全にパターンが形成されてしまった。
それも、“ドロー”という、デュエルの基板に干渉する行為によって引き起こされたもの。
普通に考えれば、このパターンを崩すことは困難を極めるだろう。
しかし、パターンの中心である“XYZ”さえ破壊することができれば、戦況は逆転する。
だが、私のデッキは、モンスター同士の殴り合いに重きを置くビート・ダウン。
相手のモンスターを除去するカードは一切入っていない。
つまり、直接的な除去カード以外で、
この戦況を引っくり返すことのできるカードを引くしかない。
──私のライフが0となるまでの間に引くことのできるカードは、残り一枚。
しかし、その一ドローに賭けるより、他に方法もない。
それに、何より。
──負けられない。 私は、あの娘に土を付けるその日まで──
運命の女神もドローの女神も、微笑まなくていい。
私は、私の力で、このドローを駆け抜ける。
──負けられないのよ!
寸秒の沈黙。
そして。 私は。
「──カードを一枚セットし、モンスターを一体裏側守備表示で召喚して」
運命を引き当てた。
「ターンエンド」
水銀燈の双眸から、恐れが、迷いが、失せていた。
この、ある種絶望的な戦況の中で。
水銀燈の、気高く、凛とした眼光の前に、逆に僕が気後れしてしまう程だった。
「ドロー」
弱気になっている心を奮い立たせるように、呟いた。
その刹那。
「このスタンバイフェイズ、
罠カード“リビングデッドの呼び声”を発動よ!」
水銀燈の高らかな宣言に、僕は大きな思い間違いをしていたことに気付いた。
どんなに強力なパターンでも、どれだけ強大なモンスターでも、
たった一枚のカードによって、その存在を脅かされることに。
それが、デュエルモンスターズなのだということに。
<リビングデッドの呼び声 永続罠
自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。>
「墓地よりその姿を現しなさい、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)ッ!」
<青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)
★★★★★★★★・光・ドラゴン族・ATK3000/DEF2500>
時代を経、デュエルのルールが変わって尚、戦場に君臨する白き龍。
先程の“未来融合”によって、墓地へと送られていたのだ。
「どう? ジュン。 私は次のターン、このカードであなたに攻撃するわぁ……!」
──何を言っているんだ……?
このターン、今引いたこのカードを捨てて、
“青眼(ブルーアイズ)”を破壊すれば、次のターン、水銀燈の場にモンスターは存在しない。
妙。妙。妙。
──プレイングミスなのか、これは?
水銀燈の、爛々と輝く瞳がそれを否定しているように思えてならなかった。
が。
「『ハイパー・デストラクション』で、“青眼(ブルーアイズ)”を破壊だ」
破壊するより他に、僕に選択肢はない。
もしこのターン中に“青眼(ブルーアイズ)”を破壊できなければ、
次のターン、丁度200のダメージを受け、僕のライフは0となってしまうからだ。
「そして、“XYZ-ドラゴン・キャノン”で、裏側守備表示モンスターに攻撃する」
刹那。
僕は確信した。
水銀燈は震える子羊などではないと。
──物語っていたのだ。水銀燈の、瞳が。口元が。
──露となった、裏側守備表示のモンスターが。
「戦闘によって破壊された、ディープ・ダイバーの効果を発動するわッ!」
<ディープ・ダイバー
★★★・水・水族・ATK1000/DEF1100
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合、
バトルフェイズ終了時にデッキからモンスターカードを1枚選択し、
デッキの一番上に置く。>
「私がデッキのトップに置くのは、“サイバー・ダーク・エッジ”ッ!」
“キール”“ホーン”“エッジ”。
先の水銀燈と金糸雀のデュエルが思い出される。
水銀燈は確か──
「……!」
気付いた。気付かされてしまった。
次のターン、水銀燈のフィールドにどんなものが召喚されるかを。
──終わりよ。 終わり。 ジュン、またデュエルしましょうね。
「手札から魔法カード“サイバーダーク・インパクト”を発動」
<サイバーダーク・インパクト
自分の手札・フィールド上・墓地から、「サイバー・ダーク・ホーン」
「サイバー・ダーク・エッジ」「サイバー・ダーク・キール」を
それぞれ1枚ずつデッキに戻し、「鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン」1体を
融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)>
墓地と手札から、“サイバー・ダーク”をデッキへ混ぜ、シャッフルする。
胸が躍り、逸る。 でも、何処か心は冷めていて。
──終わってしまえば呆気ない。
それが、このデュエルの顛末。
<鎧黒竜(がいこくりゅう)サイバー・ダーク・ドラゴン
★★★★★★★★・闇・機械族・ATK1000/DEF1000
「サイバー・ダーク・ホーン」+「サイバー・ダーク・エッジ」+「サイバー・ダーク・キール」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択して
このカードに装備カード扱いとして装備し、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をアップする。
自分の墓地のモンスターカード1枚につき、このカードの攻撃力は100ポイントアップする。
このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりに装備したモンスターを破壊する。>
「墓地に眠る“F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)”を装備。
それにより、その攻撃力分、攻撃力が上昇するわぁ」
ジュンの喉元が、震えた。
──もう、終わらせましょう? そして……。
「更に、墓地に存在するモンスター一体につき100ポイント、攻撃力が上昇」
──1000+5000+1300。 7300。
あれだけジュンが召喚に苦心した“XYZ”の攻撃力さえ、この攻撃力の前では塵芥も同じ。
勝つ。 勝つ。 勝つ。 勝つ。 勝つ。 勝つ。
「“サイバー・ダーク・ドラゴン”で、“XYZ-ドラゴン・キャノン”に攻撃ッッ!
