~第8話 いざ、地下室へ~
朝食を食べ終えたジュンたちはさっそく、地下室へ向かうことにした。
ジ「階段とかどこにあるか誰か知らないか?」
雪「それなら、この通路を真っ直ぐ行った所にありましたよ」
ジ「よし、じゃあ行ってみよう!」
ジュンたちは通路を真っ直ぐ歩いていった。
階段はちゃんとあったが、なんとなく怪しい気配がした。
とりあえず、ジュンたちは下に降りて行った。
5階、4階へとどんどん下に降りていくが何1つ怪しいことなど起きなかった。
そして、地下1階に辿り着いた時、蒼星石がある異変に気が付いた。
蒼「あれ?地下1階に着いたのは良いけど、
途中、1階が無かったような気がするのは僕だけかな?」
その時、みんながハッとした。
そう、2階までの階段では確かにその階の扉があったはずなのだが、
1階への扉が無かったのである。
ジ「なんてことだ、これじゃあ1階に行けないじゃないか!」
真「ジュン、落ち着きなさい。もしものときは、2階の窓から出ればいいのだわ」
水「そうよぉ~、それに今は脱出するよりも地下1階へ行くことが目的じゃないのぉ?」
ジ「そうだったな、よし行こうか!」
そう言ってジュンたちは再び歩き出した。
ジュンたちが地下1階への扉を開けたとき、嫌な臭いに吐き気をおぼえた。
確かに電気が点いていて明るかったが、窓が無いため喚起がされていなかったのである。

ジ「なんだ、この臭いは?」
真「まるで何かが腐ったような臭いね…」
水「きゃっ、ゴキブリ!」
翠「きゃ~ネズミもいるですぅ~」
蒼「酷い場所だ。まるで牢獄だな!」
金「蜘蛛もいるかしら~」
雛「うう、気持ち悪いのぉ~」
薔「コンビニ弁当…誰かがここにいたようね…」
雪「見て!あそこに墓石がありますよ!」
雪華綺晶の言葉でみんなはその墓石を見に行った。
ジ「汚い墓石だな~、でもそんなに古くないな」
見た目から言っても、1年も経ってないような様子であった。
みんなが墓石をじ~っと見ていたが良く見ると何か文字が書かれていた。
みんながそれを見た瞬間、愕然とした。
それぞれの墓石にはこう書かれていた。

(柏葉巴 ここに眠る)
雛「と、巴?」
巴は雛苺の親友だった。
(柿崎めぐ ここに眠る)
水「じ、冗談でしょ?」
めぐは水銀燈のいとこであった。
(草笛みつ ここに眠る)
金「そんな…」
みっちゃんは金糸雀の親戚であった。
(探偵くんくん ここに眠る)
真「く、くんくん!」
くんくん(人間)は真紅の恋人であった。
(柴崎元治とその妻、柴崎マツ ここに眠る)
翠「こ、こんなの嘘です!」
蒼「嘘だ!」
この2人は翠星石と蒼星石の祖父と祖母であった。
(槐とその息子、白崎 ここに眠る)
薔「お、お父様と…」
雪「お兄様が…」
(桜田のり ここに眠る)
ジ「う、嘘だァー!」
みんな知人や肉親を失い、孤独になってしまった。
みんなはその場に座り込んでしまった。
ある者は泣き、ある者は復習を誓い、ある者は放心状態、
ある者は絶望し、ある者は狂気になりかけていた。
ジュンは絶望していたが、のりの墓石の前に何か書かれていたことに気がついた。

そこにはこう書かれていた。
「ジュン君へ
ジュン君がこれを見ている時、お姉ちゃんはもうこの世にいないでしょう。
でも、ジュン君には言わなければならないことがあります。
まず1つ、ジュン君は特殊な子だったということです。
そう、ジュン君は吸血鬼の血を引く子だったのです。
お姉ちゃんはそんなことはなかったけど、
ジュン君だけ吸血鬼の血が流れていたそうです。
だから、ジュン君の周りはいつも敵でした。
お父さんもそのために、ジュン君を鍛えていたのです。
2つ目に、お姉ちゃんたちも実は、
アリスゲームというサバイバルゲームに参加していました。
ここにある墓石もみんなアリスゲームの参加者でした。
みんなは好きで参加したのではありません。強制的にされたのです。
ジュン君はひょっとして紳士のような兎を恨んでいるのかもしれませんが、
彼はただの執事で何も悪くありません。それどころかこのアリスゲームの真相を
私にこっそり教えてくれたのです。このアリスゲームの真相はこの屋敷の主人が、
私たちが争っている場面を別のところで楽しんで見るために行われているのです。
兎もこんなことな仕事だとは知らなかったと、後悔していたようです。
最後にこの屋敷の主人を教えてくれました。それはジュン君がよく知っている……」
あとは何者かが消したような跡が残っていた。
ジュンにはこのとき、絶望という言葉は無かった。
あるのは復讐という言葉だけだった。

ジ「みんな、聞いてくれ!」
みんなは驚いた顔をしてジュンを見た。
ジ「みんな、嘆いている暇はないぞ!僕たちは最初、ただ脱出することが目的だった。
しかし、今の目的は違う!今はこんなことをさせた奴を倒すことが目的だ!
みんなの悲し気持ちはよく分かる。しかし泣いて死んでしまった者たちが蘇るのか?
そんな訳は無い!今こそ己の力を信じ、
愛する者たちのために戦うべきではないか?」
そのジュンの言葉にみんなは頷いた。
真「そうね、嘆いてなんか駄目だわ」
水「めぐのためにも私は戦わなくちゃならない!」
翠「ちび人間、たまには良いこと言うですぅ~」
蒼「そうだ、ジュン君の言うとおりだ!」
金「金の策略で敵なんか一掃かしら~」
雛「ヒナがんばる!トモエのためにも」
薔「お父様、お兄様のために私…やるわ…」
雪「ジュン君、共に戦いましょう!」
みんなには希望という言葉が生まれた。
ジ「よし、ならさっそく1階を探そう」
こうしてジュンたちは希望を胸に、階段を上っていった。

次回~招かざる客人~に続く

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最終更新:2006年07月11日 00:35