発掘兵器『クエスカイゼス』




◎要求性能


○要点・一般性能要求等

一般性能要求

L:クエスカイゼスの開発 = {
 t:名称 = クエスカイゼスの開発(イベント)
 t:要点 = 一般性能要求{
クエスカイゼスとは宰相府に伝わる発掘兵器とそのコピーで、I=Dの原型になったものである。
低物理域を含むあらゆる世界で活動できる騎士専用機であり、主武装を剣と楯とし、
火器類は目立たぬように内蔵された。推進器としてのロケットを持たず、重力制御で動いた。}
 t:周辺環境 = 宰相府
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *クエスカイゼスの開発のイベントカテゴリ = 藩国イベントとして扱う。
  *クエスカイゼスの開発の位置づけ = 生産イベントとして扱う。
  *このイベントを取った国は、その国用のクエスカイゼスを作成できる。作成したものにあわせてアイドレスが作成、公布される。
 }
 t:→次のアイドレス = なし



◎機体コンセプト


「I=Dの原型」が意味するもの。
それはつまり、全てのI=Dはクエスカイゼスより枝分かれしていった、ということである。
そのため、クエスカイゼスの機体コンセプトは「王道」。
極端な強みや弱点はこの機体には存在しない。

ただ1つ、後に生み出される他の多くのI=D達と最も違っていたのは、
その圧倒的な機体ポテンシャルである。

重力制御による移動が可能なこの機体に求められたのは、
他より速く移動し、高く跳び、華麗に舞い、鋭い一撃を食らわせること。
ただ、それだけである。

どのような物理域でも戦闘を可能とするため、
特化行為は重火器類を用いない白兵戦とされ、主武装は剣と盾が用いられた。
さらに、操縦法が物理域ごとに異なるというのも本機体の特徴である。
低物理域では、ほとんどの計器が停止してしまうため、
操縦は操縦者と機体を同調させ、操縦者の動きをそのまま機体が行うという手法が取られた。
そのため、低物理域での操縦者は元々の白兵戦能力が高い騎士や剣士が担うこととなった。

逆に高物理域では補助として計器類を作動させることができるため、
操縦は操縦桿とパネルで行う、従来の方法が採られている。
ここでの操縦者は、計器類の操作、未来予測等に優れたパイロットたちが担った。

また、本機体は騎士専用機として開発されたため、
配属先の宰相府藩国の主力である帝國軍猫士は、
根源力上の問題から本機体に搭乗することができない。

そのため必要人員数は1名ないし2名とされ、
運用手法としては大人数搭乗によるブーストアタックではなく、
もともと高い機体のポテンシャルを活かしての、高根源力者による少数精鋭主義が採用された。

ACE今日子のように個人戦闘を得意とする高評価値の騎士が、
敵主力との決戦に用いるために開発されたといえる。


◎機体仕様


開発名称 クエスカイゼス
タイプ 発掘兵器
運用法 白兵突撃戦
移動 各部関節重力球による重力制御
関節数 主関節164、副関節560
操縦 メインパイロット1名、コパイロット0~1名
操縦法 同調式/操作式の選択可
全高 4,600mm
全幅 2,100mm
重量 86.5t

主兵装 大騎士剣
副兵装 肩胸部内蔵式小型重力砲


○外見


白兵戦用に開発されただけのことはあり、重厚感が漂うフォルムとなっている。
角ばった分厚い装甲からは、力強さと威圧感が伝わってくる。
もっとも、それらのほとんどは追加装甲であり、
戦地、戦闘目的によってはそうした装甲を取り払うことも可能である。
全ての装甲を取り外したクエスカイゼスには、どちらかというと女性的な流麗さが伺える。

保護壁が周囲を包んでいるため外からは見てもわからないが、
各関節部には人騎兵と同じく重力球(人騎兵でいう磁力球)が内蔵されており、
移動・攻撃・防御等の主要動作のほぼ全てはこの重力球による重力制御によって行われる。
重力球による重力制御は機体全てをカバーすることができ、
陸上でも音速に迫るその移動速度は他の追随を許さない。

そのような速度で移動した場合、
通常の機体であれば空気抵抗やGにより操縦者が潰れてしまいかねないが、
クエスカイゼスの場合は重力制御により周囲のGを常に安定させ、
機体も操縦者も保護することができるのである。

もっとも、常に重力制御を全開にするのは燃費が悪いため、
基本動作は重力制御を使用することも、しないでおくことも選択できる。
……が、戦闘に入った際は大抵の場合重力制御が用いられる。
強力だが使用の際には適切な判断が求められるだろう。
周囲を見る余裕と不断の集中力、どちらが欠けてもこの機体を扱うことはできない。
強力な機体には、同じく強力な乗り手が必要なのである。

塗装は通常、搭乗する騎士が色などを自由に選択することができる。
多くの場合は白や黒といった無彩色が好んで用いられた。
が、特に強制はされていないので、
例えば虹色に塗ろうが個別マークを貼ろうが、度が過ぎなければ禁止されることはない。