──『フル・ダークネス・ヴァースト』ォォオオオオッ!」
──勝った。
「──さっきコストとして手札から捨てた“ネクロ・ガードナー”を、
墓地から除外……お前の攻撃を一度だけ無効にする」
──筈だった。 のにッッッ!
このままではマズい。 次のターン、“XYZ”の効果で破壊されてお終いだ。
……なら、このカードで。
「“強化支援メカ・ヘビーウェポン”を、“サイバー・ダーク・ドラゴン”にユニオンよッ!」
<強化支援メカ・ヘビーウェポン
★★★・闇・機械族・ATK500/DEF500
1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして、
フィールド上のこのカードを自分フィールド上表側表示の機械族モンスターに装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で元に戻す事が可能。
この効果で装備カード扱いになっている時のみ、
装備モンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。
(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
装備モンスターが破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊する。)>
これで次のターン、“サイバー・ダーク・ドラゴン”は破壊されず、私のターンが巡ってくる……!
これで本当に終わり。
真剣にマズかった。
僕のターンさえ巡ってくれば、
“XYZ”の効果で“サイバー・ダーク・ドラゴン”を破壊し、
直接攻撃によって水銀燈のライフは0となる筈だったのだ。
それが、あの見たことの無いユニオンモンスターのせいで完全に失策だ。
“XYZ”の弾丸となる手札は、今からドローするカード一枚だけ。
つまり、あのユニオンモンスターが破壊されるだけに留まる上、
“サイバー・ダーク・ドラゴン”の攻撃力が上昇してしまう。
「──ジュン?どうしたのぉ?」
うふふ。頼みの綱の『ハイパー・デストラクション』も無駄に終わってしまうものね?
ひょっとして、ここに来て怖気付いちゃったかしらぁ?」
水銀燈の挑発など、聞こえない。
次のドローで、この状況を打開するカードを引けなければ、僕は負ける。
この、掌の下に積まれたカードが、僕の未来そのもの。
そうだ。 あいつが。 真紅が、よく僕に言っていた。
──「ドローは必然ではないと、私は思うわ。
デッキは自分自身の映し身。
デュエリストの魂が熱く、雄雄しく燃えているのなら、
ドローした時、望むカードはきっとそこにあるのだわ」
あの頃の僕は、そんなオカルトめいたこと気にも留めてなかった。
でも、今だけは、信じたい。 信じさせて欲しい。
──未来は、僕が拓く。
「知ってるか水銀燈」
──魂が、燃えているから。
「デッキとデュエリストは、
見えるけど見えない、一本の糸で繋がってるんだ」
「何を言い出すかと思えば、そんな世迷言を──」
瞳を閉じ、デッキトップに掌を乗せる。
「人はそれを」
そして。
「絆とも呼ぶんだ」
ドロー一閃。
もう、迷わない。
そっと、視界を開く。
「──『ハイパー・デストラクション』!」
水銀燈が、驚くでもなく恐れるでもなく、ただ嘲笑した。
カードの名前に。絵柄に。ひいては全てに問題があった。
「……その、ぷふっ、へんてこなカードと、あなたは絆で繋がってるって?
ユニオン状態の“ヘビーウェポン”を破壊して、
“サイバー・ダーク・ドラゴン”は無傷よぉ?」
だが。 問題ない。
「──何を笑っているのか知らないが、
今、手札から捨て、墓地へと送ったカードは“おジャマジック”」
<おジャマジック
このカードが手札またはフィールド上から墓地へ送られた時、
自分のデッキから「おジャマ・グリーン」「おジャマ・イエロー」
「おジャマ・ブラック」を1体ずつ手札に加える。>
「それがどうしたのよ?
“おジャマ”なんて弱小モンスター、ひねり潰して──」
刹那。例えるならば餌に群がる錦鯉のように、水銀燈は大口を開いた。
──驚愕。 戦慄。 恐悚。
そんな感情が、飽和するまでその顔に滲んだ水銀燈に一瞥くれてやり、
デッキから三体の“おジャマ”を引き抜き、手札に加える。
“おジャマ・グリーン”“おジャマ・イエロー”“おジャマ・ブラック”。
どこからどう見ても、不細工で、これといった取り柄もない弱小モンスターだが、
この中の一体、“おジャマ・グリーン”に真紅は心奪われていたらしい。
そう。 この“グリーン”こそ、真紅に貰った思い出のカードなのだ。
「手札の“おジャマグリーン”を手札から捨て──」
──行くぞ。真紅。
「受け取れ、二発目だッ!『ハイパー・デストラクション』ッッッ!」
──そして。震える子羊のライフポイントは0となった。
「ジュン……んっ、銀ちゃんに、勝ったんだ」
同じくデュエルを終えた薔薇水晶が、欠伸を噛み殺しながら問うた。
テーブルの向こうで金糸雀がベソをかいてるのはとりあえず放っておこう。
「……金糸雀は長考だから眠くなっちゃった。
完膚なきまでに叩きのめしたけど」
──やっぱり、また負けたんだな。 金糸雀。
「それじゃあ、次の対戦の組み合わせを発表するね……」
──翠星石が、メンチを切りながらデッキをシャッフルしている。
僕は、苦笑しながらも手札を5枚引いた。
To be continued...