【恋愛百景】Waltz
第二話
水銀燈に腕を引かれ、ちょっと学校から離れた道に出た僕たち。まさか美人局って事はないとは思うけど、何も言わずに連れて来られてしまうと、僕でも多少は不安になってしまう。
「此所まで来れば一安心ねぇ……。」
「なんで僕の手を引いて走ったんだよ。」
「ごめんなさぁい……実は……。」
水銀燈が言うよりも早く、その答えを知ることになった。少し遠くから、まるで騒音のような声が聞こえてきたんだ。
「水銀燈! 何処行ったんだあのアマが!」
「こっちにはいないよ!」
「あの白髪のジャンクがいい気になってんじゃねぇよ!」
この会話の内容で、僕はすぐさま状況を飲み込んだ。なるほど、そういう理由だったか。
「……追われているって訳ね。把握したよ。」
「そういう事なのよぉ。」
笹塚が水銀燈は女子の人気が無いって聞いていたけど。これ程とは思わなんだ。
「どうしましょうねぇ。」
「ま、僕に任せてよ。」
「安請け合いはするものじゃあないわよぉ。」
「こういう時に頼りになる奴が一人居てね……。」
そう言って僕はある人物に電話を掛けた。
「大佐? すまない、緊急事態なんだ。助けてくれない?」
「お前からの頼みか……良いだろう。引き受けようか。」
「恩に着るよ。実は今水銀燈と一緒に居るんだが、どうもDQN女子に追われているらしいのよ。これが。」
「今学校に居ないDQN女子は……AとBとCだな。」
「どうすれば良い? 指示をおくれよ、大佐。」
「まあ慌てるな。まずは学校の体育倉庫に向かえ。とりあえずそこで待っている。」
「了解。大佐。」
さて、頼りになる大佐殿にも連絡を入れたし、僕たちも体育館へ向かおうか。
「よし、体育倉庫に向かおうか。」
「ねぇ……大佐って誰?」
「水銀燈……君もよく知っている人物だと思うよ。」
そう言うと、僕達は体育倉庫に向かった。とりあえずDQN女子は別の方向に向かっているから、早めに行かないと鉢合わせになるだろうね。それだけは避けたいわ。うん。
さて、そろそろ体育倉庫だ。周りをきょろきょろ見回しながら、扉へと向かう。
「見つかって……無いよね。」
「大丈夫よぉ……多分。」
「あ、着いた着いた。」
やっとの事で体育倉庫に到着。さて、大佐に会おう。まずはそうしないと始まらない。
「大佐。僕だ。」
「コードネームと合言葉を」
「コードネームはスネーク、合言葉は……愛国者。」
「よろしい。入れ。」
さ、見つからないうちに入ろう。
「大佐って誰かと思ったら……笹塚君じゃなぁい。」
「その通り。ささ、早く閉めて。」
「了解。」
とりあえず、扉を閉める。
「……で、どうするんだ? 笹塚。」
「とりあえず、DQN女子のA、B、Cは暴れ者だから……場合によってはこれを使っても大丈夫な気がする。」
そう言って彼が差し出したのが、大きな-ドライバーだった。
「……って、そんなもので大丈夫ななのぉ?」
「これ、結構強いんだよ。鉄製だし。」
「ま、無いよりはマシねぇ。」
「この流れだと、君は水銀燈をエスコートしなくちゃならない。兎も角これは最後の手段だからさ。」
「そうだな。それで良い? 水銀燈。」
「貴方の好きになさぁい。」
「ま、僕が囮になるから、その間に送ってっチャイナよ。」
「そうする。気をつけろよ。」
そうと決まれば善は急げ。全力でエスコートしなくちゃね。と、言う事で僕は今度は逆に彼女の手を引いて外へと出て行ったのだった。ま、短い道中だけどよろしく。水銀燈。
第二話・完
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