○装備・攻撃法


●大騎士剣

本機体は白兵戦に特化した機体である。
そのため、最大の武器は
通常右手に装備される大騎士剣(名前は操縦者が毎回好きに名付ける)である。

ややもすると両手剣と見まごうほどの大きさのこの騎士剣は、
クエスカイゼスを製造する際に、本体に使用される装甲と同一の素材を用いて鍛造される。
文字通り騎士と騎士剣が一心同体となることを祈念してのことである。

通常、白兵に用いられる武器の大きさはあまり大きくなりすぎないことが肝要であるが、
このクエスカイゼスに関しては、武器の重量は問題とならない。
機体が大騎士剣を装備(というよりは装着、と言った方がいいかもしれない)すると、
剣と機体の親和作用により、機体の重力制御が剣にも及び、
剣の重量が重力制御中は無視されるためである。

この重力制御は攻撃時にもその効果を発揮する。
相手に接近する際には剣にかかる重力は極力少なくされ、
逆に攻撃が加えられる瞬間には、剣にかかる重力は最大となる。
剣自体の重量に、重力による圧力を付与することにより、
敵を「潰し切る」ことが可能となるのである。

この攻撃手段による威力が最大となるのは跳躍からの一刀両断時で、
重力制御により重量がほぼ0になった機体が天高く跳び、
空中で反転し剣に全重力を込め、敵の脳天へと加速しながら降下し、
落下のGと剣、機体の重量と重力制御による重力付与の
合力による超超重量で一気に両断するというこの攻撃は、
文字通り一撃必殺(もちろん操縦者が毎回勝手な命名をする)である。

●小型重力砲

本機体が白兵戦特化であるのは前述の通りだが、
それだけでは対処しきれない敵(空中の敵など)にも対応するため、
機体の肩胸部にはあまり目立たないながらも小型の重力砲が内蔵されている。

目的は上で述べたように対空迎撃、
あるいは中遠距離での砲戦(こちらは白兵距離に近づくまでの牽制として使用されることが多い)。
主目的からは多少外れるため軽視されがちだが、
それでも並外れた威力を持っていることは否定できない。

重力制御がどの物理域でも可能である発掘兵器の利点を活かしたこの兵装は、
発射口内部を包むように重力制御を段階的に仕掛け、
干渉しあう重力の反発力を利用し砲弾を加速させ発射するというものである。
並の銃弾の速度をはるかに上回るこの砲撃は、機器で捉えることも困難だろう。

●盾

大騎士剣と対になる形で、通常左腕部に装備されるのがこの盾である。
名前はやはり搭乗者が好きに名付けていたが、
仕様用途にあまり差異はなかった。

盾は装備中も左手が使えるように左腕部に固定して装着され、
取り外しは整備時にしかできない。
もっともあまり大型ではないため、取り回しの際に邪魔になることはない。

盾の内部には、クエスカイゼス本体にも使用されている重力球が埋め込まれており、
防御時に斥力を発生させることにより、敵の攻撃を和らげることを目的とした。

盾は防御時における射撃兵器からの防護の他、
シールドバッシュ(盾を前面に勢いよく押し出すことにより相手を弾き飛ばしたり、
体制を崩したりする)のような攻撃的な運用もされた。
重力制御効果により、盾を相手に密着させた後重力を盾の内部に向かって発生させ、
敵の腕や武器を引き寄せ騎士剣で切り落とすといった変わった攻撃方法も考案され、
クエスカイゼスの運用に更なる幅が持たれることになった。

盾には騎士の身分や所属を表す印章が刻まれ、
戦場で鬨の声を上げる際には騎士剣を左腕で持ち、
剣と盾を同時に掲げ、勝利と勝利した者が誰であるかを周囲に示すこともあったという。


◎総括


クエスカイゼスはI=Dの祖と称される。
だが、一体何を持って祖は祖たり得るのだろうか。

「王道」をコンセプトに開発された本機体は、
いわば人間の能力を延長しただけの機体である。
だが、それこそが本機体がI=Dの祖である最大の理由ではないだろうか。

人間がI=Dを生み出したのはおそらく
「より大きく、強い体」、
「より早く地を駆け、空へと跳び上がる足」、
「より高い戦闘能力」、
そうしたものを求めてのことだったのだろう。
それはまさに戦うことに関しての、「人間の能力の延長」である。

地を駆け、跳び、剣をとって闘う。
それらのある種原始的な行為は、このクエスカイゼスによって極限にまで高められた。
このように、人間の強さへの欲求に素直に応えた本機体ならば、
I=Dの祖と称するにふさわしいだろう。

誰よりも強靭に、素早く、強く。
それらの純粋な渇望を、誰よりも、愚直なまでに実現した機体。
わかりやすいからこそ、その強さが際立つのが「王道」である。
王道を歩む者の後に、多くの救われる命があることを願ってやまない。
最終更新:2008年08月10日 21:03